2025年7月26日(土)

トラスコ中山 中山  哲也社長「BCP対応力を強化」【特集:商社トップインタビュー】

人手不足や自動車の電動化など、製造業を取り巻く環境は大きく変化している。時代の変遷に対応し、販売店やユーザーをサポートするため、卸商社は独自の戦略を強化する。新商材の開拓やコト売り、デジタルツール活用や社内体制の改革など各社で事業戦略の違いが鮮明になってきている。卸商社各社の戦略や具体的な取り組み、それに注力する背景などをトップにインタビューし、その考えを読み解く。

ユーザー直送能力を向上

中山  哲也社長

今年注力することは。

BCP(事業継続計画)への対応策を強化する。今年に入り9つの自治体と災害復興協定を締結・合意し、現在15の自治体と締結・合意している。災害発生時や、災害復興に関連する商品を迅速に届けられるようにする。

具体的には。

今年4月にBCP対応推進課を立ち上げ、対応関連製品の拡充を図っている。これまでも発電機やビニールシートなど200を超える商品の在庫を6カ月分以上持ってきた。しかし、災害発生時と復興に必要になる商品は異なり、もっと増やす必要がある。現在1500アイテム以上まで増やしたが、今後も拡充していく。来年のトラスコ オレンジブックでは、対象商品にBCPロゴマークを付け、商品選定をしやすくする。

強化する狙いは。

イザという時に役に立たない会社ではいけない。また、会社の実力は非常時にこそ発揮されると思うからだ。東日本大震災時に商品落下によって供給できないこともあり、非常に悔しい思いをした。震災後にできた物流センターには免振装置を導入している。

数年来進めてきたユーザー直送は。

引き続き、強化していく。ユーザー様直送は今年770万個、430億円まで引き上げる。当初はネット通販事業者の利用が多かったが、現在、25%は機械工具販売店に利用を頂いている。人手不足が加速する中で、よりニーズはもっと強くなるとみている。ユーザー様直送できる物流設備を継続して投資する。

今後の方向性は。

先ごろ、一橋大学の楠木健教授に言っていただいて気づいたのは、「一見非合理だと思える施策を選択することが、他社にマネできない面白い企業づくりにつながる」ということだ。売上高などの数字目標ではなく、「こうありたい」という能力目標の達成に向け、教科書にはない施策を進め、他社にマネできないサービスを強化していく。

日本産機新聞 2025年7月20日号

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