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【この人に聞く】アルム ・平山 京幸社長「加工プログラムを自動作成」
作成時間、大幅に削減・技能者は高度な仕事に力

自動機などを手掛けるアルムは今年9月、AI技術で3D製品モデルから切削加工プログラムを自動作成するソフトを出荷開始した。長年の経験やノウハウを持つ技能者が手間をかけていた作成時間を最短で数分に短縮できるという。平山京幸社長に開発の背景や目的、今後の展開について聞いた。
ソフトを出荷

分で作成、その後すぐに加工が始まった

加工プログラムはCAMで作成するのが常識。自動作成ソフトとは。
AIが加工プログラムを自動で作成する。製品3Dモデルをドロップし材質などを指定すれば、その形状を解析、穴やポケットなど必要な加工の種類を判断。そして最適な工具を選び、加工パスを計算し、プログラムを作成する。これまで人がしていたこの一連のプロセスを全て自動でできる。
その時間は。
当社の実証実験で、ポケットや穴、凸部などが複数あるサンプルワークのプログラムを3分10秒で作成した。CAMだと工具選びや加工条件の設定などトータルで76分。時間を96%削減した。この結果、従来30%だったマシン稼働率も80%まで大幅アップした。
開発した理由は。
自動機の設計製作を通じて日本のものづくりの次の課題は自動化とかねてから感じていた。2015年に経営を引き継いだ金属加工会社もそんな1社だった。多品種少量のものづくりで年間2万枚のプログラムを作る。そのコストは実に製造コスト全体の50%も占めていた。同じ課題を抱える企業がいるはずと開発に乗り出した。
開発のカギは。
実践でトライ&エラーをできたこと。アカデミックな視点から机上の空論で研究するのではなく、子会社の設備で何度もテスト加工し、課題をフィードバックして改良を重ねた。加工現場のニーズを吸い上げ、多くの加工会社で使えるように作り込んだ。
導入のメリットは。
プログラム作成の時間やコストの削減に加え、技能者はより付加価値の高い仕事に力を使える。簡単なプログラム作成はこのソフトに任せて、経験やノウハウを持つ技能者は高レベルの加工や、生産技術や商品開発に専念できる。
今後の展開は。
このソフトは「アルムコード1」という商品名で今年9月に出荷開始し全国の数十社に導入した。来年5月には2・5次元の曲面やプレス金型など精密な加工への対応、カメラとセンサで工具径・長を自動測定し加工パスを自動補正する機能などを追加したバージョン2をリリースする予定。さらに旋盤や鋳物加工の領域にも展開を広げていきたい。
会社概要
- アルム
- 本 社:石川県金沢市戸水1-61
- 電 話:076・225・7743
- 代表者:平山京幸社長
- 創 業:2006年
- 従業員:35人
- 事業内容:製造AIの研究開発や産業機械・専用機などの設計・製作。
日本産機新聞 2021年11月20日
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