2025年8月11日(月)

山久 空調ソリューションが2桁成長【特集:機械工具販売店の新戦略】

機械工具販売店が積極的に新たな戦略を展開している。工作機械や工具、機器の需要の先行きが見通せず、その一方で人手不足に直面する。それらの課題を乗り越え、事業をさらに成長させていくためだ。独自の発想による新戦略でどんな力を高め、どんな成長戦略を描いているのか。

特定建設業など資格取得を推進

機械工具販売やエンジニアリング事業、環境ソリューションを手掛ける山久は10数年前から空調ソリューションに取り組み、空調機器単体の販売だけでなく工事案件も受注できる体制を整えてきた。昨今、熱中症対策を喫緊の課題に挙げる顧客も増えたことで業績も順調に伸ばし、空調ソリューションの受注は2桁成長している。

始まりは2012年に空調メーカーのダイキンと業務提携。「ダイキン空調京滋(当時)から若手社員を受け入れ要請があり、機器販売から工事まで拡げるきっかけになった」と平山正樹社長。当時から国内で夏の猛暑が大きな課題となり、社員と二人三脚でエアコン+工事受注の空調ソリューションを開始。年々暑さ対策ニーズも増えたことで徐々に引き合いも増加。平山社長は「1年目は苦労していたが、社員が管工事施工管理技士2級を取得したことで少しずつ種蒔きを増やし、5年後には大きく実り始めた」と当時を振り返る。

工事案件を受注できる体制へ

大手ユーザーからも機器と工事案件を一括発注したいというニーズやコンプライアンス強化を受け資格取得を強化。現在は(特定)機械器具設置工事や(特定)管工事、(一般)電気工事の許認可ほか、管施工管理技士1級が3人、2級は7人取得するなど様々な資格を保有。大型案件も含め販売から工事までワンストップで受注できる体制を整え、空調ソリューションは環境ソリューション事業の大きな柱へ成長。全体空調のみならず省エネ効果の高い補助金活用プロジェクトの提案ほか、直近は暑さ対策や省エネだけでなく脱炭素に貢献するため、地中熱を活用した土木工事を伴う冷暖房・換気システム『GEOパワーシステム』の受注にも力を注いでいる。

省エネ補助金の活用も

「今後の課題は熱中症対策と工事立会者の健康確保」と平山社長。真夏の工事現場は熱中症の危険も高く、工事立会者の健康確保を最優先とし、「健康確保が難しい案件は受注しない方針。今年6月から熱中症対策義務化により、社員や作業者の命を守ることが責務」と強調。同社の経営方針は『地球上で最高に安心な企業を目指して』を掲げており、現場作業者、立会者が安心・安全で作業できる環境を目指し、安全教育の徹底や施工管理体制の構築を図る。

また、23年に関西電力の変電所の電気設備工事を手掛ける山口電気工業(京都市)と資本業務提携を締結。平山社長は「将来は電気工事までグループによる一気通貫で行うことでシナジー効果を生み出していきたい」。

本  社:滋賀県長浜市八幡中山町1202‐5

電  話:0749・63・6611

代表者:平山正樹社長

創  業:1931年

従業員:80人

事業内容:機械卸売業、エンジニアリング事業、レジリエンス事業、環境ソリューション、プロデュース事業

日本産機新聞 2025年8月5日号

疋田産業 販売店2社と共同配送の体制を構築【特集:機械工具販売店の新戦略】

機械工具販売店が積極的に新たな戦略を展開している。工作機械や工具、機器の需要の先行きが見通せず、その一方で人手不足に直面する。それらの課題を乗り越え、事業をさらに成長させていくためだ。独自の発想による新戦略でどんな力を高 […]

ヤスヒラ 部品一つの電力量を測定【特集:機械工具販売店の新戦略】

機械工具販売店が積極的に新たな戦略を展開している。工作機械や工具、機器の需要の先行きが見通せず、その一方で人手不足に直面する。それらの課題を乗り越え、事業をさらに成長させていくためだ。独自の発想による新戦略でどんな力を高 […]

ツボサカ機鋼 異業種のコングロマリット【特集:機械工具販売店の新戦略】

機械工具販売店が積極的に新たな戦略を展開している。工作機械や工具、機器の需要の先行きが見通せず、その一方で人手不足に直面する。それらの課題を乗り越え、事業をさらに成長させていくためだ。独自の発想による新戦略でどんな力を高 […]

トピックス

関連サイト