2020年10月30日(金)

この人に聞く
サンドビック デジタル加工製品担当 河田 洋一氏

切削工具のIoT時代

 製造現場は様々な課題を解決するため、デジタル技術の活用が始まった。センサを活用した工作機械や関連機器が開発され、その流れは切削工具の分野にも拡大。サンドビックは2016年、デジタル技術を用いてユーザーの生産性向上を図るデジタルマシニングソリューション『CoroPlus(コロプラス)』を立ち上げ、本格的に販売を始めた。IoT時代の切削工具とはどのようなものか、デジタル加工製品担当の河田洋一氏に聞いた。

トータル提案を底上げ

なぜデジタル技術を。

 デジタル化の流れは特別ではなく、今の世の中では必然だと思う。当社の目指す『お客様の生産性向上に寄与する』というコンセプトは変わらず、機械加工を中心に工場全体の効率化を図るには、デジタル技術は活用した方が良いと考えた。デジタル技術を使えば、モノづくりのバリューチェーンの中で加工だけでなく、製品設計や工程計画など加工前の段階で改善提案ができ、全体の最適化が実現できる。

デジタル製品にはどんなものが。

 加工前の設計や計画の段階で活用できるもので、工具選定や加工条件の選定ができるCoroPlusツールガイドと工具やホルダの3次元モデルをアッセンブリしCAM上での干渉チェックやシミュレーションに活用できるCoroPlusツールライブラリがある。これらは基本無償で利用でき、ユーザーがコンピュ
ータ上で行うので利便性につながる。ツールパスは独自技術のコロターンプライムなど特殊な工具に対応したNCプログラム作成用ソフトだ。

機械加工では。

 昨年発売のSilent Tools Plus(サイレントツールプラス)は防振工具内部にセンサを内蔵し、加工中の振動が気になる加工に対し、工具のびびり状況や加工面粗さの目安が分かり、びびりのない適正な範囲の加工条件出しが簡単に行える。コロマントキャプト回転工具ホルダプラスも今年中に販売予定で、センシングによりホルダ内部のベアリングなど部品の振動を可視化することで最適なタイミングでメンテナンスでき、ムダな機械停止がなく、稼働率の向上や自動化の促進につながる。さらに、CoroPlusプロセスコントロールは工作機械側にセンサを後付けし、振動や電流値をモニタリングすることで、工具の摩耗状況などを把握する。

開発中のものは。

 「検証」をテーマに、工場全体あるいはラインの稼働率を分析するソフトウェアを開発している。すでに一部地域で販売を始めており、近い将来、日本も展開する予定だ。

データ活用で従来の加工との違いは。

 これまで経験や勘に頼っていた機械加工がよりデータに基づいた加工へと変わっていく。データによって改善やノウハウの伝承が行われる。当社も工具開発時の加工テストは従来式だけでなく、データに基づいた高度なシミュレーションを駆使して開発が行われており、インパクトの大きい改善ができる可能性もある。

今年の取り組みは。

 切削工具のデジタル化はまだまだ認知度が低い。今年はユーザーや商社も含め、展示会またはセミナーを通じてデジタル化した工具の良さを理解してもらうことに注力する。サイレントツールプラスは既存の防振工具を使ってもらっているユーザーにデジタル化のメリットを訴求したい。

課題は。

 社内教育に力を入れる。従来の切削工具ビジネスとデジタルソリューションは対局のイメージもあるが、デジタル技術はより一層ユーザーの生産性向上を図れるツール、サービスと考えており、既存ビジネスの底上げにつなげていきたい。

 

日本産機新聞 2020年3月5日

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