2020年10月21日(水)

測定の未来を提案 –ミツトヨ 沼田 恵明社長に聞く–

 測定機器メーカーのミツトヨ(川崎市高津区、044-813-8201)が100年企業に向けて動き出した。今年、創立100周年を見据えた経営計画「ミツトヨビジョン100」を策定。「精密測定で社会に貢献する」を経営理念に、「未来を提案する企業“フューチャーソリューションプロバイダー”になる」と話す沼田恵明社長に具体的な取り組みや今後の方向性などを聞いた。

創立100周年に向けて始動

沼田恵明氏(ぬまた・よしあき)  1990年米国ノースカロライナ大学卒、リコー入社、98年退社後、同年ミツトヨ入社。2002年取締役、ドイツミツトヨ出向、04年米国ミツトヨ出向、10年常務、12年同営業本部長、15年代表取締役専務執行役員、17年代表取締役社長。広島県出身、54歳。

今年、「ミツトヨビジョン100」を策定した。

 2034年に迎える創立100周年に向けて、今年から5年刻みでの長期的な経営計画をスタートさせた。社是である「良い環境」「良い人間」「良い技術」を改めて見つめ直すとともに、社長就任時に策定した「イノベーション」「グローカル化」「ソリューション体質」「センシング領域の拡大」「光る人材」という5つのポリシーを実践し、測定の未来を提案する企業「フューチャーソリューションプロバイダー」を目指す。

成長の軸となるのは。

 新規事業を積極展開する。その一つがインライン計測だ。当社はこれまで、測定室の環境の中での高精度保証が主だった。今後もこの領域は責任を持って守っていく。一方で、IoT対応や自動化促進によって製造現場の中での測定機器の需要が一段と高まっている。例えば、生産ライン上(=インライン)で測定し、そのデータを工作機械などの生産設備にフィードバックして良品を作り続ける「止まらない工場」の構築など。製造現場の中で測定機器を活用することで、生産性をより向上させることができる。

測定機器の役割が変わるのか。

 生産設備との連携が重要となっていき、測定機器は「生産財」としての位置づけが強まっていく。実際にユーザーが測定機器に求めるものも変わっている。工作機械で要求されるようなスピードや操作性、ロバスト性、安全面に加えて予防保全機能なども強めていかないとユーザーの要求に対応できなくなる。

測定だけでなく、幅広い知識が必要になるのでは。

 測定ニーズが多岐に渡り、自分たちだけで対応するには限界もある。今まで以上にオープンイノベーションを進めていかなければならない。カメラやX線CT、ロボット、エンジニアリングなど外部との連携も積極的に図っていき、あらゆる測定課題を解決していきたい。

注力する市場は。

 検査市場からも多様なニーズがある。当社がこれまで培ってきた測定技術や自社開発したAI技術を応用しながら、外観検査などこれまで目視に頼っていた作業を置き換えていく。

次の5年で取り組むことは。

 まずは生産体制の再編を進め、「メイドインジャパン体制」を深化させる。そのために現在、国内全10工場の生産能力の拡張に加え、自動化やIoTなどを活用した「ミツトヨ版スマートファクトリー」を構築し、「魅せる工場づくり」にも取り組んでいる。

その他には。

 ロジスティクスの改革だ。当社の製品ラインアップは約6000種類。AIなどを活用して需要を予測し、機器商品なども含めて満遍なく適正量の在庫を国内の物流センターで集中コントロールすることで、コロナ禍のような有事でも供給が途絶えないグローバルな即納体制を整えていく。

機械工具商社に期待することは。

 生産設備との連携によるソリューション提供が重要になるので、それらを組み合わせるコーディネーターとしての役割を期待している。メーカーには無い様々な商材や情報を持つ機械工具商社だからこそできることだと考えている。生産性を向上させるためのアイディアや知恵をユーザーや当社に提供してほしい。

 また、今後国内で伸びるのは機器製品と付随する自動化エンジニアリングだと考えている。19年にはさらなるパートナーシップを強化するために、「特約店制度」や「機器専門店制度」を大幅に見直した。機械工具商社の方々には今まで以上に機器製品の拡販に注力してほしい。

日本産機新聞 2020年8月20日

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