人手不足や高齢化に商機 2025年の国内経済は自動車産業の回復の遅れや半導体市場の低迷などで厳しい局面が続いた。その中、製造現場は人手不足・技術者の高齢化が大きな課題となっており、現場の自動化/省人化、環境改善、技能伝承 […]
〜生産現場を訪ねて〜
兼房(愛知県大口町)
PCDろう付工具で金属加工切り拓く
工業用機械刃物の専門メーカーである兼房(愛知県丹羽郡大口町)は1896年(明治29年)に鍛冶業として創業以来、100年以上工業用刃物を製造している。特に木質材料加工用工具(木工用工具)は高いシェアを誇り、長年蓄積した技術に加え、コーティング技術、レアメタル使用を削減する接合技術、丸鋸の薄型化、レーザースリット静音技術などの技術開発で業界をリード。近年は住宅着工件数の減少を考慮し、住宅関連刃物以外の非住宅分野である金属や樹脂、製本紙工、自動車部品関連向けの工具開発に力を入れ、2018年3月期の売上高は195億円(前年比6.1%増)を達成した。将来性を見据える金属・樹脂切削用の切削工具や本社工場の取り組みを紹介する。
特殊対応に強み 自動化、生産性改善へ
「自動車関連の軸物による金属の精密切削分野に力を入れ始めたのは2010年頃」と営業統括の近藤課長。人口減少による住宅関連向けの需要減少への危機感と同分野の依存脱却を図るため、新分野の開拓を模索。そこで目を付けたのがリーマ・ドリル・フェースミルによる金属切削加工。「以前より金属材料を切断する丸鋸を販売していたので横展開が図れると考えた」と、培った技術を金属切削加工に応用。同社が得意とするのはPCD(多結晶ダイヤモンド)のろう付け工具だ。特に『多刃ダイヤフェースミル』は特殊対応工具で外径50φに16枚刃が付く。インサート工具に比べ、ダイヤチップの刃数を増やす超狭ピッチの配列ができ、自動車などアルミ部品の高能率な正面フライス加工と独自構造(特許取得)の刃先クーラントに対応し、高速加工を実現。「PCDろう付け工具は珍しく、Rを変えたり、角度を変えたりなど設計に自由度があり、高精度な刃付け技術によって顧客の高品位、高生産性につながる」とし、リーマやドリルの製造ほか特殊対応や再研磨も行う。樹脂加工用工具はチップソー、カッター、ドリル、エンドミルを揃え、アクリルやポリエチレンなど様々な樹脂素材に対応し、CFRPの加工にも挑戦。金属と樹脂切削用工具は着実に販売を伸ばし、非住宅分野は全売上の4割以上を占めるまでに至った。
製造工場は本社工場と中国、インドネシアにある。本社工場は面積6万7000㎡で、平刃、丸鋸、精密刃具の3事業部があり、平刃製造工場、チップソー、コールドソーなどの各丸鋸工場、替刃式工具やダイヤモンド工具を製造する第1、第2精密工場、自動車向け精密工具の第3精密工場などで、生産効率向上をテーマにロボットによる自動化を促進。同時に3年前から「未来プロジェクト」を立ち上げ、製造現場の徹底的なムダ取りと生産効率の向上を進めた。その結果、生産性は毎年3%以上向上し、不具合損失も3年前の5分の1に削減。その他の設備も生産技術者が既存設備をカスタマイズし生産能力を高めたほか、国家技能検定の推奨など技術者の育成を図る。16年2月には自動車向け精密工具の専用工場(前述の第3精密工場)も立ち上げ、最新設備での生産を開始。今後は「フェースミルは一度採用されるとリピート率も高い。PCDろう付け工具をブランドイメージにJIMTOFでも新製品を投入予定だ」。


会社概要
代表者:渡邉將人社長
本社住所:愛知県丹羽郡大口町中小1-1
電話:0587・95・2821
事業内容:工業用機械刃物・工具・機械部品の製造販売など
日本産機新聞 平成30年(2018年)7月20日号
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