2021年10月18日(月)

ミネルヴァベリタス 松井 裕一朗社長 –BCPのプロに聞く–

 日本でBCP(事業継続計画)策定の重要性が注目され始めたのは東日本大震災以降だろうか。欧米では先行して取り組まれていたが、今回、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発令され、事業が停滞したことにより、BCP策定に取り組む企業が増えるとみられる。機械工具業界も例外ではない。そこで、BCP策定やBCM(事業継続マネジメント)で実績のあるミネルヴァベリタス・松井裕一朗社長に、その考え方や策定要領を事例を交えて聞いた。

視点はサプライチェーン

そもそもBCPとは。

 BCPとは、「通常業務の遂行が困難な事態が発生した際に、速やかに事業の継続・復旧をし、製品やサービスの供給責任を果たすための計画」だ。BCPで最も重要な視点はサプライチェーン。命を守る防災が前提で事業継続計画がその上に乗る。

 万一、依存関係先で一定期間事業中断をした場合、自分たちが何日目から出社・サービスレベルを100%に戻すと言っても、仕入れ先が50%しか事業を再開していなければ100%出社の意味が薄れる。仕入れ先や協力会社、運送業社などサプライチェーンの事業再開のレベル感やスケジュールを把握して自社との足並みを揃えないといけない。その際、各社の再開度合いについて、必然的に最も低い水準で揃えることになる。

 オリンピックによる公共交通機関や物流の麻痺やサイバーテロもリスクだ。大阪万博もリスクが大きい。BCPは、サプライチェーンの事業中断への対策であり、災害の種類・種別と被害の程度は問わない。何が起きても生き残る方策なのだ。

非常時の優先順位を決定

BCP策定の手順は。

 まず事業影響度分析を行う。分析の対象は事業であり、○○の卸売りや○○の設計開発、○○の保守サービスなど経営の柱として挙げられる。あくまで分析対象は営業や製造、経理などの個別の業務ではない。

 お客様の立場になって、自社のこの事業が中断したらどれだけ許容してもらえるかを考える。例えばエレベータの保守事業で、エレベータが止まってから4時間以内に最低これだけの保守サービスの提供を再開させるというのが目標復旧レベルという復旧水準になる。マンパワーが足りないことを想定し、病院・警察・消防・自治体など公共機関にだけでも優先的に保守要員を派遣して何とかする。これが事業の絞り込みだ。全ての事業を何とかしようとすると、全て中途半端な復旧しかできずに破綻してしまい、倒産につながる。医療でいうところの「トリアージ」に近い考え方だ。

影響度分析の次は。

 何を優先するかが見えると、BCP対策の対象を明確にし、有効性の高い対策を検討することができる。例えば、4時間で目標の保守をするための必要人数、必要スキルなどを明確にし、社員の住居分布や集まる方法などを重点的に考える。また、保護すべき設備機器や工具・部品など最低限必要な物量がわかる。人・モノ・情報の最低必要量が分かると、確保すべき資金量なども分析できる。さらに、各事業における依存関係先を洗い出してあれば、発災直後に供給能力へのダメージを問合わせるというサプライチェーン対策がとれる。最後に、必要な経営資源が整わなかったり依存関係先が復旧しなかった場合の代替手段を明確にしておく。代替手段が無いなら無いということを認識しておくことが重要。これができれば、必要なルールも作れる。

機械工具商の事例を考えてみると。

 トリアージ的視点で言うと、重要なお客様、収益性の高い製品やサービス、将来伸びる事業か先細りする事業かなど様々な視点がある。取引先との関係からの供給責任もあるだろう。10年後、20年後に先細りして事業的に厳しいという物よりは、将来伸びる物を優先させるとか。SDGsなど社会的背景の視点もある。機械工具商の立場で何を残すかを考え、いざという局面で事業継続と企業存続の観点から取捨選択が出来るよう、先に事業を分析し、方向性を決めておくということだ。

各社の環境は異なる。

 機械工具商といっても、得意先の性質や取扱商品群などが違うため、分析の切り口も重視する項目も会社によって異なる。

 コンサルタントを活用すると客観的に分析してもらえて有効だと思うが、自治体が支援してくれるところなら、それを活用するのも良い。当社は自治体や産業支援機関などからBCP策定の支援を請け負っていて経験を積み重ねており、お役に立てるはず。

 知識と分析評価をコンサルタントが提供し、診断報告書という形で必要なものを洗い出す。リスクや事業の優先度の観点から本当に必要で効果のあるものを提案するので最低限の費用で投資できる。

BCPの見直しは。

 基本的には年1回は見直したい。主要取引先や主要製品は常に変化する。機械工具の技術の進化と共に変遷していくだろうから、毎年1回は見直したい。依存関係先も変化するだろうし、必要な経営資源や優先順位も変わってくる。最初の策定は難しいが、分析評価のノウハウを蓄積することで2回目以降は自分たちブラッシュアップできる。

BCP策定はビジネスにつながるか。

 協業している卸商社の営業の担当者に聞くと「こんなに営業しやすいことはない」という。かつ「全く値引きさせられなかった」と。事業継続視点での分析評価結果を裏付けとしたご提案が、お客様にご理解頂けているからだと思う。BCPを策定することで、販売価格にも反映できる可能性もある。

 機械工具商は現場ではなく、現場にモノを販売する立場。卸商社がリーダーシップをとり、販売店さんと一緒に市場をつくることができると思う。専門商社として社会的使命でもあると思う。

ミネルヴァベリタス

  • 本  社: 大阪市中央区瓦町4-6-15
  • 電  話: 06-4706-3355
  • 代  表  者: 松井裕一朗社長
  • 設  立: 2011年
  • 従業員数:11人
  • 事業内容: 経営コンサルティング(リスクマネジメント・クライシスマネジメント構築ほか)

日本産機新聞 2020年6月19日

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