2025年11月21日(金)

機械工具上場商社 2025年4-9月決算

自動化需要さらに増加

機械工具上場商社の2025年4—9月期決算(トラスコ中山、フルサト・マルカホールディングスは1—9月期、NaITOは3—8月期)が出揃った。自動車の設備投資が依然として鈍いが、人手不足を背景に増加する自動化・省力化需要を開拓した。生成AI向けデータセンターなどで伸びる半導体や製造装置の設備需要も堅調だった。11社のうち9社が増収となった。

半導体装置向け堅調 車の投資意欲鈍く

製造業が人手不足に直面しそれを補完する自動化・省力化の設備投資が増加している。山善は、半導体や三品、物流業界等のユーザーを対象に展示会を開催するなど自動化ソリューション提案を展開し受注を獲得した。

日伝は昨年新設したAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行ロボット)の搬送を体験できる施設「&N LABO OSAKA EAST2 SITE」で、ものづくりや物流の現場の人手不足の対応策として、AGVやAMRによる生産工程のデジタル化とモビリティロボット技術を提案した。

NaITOは、測定機器の拡販に力を入れた。新設したテクニカルセンターで5月、計測の展示会を開催した。ベトナムの子会社では、インライン測定機器や自動化・省人化設備の販売に取り組むなど営業活動を推進した。

半導体や半導体製造装置業界の設備需要を開拓したのは鳥羽洋行。生成AIの進化や市場成長に伴うデータセンターの拡張で高性能半導体の需要が拡大。これにより半導体製造装置に関連する企業への販売が堅調だった。海外でもデバイス向け電子部品関連企業へのロボット販売が好調だった。

新車開発の延期などにより自動車業界の設備投資はここ数年、低調な状態が続く。しかしフルサト・マルカホールディングスは一部のメーカーグループや農業機械の設備増強投資や老朽化設備の更新需要を開拓した。

トラスコ中山は、より早く確実に商品を届ける独自の取り組みを推進した。商品詰め合わせとユーザー直送で納品リードタイムを短縮する「ニアワセ+ユーチョク」の利用促進を強化。ユーザーから一気通貫の受発注ECサイト「トラスコ オレンジブック.Comクロス」もスタートした。

ミスミグループ本社は、主要顧客の自動車関連の稼働低迷の影響を受けたものの、その一方、中国やアジアで通信関連や電子・電機関連の需要が堅調に推移した。

MonotaROはウェブ販売サイトの取扱商品点数を拡充した。プライベートブランド商品の開発も推進し、ウェブサイトの取扱商品を約2830万点、在庫商品点数を74万7000点にした。

日本産機新聞2025年11月20日号

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