2021年7月25日(日)

車8社、設備投資拡大 総額2兆9千億円

研究開発へ攻め

環境車の増産が軸

乗用車8社の2014年度設備投資計画。

日本の乗用車8社の2014年度設備投資と研究開発計画が出そろった。設備投資額は、総額で前年度比1.8%増の2兆9000億円、研究開発費は同4.6%増の2兆5270億円と、過去最大の2006年度に迫る(設備投資)、上回る(研究開発費)久しぶりの大型投資が行われる。中味を大別すると、ガソリン車・ディーゼル車・HV(ハイブリッド車)の増産に加え、FCV(燃料電池車)及びEV(電気自動車)の本格生産、新プラットフォームの開発、異なる車種間の部品・ユニットの共通化(コストと工数の削減)、部品生産及び組立ラインの合理化、ものづくりのムダを、設計・生産技術・製造・調達まで一体になって省いて行くところにもきめ細かく投資が計画されている。しかも、投資は、国内(2~3割)、海外(7~8割)に跨る。乗用車8社が明日に向かって動き出した。

トヨタ、国内5千億円

乗用車8社の設備投資と研究開発額は、グラフのとおり。
設備投資の断トツは、トヨタ自動車の1兆200億円(前年同期比1.9%増)で、次いでホンダの6500億円(同10.5%減)、日産自動車の5250億円(同2.1%減)…の順。同じように研究開発は、トヨタ自動車が前年度比5.4%増の9600億円、ついでホンダの同1.7%増の6450億円、日産自動車の同6.4%増の5000億円となっている。トヨタは合計で約2兆円にのぼり、その多くは次世代自動車の投資が占める。
各社の投資内容は、具体的に明記していない。大まかに方向性を打ち出している。
トヨタ自動車。同社は、16年ぶりとなる新車開発の大改革を進めている。15年度の発売を目指すHV「プリウス」の次期モデルの開発と2012年度にスタートしたTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)を基本にプラットフォーム、エンジンなど主要機能部品の開発・生産を強化している。国内投資は、5000億円。
このTNGAは、豊田章男社長が機会あるたびに口にする「もっといいクルマをつくろうよ」が原点。「部品一つひとつを競争力ある素性の良いものにした上で、共通化し、シンプルでフレキシブルなモノづくりをする」というもの。
例えば、「クルマを骨格から変え、低フード化、低重心化の実現、運動性能の向上、お客様の感性に訴えるクルマとするなど、次期プラットフォームを開発し、15年に発売する新型車から順次導入する」と、言うもの。また、同社は、研究開発でも前年度比で約500億円増やし、過去最高の9600億円を予定している。
ホンダは、新車種投入に伴う生産設備の拡充、合理化及び更新、研究開発施設・販売施設の拡充に前年度比12.6%増の6500億円を計画している。うち四輪車は、5599億円を占める。研究開発費はトヨタに次ぐ規模で、同1.7%増の6450億円を準備している。
日産自動車(中国合弁比例連結)は、2016年度末までに、平均6週間ごとに1車種、新型車を投入(予定)中。計画終了時には「66車種を取り揃え、世界の市場・セグメントの92%をカバーする」としている。メインは、ゼロ・エミッションとピュア・ドライブ。低燃費技術のラインナップの充実、期間中に累計150万台のEV販売を計画している。

新車開発を加速

マツダ、富士重工業も思い切った投資を計画している。
マツダは、大ヒット中のSKYACTIV搭載の車両を8車種導入(計画)する。それに伴い、年間生産能力40万基規模のトランスミッション工場をタイに建設中。また、車両の100㎏以上の軽量化(燃費改善5%相当)やSKYACTIV-D(ディーゼル)の燃費改善20%/Euro6適合)を計る設備投資、研究開発を続けている。
富士重工業は、16年度までの3カ年に3300億円の設備増強を計画しており、14年度には1200億円を投資する。矢島工場には今夏、30億円掛けてラインの刷新、組立前の溶接工程を改良するほか、群馬工場では完成車の生産能力を5000台増の62万7000台にする。
三菱自動車は、国内生産を年間60万台維持するとともに、PHV(プラグイン・ハイブリッド)を生産する名古屋製作所の組立ラインを車1台分ごとパネルに乗せて流す方式に切り替え、水島製作所は軽自動車とEVの生産拠点に集約する。
スズキ(連結)の投資を活発化させている。南海トラフ巨大地震に備え、沿岸部の工場を内陸部に移管する工事を進めている。投資額は、610億円。15年度から段階的に稼働する予定。ここでは、二輪車のエンジンと次世代環境車のパワートレインなどが生産される。
ダイハツ工業(連結)は、14年度の軽自動車市場を前期比20%減の180万台と見て、1150億円を投じ新車を含めた6車種の新製品を投入する。また、久留米開発センター(品質の確保と開発スピードアップ)と海外調達力の強化など新規事業の基盤づくりも進める。
以上が、乗用車8社の14年度と以降の計画である。またとない大型設備投資と研究開発が目の前にある。(2014年度アニュアルレポートないし有価証券報告書から)

日本産機新聞 平成26年(2014年)7月1日号

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