2021年12月3日(金)

機械工具業界の2017年を振り返る
景気回復、新技術続々 押し寄せる二つの波

得意淡然の戦略を

2017年機械工具業界の主な出来事
・工作機械の受注額が07年過去最高の1兆6000億円に迫る
・機械工具上場商社9社の中間期売上高が前年同期比10.4%増
・日本機械工具工業会が年間生産額見通しを前年度比6.9%増に
・工作機械やFA関連機器メーカーがIoTで事業提携
・アマゾンジャパンが工具などの法人向けネット販売に参入
・全日本機械工具商連合会の会長にNaITOの坂井俊司社長が就任
・機械工具や伝導機商社各社が産業ロボットの販売に注力

 機械工具業界の2017年は、「景気回復」と「新技術」の二つの波が押し寄せた一年だった。工作機械や切削工具は需要が大幅に拡大し、一方ロボットやIoTなど新技術が次々と登場した。製造業に自動化投資が広がるなかで、この二つの波は当面続く。機械工具商社はこの流れをチャンスと捉え、得意淡然の姿勢で挑みたい。

 年初に開かれた日本工作機械工業会の賀詞交歓会。花木義麿会長(当時、オークマ社長)は工作機械を取り巻く環境について「日本と世界経済は好転する。製造現場の高度化ニーズは増えていく」と語った。その場で発表した年間受注目標額は1兆3500億円。2016年と比べ約10%増とするものだった。

 予想どおり17年は工作機械の好調で幕が開いた。1月受注は好況の指標となる1000億円を超す1037億4400万円。1000億円超えは11月まで続き1〜11月累計は1兆4796億8100万円。12月に1100億円以上であれば年間受注は07年の過去最高を上回り1兆6000億円に達する。

 需要拡大の原動力は自動車や半導体の旺盛な設備投資。装置・部品メーカーはEV用電池や変速機、スマートフォン向け高機能基盤などの生産設備を増強。機械商社は「政府の補助金の効果もあり設備投資の動きは中小企業にも波及した。ライン増設や更新受注が相次いだ」と振り返る。

 影響はFA機器や切削工具にも広がった。工作機械向けのコントローラやボールねじ、直動システムは需要が膨らみ「安定して調達することが困難」(工作機械メーカー)な状況に。切削工具は半年遅れの8、9月から受注が好転。日本機械工具工業会は年間生産見通しを当初より157億円多い4737億円(前年度比6.9%増)に上方修正した。

 機械工具商社の業績にも如実に表れた。上場9社合計の第2四半期の売上高は前年同期比10.4%増の7233億2700万円。なかでも工作機械に強い山善は14.8%、切削工具を主力とする大阪工機は14.5%増やし、半導体や関連市場を開拓した日伝は16.6%、鳥羽洋行は32.1%伸ばした。

 自動化・省力化の新技術としてひときわ脚光を浴びたのが産業ロボットやIoT。人と一緒に働く協調ロボットや画像認識しワークをピッキングするロボットが登場。IoTは生産設備の稼働監視や遠隔操作における用途開発が進む。

 今年開かれた工作機械とロボットの2大展示会、メカトロテックジャパンと国際ロボット展にはロボットやIoT活用の新技術を見ようとそれぞれ10万人前後の製造業関係者が訪れた。

 特にロボットは少子化が進む日本で労働力の新たな担い手として期待が高まる。新エネルギー・産業技術総合開発機構は日本の産業ロボット生産額は35年に2兆7000億円になると予想。それをけん引するとみるのが中小製造業で、ある販売店は「段取り替えなどに1、2台導入したいという引き合いが増えた」と話す。

 快走を続ける機械工具業界。しかしその一方で商社や販売店に先行きを楽観する気配はない。製造業が海外に移転し、ネット販売の参入が相次ぐ。販売店は「いつリーマン・ショックのような不況が起こるとも限らない。工作機械やロボットなどの先端技術の提案スキルを高めるとき」と気を引き締める。

 大阪機械器具卸商協同組合は4年前、創立100周年記念事業で機械工具商社が勝ち残るキーワードに「50(フィフティ)」を掲げた。市場はいずれ半分になる、勝ち残るためには減った仕事を補完する新たな挑戦が必要となる、というものだった。得意淡然、今こそあのとき抱いた危機感を忘れてはいけない。

日本産機新聞 平成29年(2017年)12月20日号

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