2025年5月24日(土)

OMJCリレーインタビュー 昭和電機 取締役営業本部長
(OMJC理事)柏木 健作氏

海外展開で大切なことは?

その国の言葉で話す

柏木健作氏
 1972年生まれ、京都市出身。94年関西大学文学部教育学科卒、横浜タイヤ近畿販売入社。97年昭和電機、2011年昭和電機伊賀の社長、15年昭和電機の取締役営業本部長。趣味はオートバイ、バスフィッシング。尊敬する人は柏木秀雄氏(昭和電機創業者)、本田重樹氏(2輪レース専門会社・HARC−PRO会長)。
 海外展開で最も大切なのは、その国の言葉で現地の人とコミュニケーションすることだと思うんです。当社では、商社マンと商談するときも修理でユーザーを訪ねるときも、その国の言葉で話しています。商品カタログや取扱説明書、会社案内にもそれぞれの国の言葉で説明する文を入れています。

 それは、当社の経営姿勢や商品の特長をより正確に知って貰うこと。そしてその国の人特有の考え方や要望を知るためです。「英語で話せば…」と思われるかもしれません。けれど、多くの日本人が思っている以上に英語を話せる人は少なく、話せても微妙なニュアンスが通じにくい。

ニーズしっかり掴める

 そう感じたのは、海外に力を入れ始め、ひとりで訪問活動をしていたタイで、ある日系のユーザーを訪ねたときです。日本人社長がタイの技術者を叱っている。けれど技術者はいまいちその内容や理由を飲み込めていない。ずっと「?」という表情だから、私が代わりにタイ語で説明してあげたら、「ああ…そういうことか!」と。

 そのやり取りをしたとき、これは当社の商談や修理にも通じるのでは、と思ったんです。熱を入れて商品説明しても良さを理解して貰えてなかったり、故障の原因や改善して欲しいことを話して貰えなかったり。それでは販売は伸びないだろうし、商品の改良にもつながらない。

 そこで、「言葉」に力を入れたんです。まず私が、海外展開への足掛かりと考えていたタイの言葉を学びました。そして2012年に現地法人を設立し現地人スタッフを採用しました。日本本社でも外国人スタッフを採用し、カタログなども各国版をつくりました。いま本社ではタイ、スペイン、台湾、インドネシアのスタッフが海外からの問い合わせに対応していますし、カタログも22ヵ国版にまで増えました。

 海外の人からすれば、自国の言葉で話されたらイメージし易いし、その国の言葉特有の表現で主張を伝え易い。それに親近感も沸きますよ。逆の立場で考えたら、日本に来た旅行者に「モウシワケアリマセンガ…」と尋ねられたら助けたい気持ちになりますよね。

 海外に本格的に力を入れ始めたのは、2010年にOMJCのタイ視察でバンコクの街を見て危機感を抱いたのがきっかけです。物凄いスピードで経済発展し、製造業はどんどん成長していて、当社商品の需要も増えていく。なのにそれまで殆ど目を向けてこなかった。

 海外への販売は2010年と比べると15%増え、順調に伸びています。次に考えているのは、外国人スタッフの母国への出張です。言葉に加え文化や政治などにも理解があるから、現地のお客様ともっと深くコミュニケーションできるのではないでしょうか。



 ※OMJCリレーインタビューは前走者が次走者にインタビューのテーマを投げ掛け、バトンをつないでいきます。次回は、コノエ・河野裕氏。前走者・柏木氏の質問は「トップセールスでどう結果を出すか」。

日本産機新聞 平成28年(2016年)8月25日号

方針浸透させ、組織を動かす【現場考】

貫く姿勢 上にも下にも 中間管理職について考える「現場考」。そもそも中間管理職が期待されていることは何なのだろうか。メーカーや商社の経営者に尋ねた。多くの経営者が答えたのは、「担当する組織に会社の方針を浸透させ、それに基 […]

シグマー技研 フィルム巻き作業の半自動・省人化に「ぺらんぺRUN」

シグマー技研 フィルム巻き作業の半自動・省人化に「ぺらんぺRUN」

ギアモーターや減速機のシグマー技研(三重県員弁郡東員町、0594・76・1231)は、トラックなどで運ぶ荷物へのフィルム巻き作業を半自動化、省人化できるストレッチフィルム包装機シリーズに低床タイプの「ぺらんぺRUN」を販 […]

ミスミグループ本社 自販機で間接資材の調達時間7割減

ミスミグループ本社 自販機で間接資材の調達時間7割減

ミスミグループ本社は4月から、自動販売機による間接材の調達コストを削減するサービスを開始した。ユーザーの工場に自動販売機を設置し、発注頻度の高い商品を中心に販売する。発注や在庫の手間、不正な商品の購入防止につなげる。間接 […]

トピックス

関連サイト