2024年3月29日(金)

【座談会】販売店4社が語る2018 テーマ「未来を拓く戦略」
第1部 -各社の課題と取り組み2-

前回【【座談会】販売店4社が語る2018 テーマ「未来を拓く戦略」第1部 -各社の課題と取り組み-

いろいろな会社を持つと組織力というか統率力が問われると思うのですが。

 和久田  元プロ野球選手と話をしたときに興味深いと思ったのが、当地区のチームは組織力が弱いというのです。逆に組織力が強いのは赤いヘルメットのチーム。組織力の弱いチームは自分の役割が何であるか分かっていない。例えば、1番が出塁したら2番はバントで走者を進めて、3、4番につなげるなど、それぞれの役割がしっかり決まっているチームは組織力があると思います。すべてのバッターにホームランを求めるのはいかがなものかと。プロ野球選手は基礎力を持っているので、まとめられないのはコーチや監督の責任。だから役割をこなす適材適所を見つけてあげることが大事です、良い所をみつけて褒めてあげる。社員も同じでしょう。コーチングと管理は別で、管理すると組織が硬直化すると思います。良いチーム(会社)にするには責任者(社長など)が個々の役割をみつけてあげて、コーチングして、焦らず育てていかないと強くならないでしょう。

先ほどコツコツと言われましたが社員の生産性は上がっていますか。

 和久田  工夫をきちんとすれば、どんどん生産性は上がっていくと思います。沢山のことをまとめて実行するのではなく、一つひとつをコツコツ解決する形の方が生産性は上がりますよ。当社も帰る時間が1時間ほど早くなりました。ですが、やっぱり早い人と遅い人で差がでますね。

 小浦  その理由は何ですか。

 和久田  自分の慣習や方法が変えられない人ですね。工夫しようとすると相当考えなければいけません。最近その社員に整理の本を渡して、自分の机をキレイにしてみたらと話しました。

 林  5Sですね。

 和久田  それをやり始めたら、書類の整理整頓ができるようになりました。ただ、その社員が会社のトップランナーにはなれないでしょうね。トップランナーは自分でどんどん工夫しますから。個々に指導する方が良いでしょう。

林社長 第2部
人材確保は海外進出より難しいと語る林社長

 林  生産性が向上したというのは労働時間で判断するのですか。

 和久田  そうです。当社は残業手当があり、月40時間以内に抑えようとしています。定時が5時半ですから7時半には退社して、家族の時間やプライベートの時間をつくりなさいと言っています。

それ以降でも残っている社員さんは。

 和久田  まだいますね。面白いのが最近、周りの社員が助けるようになりました。社内のコミュニケーションが取れているからだと思います。コミュニケーションは頻繁に取らないといけない。それにはお金がかかります。当社は1回の食事(飲みニケーション)で1人当たり5400円まで補償しています。

それは月あたりですか。

 和久田  月に何回やってもいいんです。後で領収書の裏に話の内容を書いてもらい、人数も限定していません。だいたい1人あたり月1回の20人と考えれば10万円ほどはかかりますね。
 そのほか、部署ごとに使用できる費用があるので、例えば、お客様の誕生日にケーキを買うなど、社員の自由度を上げることを図っています。

自由度は上げた方がいいのでしょうか。

 和久田  規律は必要ですが、皆さんも飲みに行って領収書を切りますよね。その感覚を社員にもやらせてあげる。変な使い方をしないようにとお願いしています。

コミュニケーションのことで聞きたいのですが、社員さんから「どうしたらいいですか」と尋ねられたら、社員さんの意見は聞くのですか。

 和久田  聞きますね。こうしたいって言ったらやらせます。失敗してもいいので、まずやらせます。どちらかというと、失敗して「どうしたらいいですか」と聞かれることが多いですね。

聞き役になると。

 和久田  社長の仕事は社員の悩みを聞くことです。聞いてあげるのが社長の役目のひとつだと思います。

幡野社長 第2部
決算をオープンにすることは、目標につながると言う幡野社長

こうらさんはまだ若いですが、苦労しているところはありますか。

 小浦  私は3代目になるのですが、2代目である父がそれなりの考えを持って社員を引っ張っていたので、結構ワンマンなところがありました。それが社風だったので、社員も大人しく、自主性もあまりない社員もいました。8年前に父が病気で亡くなり、私が会社を引き継いだときに、それが課題でした。そのうちに先輩社員も辞めていき、昨年も1番の古株社員が辞めました。都度、人を採用しているので、今は若い体制になったのですが、今度はその人たちをまとめていかないといけないという課題も抱えています。会社と自宅が一緒の家業ですが、管理職である課長がリーダーになって社員と一緒にやっていくような組織体制に変革しようと取り組んでいるところです。今は弟を交えて、課長と一緒に飲みに行ったり、勉強会の後に飲んで話したり、セミナーに行くなど連携を取るようにしています。それがどんな効果をもたらすかはわかりませんが、ひとつずつ課題に対してと解決策を講じていくしかないと思います。

社員さんが自分で考えない傾向が強かったことが課題だったのですね。

 小浦  そうですね。おとなしいというか。これからは社長に全部任せっきりではなく、責任を持ってやっていってほしいと思っています。ですから、この人はメーカーさんとの商談、この人は展示会責任者といったように、1人ずつ役割を与えて実行するようにしています。その上に営業課長がいて、まとめていくという組織体制です。私が全部やるのではなく、その人たちにやっていってもらい、責任感と自主性を養っていきたいですね。

社員の成長を期待しているということですね。

  小浦  もちろんです。ですから、人材育成の勉強会や愛知県機械工具商業協同組合が実施しているセミナーなどへも積極的に参加するようにしています。メーカーの勉強会もありますので、何が正解か分からない以上、とにかくやれることはやっていこうという考えで動いています。

和久田社長 第2部
コミュニケーションを図ることは会社の風通しが良くなると和久田社長

若手中心ということですが、社員の平均年齢は。

 小浦  平均年齢は30代ですね。一番上でも40代で、50代・60代はいません。

 林  若いですね。定年までは、まだまだかなり先になります。

今後も会社を引っ張っていく人たちですね。

 小浦  若手社員が中心なので、ある意味これから会社をつくっていくという感じです。そういう意味で人材育成は課題になりますが、チャレンジしていきたいと思います。

昨今は働き方改革などで、業界では時短の動きが活発になっていますが。

 小浦 いつも夜9時ごろまで仕事をしているので、早く帰れるようにしたいですね。

 林  客先から帰ってくるのが遅いということですか。

 小浦  そうですね。帰ってくるのも遅いし、会社で2時間、3時間と仕事をやっています。なかなか処理能力が向上していない状況だと思います。水曜日は「早く帰ろうDay」に決めていて7時に帰っていますが、ほかの日も8時までに帰れるようにしようと考えています。だから現状の9時をどのように短縮するか、先日の営業会議でも議題に挙げたばかりで、本当にこれからスタートしようとしているところです。

ちなみに社長は何時に退社していますか。

 小浦  8時か9時です(笑)。私も早く帰りたいです。

 和久田  今「フラリーマン」という言葉がありますよね。早く退社しても、みんなどこかでフラフラしている。

 林  家に帰りたくないのかな。そこがわからないと社員も納得しないのではないでしょうか。

小浦社長 第2部
若手育成、退社の時短などが課題と語る小浦社長

 和久田  子供が小さければ、一緒にお風呂に入ってあげればいいのに。

 小浦  本当はそうしたいんです。

 林 まず、社長が自己改革しないと。

 幡野  仕事が好きなので、10時まで仕事をしたいって言われたらどうしますか。

 小浦  社長はいくら仕事をしてもいいと思いますが、社員は9時まで仕事をしていて何かあれば困りますよね。

 和久田  社長が1度家に帰って、社員を帰らせてから再度会社に戻ってくるのはどうでしょう。

帰社後の仕事内容はどんなものがありますか。

 小浦  伝票整理や見積もりの作成、お客様から言われた調べ事をするなどですね。止めなかったら社員は9時過ぎまでやっています。会社に早く帰ってくる人が、実は帰るのが遅いんです。コツコツやっていないというか、工夫ができていないんでしょうね。

 林  うちにも遅い人がいますが、それは、客先の夜勤の人が「打ち合わせが6時から始まるので来てほしい」と言われて打ち合わせに行くので、客先を出たのが7時半になってしまうのがあるようです。そうなると、会社に戻ると9時になって、それから見積もりをつくったら10時になってしまいます。仕方ないけど、なるべくはそういうこともなくしたいですね。だけど、5時や6時に会社に帰ってきて、普通に10時まで会社にいるっていうのは不自然だと思います。

 小浦  どのように工夫するのが良いのでしょうか。一人ひとり事情も違うので、今年3月からは8時で会社のシャッターを閉めようと考えています。だから今のうちに早く帰れるように工夫しなければいけません。

【座談会】販売店4社が語る2018 テーマ「未来を拓く戦略」第2部 -外的変化に対応するには-に続く

日本産機新聞 平成30年(2018年)1月5日号

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