2025年6月15日(日)

伊東電機 無人ピッキングシステムを開発

物流の人手不足に対応

 コンベヤ用モータローラメーカーの伊東電機(兵庫県加西市、0790・47・1115)はこのほど、トレイを活用し不定形な商品を定形化することで物流・生産のピッキングのオーダー集約の自動化を可能にする新コンセプト「TAPS(トレイマネジメントオートピッキングシステム)」を発表した(写真)。同社のコア技術であるMDRと、AI機能を持ったid-PAC制御技術を搭載した搬送モジュールを組み合わせることで無人のピッキングシステムを構築し、人手不足に悩む物流の自動化を促進させる。

 同社は10年以上前より物流や生産現場の人手不足を予測し、MDR式マテハンによる物流の保管や一時ストレージ、仕分けに加え、ピッキング作業の自動化が図れるシステムの開発を進めていた。
 TAPSは多品種不定形アイテムをトレイの活用で集品や品揃えなどハンドリング作業を自動化し効率化させるシステムで、AI機能を備えたid-PAC制御技術を駆使し4つのロボットらしくないロボットで無人化を図っている。

新たなロボット機能も

 1つはMSS(マジック・シンギュレーション・システム)でコンテナからショックレスでアイテムを取り出し、荷捌き整列、バーコードスキャン、トレイへの投入までの一連作業を高速かつ無人で行うロボットで、処理能力は1時間あたり3600ピース。2つ目はVSS(ヴァーティカル・ソーティング・システム)という垂直方向に仕分けるロボット。昇降リフターと違い、連続して上下移動ができ、上昇と下降を同時進行で行う。処理能力は1時間に2200ケース。

 3つ目のACSS(オート・ケース・シーケンシング・システム)には2つの機能があり、1組のMDRとセンサを駆使して複数個の搬送物を同時に「入庫」「順立て」「出庫」作業ができるほか、少品種多量アイテムに最適なフローラック方式を採用。処理能力は1段あたり1200ケース/時間。4つ目のMOS(マジック・オーダー・システム)は、前述のACSSより出庫されたトレイからショックレスでアイテムを取り出し、同社のMSD(マジック・ステージ・デバイス)という平面ステージ上で搬送・仕分けができるモジュール。出荷コンテナに投入するロボットで、処理能力は1時間あたり3600ピース。

 これらのロボットは人と共働できるロボットらしくないロボットで安全性と高機能を兼ね備えている。TAPSは完全エアレスのMDRを駆動源にしており、組み合わせ自由なため、顧客ニーズに合わせてフレキシブルな対応ができる。

日本産機新聞 平成30年(2018年)10月20日号

[ ニュース ][ 日本産機新聞 ][ 機械工具業界の出来事 ] カテゴリの関連記事

渡辺精機 20億円投じ宮城に新工場【投資する半導体製造装置部品メーカー】

半導体製造装置部品などを手がける渡辺精機(山梨県市川三郷町)は昨年1月、宮城県大衡村に新工場を設立した。約20億円をかけて、マシニングセンタ(MC)やNC旋盤など9台を導入。需要拡大が見込まれるエッチング装置や成膜装置向 […]

池松機工 5軸駆使し生産性と品質高める 【投資する半導体製造装置部品メーカー】

池松機工はこの14年で残業時間を5分の1に減らし営業利益を2倍に増やした。それにより安定して人材を採用できるようになり財務体質も改善した。原動力となったのが5軸加工と自動化による生産体制の大改革。未来を拓く技術と見極め、 […]

積極投資で生産能力増強 【特集:投資する半導体製造装置部品メーカー】

積極投資で生産能力増強 【特集:投資する半導体製造装置部品メーカー】

日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、日本製半導体製造装置の市場は2024年度に初めて4兆円を超え、26年度には5兆円に到達する見通しだという。製造装置メーカー各社は技術開発や生産能力の増強に向けた投資を増やし、拡 […]

トピックス

関連サイト