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河をくだる筏の如く 失敗は自分の責任という覚悟 −仕事考−
任せる勇気
「仕事を任せられる部下がいない」「自分でやった方が確実で早い」という話をよく聞く。しかし、部下の能力の問題というより、「自分でやった方が早いし、いい結果になる」ので任せられない…というのが本音ではないだろうか。
「業務が忙しくて教えている時間がもったいない」という人も中にいる。実際、働き方改革の影響もあってか、管理職の業務量は間違いなく増えており、仕事を頑張るとか、仕事を効率化するだけでは対応仕切れない。
そこで“如何に早くやるか”でなく、“如何に任せるか”を考えた方が効果的だと思う。成果の向上と部下の成長の二兎を追うことができる。
「任せる勇気」が必要になってくる。ダイバーシティも多様な考えを引き出せるから有効なのであり、自分と同じ人間ばかりなら、自分の能力以上に発展しない。自分一人でできる事なんてたかがしれている。自分以外の人の能力をフルに活用することが管理職の務めであり、それこそ組織の成長を期待できる。
任せると言っても、簡単な仕事では意味が無い。部下の成長を期待するなら、レベルを考慮した上で、能力以上の仕事を任せることだ。
任せた以上、細かく指示しない方が良い。口うるさい親から逃げ出したくなる子供のようなものだが、放任とは違う。任せた上司は、部下がやっていることを具体的に把握する必要がある。私は河を下る筏をイメージする。本流を下っている間は、真ん中であろうが端っこであろうが口出しはしないが、ひょこっと見つけた支流に入り込もうとしたときには、本流に連れ戻すように注意している。
上司は、仕事の成果と部下に責任を持っている。部下への責任感のポイントを、目下進行中の目先の成果ではなく、部下の伸び代に期待して成長に置くべきだと考える。目先の成果が失敗に終わったとしても、その責任は自分が負えば良い。失敗は成功に繋がる。
新人にだって任せることはできる。何をするか、どう進めるか、いつまでに終わらせるかを丁寧に説明し、終わったときには報告を聞き、互いに確認して、良かった点、特に反省点を公平に評価して伝える。「相手の立場で考える」ことを忘れなければ、新人であろうと任せられた人は必ず成長すると信じたい。
日本産機新聞 2021年2月20日
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