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渡辺精機 20億円投じ宮城に新工場【投資する半導体製造装置部品メーカー】
半導体製造装置部品などを手がける渡辺精機(山梨県市川三郷町)は昨年1月、宮城県大衡村に新工場を設立した。約20億円をかけて、マシニングセンタ(MC)やNC旋盤など9台を導入。需要拡大が見込まれるエッチング装置や成膜装置向け部品などの生産能力を引き上げ、顧客の需要に対応する。さらに生産拠点を分散化させることで、事業継続計画(BCP)対策にも取り組む。災害時の事業中断リスクを軽減し、部品供給の安定化を図る。同社の取り組みを取材した。
生産能力強化、BCP対策
同社は1968年に創業し、78年に法人化。創業当時は自動車部品用金型やカメラ部品の加工などが主力だったが、80年代に入り、半導体製造装置部品を手掛けるようになった。現在は売上の8割ほどを半導体製造装置関連が占めている。
主に手掛けるのは、検査装置や、エッチング装置、成膜装置などに組み込まれる部品。サイズは10~800㎜ほどの中小物部品を製造する。被削材は、検査装置部品は鉄やステンレス、エッチング装置や成膜装置はアルミニウム合金が多いという。
特にリング形状の薄物部品を得意としており、「厚さ2~3㎜ほどのワークを全て削り出しで加工している」(代表取締役・渡辺秀重氏)。こうした薄物部品は歪みや反りなどの変形が生じやすく、加工時の固定方法や加工条件が出来栄えを大きく左右する。同社ではこれまでに積み重ねてきた独自の技術とノウハウによって薄物部品の高精度加工を実現している。

手掛ける部品の中でも特に需要の拡大が見込まれているのがエッチング装置や成膜装置向けだという。ウェハー上に回路を形成するエッチングや成膜と呼ばれる工程は、半導体の微細化や3次元化のニーズによって技術革新が進み、装置の需要も増している。主要顧客の装置メーカーでも増産に向けた投資を進めており、「受注を獲得していくためには、生産能力の拡大が必要だった」(渡辺秀重氏)。
新設した宮城工場はこうした拡大する需要に対応するために設立を決めた。市街地から北へ24㎞に位置する第二仙台北部中核工業団地に立地し、敷地面積は約2万㎡。同工場の設立によって、生産能力は従来に比べて約1・3倍に拡大した。「まだスペースに余裕があり、設備の増設が可能。設備を増やせば、生産能力は従来に比べ、2・5倍超となる」(代表取締役・渡辺順一氏)。
また、宮城工場の設立は生産能力の強化だけでなく、BCP対策も理由の一つとなっている。設備台数は山梨本社工場の4分の1程度だが、設備する機械の種類はほぼ同じで、対応できる加工範囲もほとんど変わらないという。「顧客からの要望もあり、こうした体制を整えた。生産拠点を分散させることで、万が一、どちらかの拠点で災害が発生しても部品を供給し続けることができるようになった」(渡辺順一氏)。

同社では今後も半導体市況や需要に応じて設備増強を継続していく考え。「宮城工場だけでなく、山梨の本社工場でも必要に応じて投資を行っていく」(渡辺秀重氏)。また、宮城工場では製造だけでなく、顧客と共同で研究開発などにも取り組んでいくことを構想する。「今後も半導体製造装置部品に注力し、顧客の要望に対応していきたい」(渡辺秀重氏)。

本 社: 山梨県西八代郡市川三郷町高田527‐1
電 話: 027・371・5811
代表者: 渡辺秀重氏、渡辺順一氏
設 立: 1978年
従業員: 79人
日本産機新聞 2025年6月5日
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