2025年5月19日(月)

工作機械の受注、好調

6ヶ月連続1200億円

1面表

車の好転、補助金追い風

 工作機械の受注が好調を維持している。日本工作機械工業会(日工会)の統計によると、内需は6月以降、3カ月連続で400億円超をキープした。特に8月は消費増税前の3月に次ぐ水準。外需も800億円超えが続き、6カ月連続で受注総額が1200億円超を記録している。自動車をはじめユーザー企業が堅調に動いていることに加え、ものづくり補助金や設備投資減税の影響が大きく、中小の投資マインドも改善しているからだ。下期以降もJIMTOFの開催も控えるなど、日工会の花木義麿会長も「不安要素はない」と強気に通している。

 好調を支えているのは、自動車や航空機などの堅調さに加え、ものづくり補助金や3年間限定で100%減価償却ができる設備投資減税だ。花木会長も「6月から8月までの内需の400億円超は補助金と減税の影響が大きい」と分析する。 
これらの諸施策は中小ユーザーの投資マインドの改善にもつながっている。ある工作機械メーカー幹部は「この数年、大手ユーザーの投資だけがけん引役だったが、諸施策のおかげで中小企業の投資意欲も高まっている」と話す。「減税期間中に投資をしなければという中小ユーザーは多い」と言う。4月以降、既に2台の工作機械を導入した50人超の部品メーカーも「仕事は確保できている。競争力を維持するために投資できるタイミングは今しかない」としている。30人の金型メーカーは「今期は事情があって投資しないが、来期には久々に設備投資する予定だ」と話す。

 下期以降についても強気な見方が大半だ。ある大手機械商社幹部は「中小ユーザーの投資は年度末の状況を見て判断することが多い。(投資減税があるので)年度末にかけて黒字化しそうなユーザーは投資に動く」と見ている。また、別の機械商社も「中小ユーザーは増産投資と言うわけではないが、更新需要が増加している」と話しており、総じて明るい。

 一方で、懸念がないわけではない。ある工作機械メーカー幹部は「足元の状況はかなり良い」としながらも「これだけ売れるほど仕事があるのか。杞憂に終わればいいが、バブルにならないか心配だ」と話す。
 
 とはいえ、日工会で3は、通期目標を上方修正はしていないものの、「今の水準を維持できれば1兆4700億円に達する。不安要素もない」(花木会長)と強気な見通しだ。さらに、10月末にはJIMTOFも控える。
 卸商社や販売店もJIMTOF商戦に向け、営業活動にも熱が入っており、下期以降も好調を維持する可能性は高い。

日本産機新聞 平成26年(2014年)9月15日号

[ 分析 ][ 日本産機新聞 ][ 業界分析 ] カテゴリの関連記事

ミスミグループ本社 自販機で間接資材の調達時間7割減

ミスミグループ本社 自販機で間接資材の調達時間7割減

ミスミグループ本社は4月から、自動販売機による間接材の調達コストを削減するサービスを開始した。ユーザーの工場に自動販売機を設置し、発注頻度の高い商品を中心に販売する。発注や在庫の手間、不正な商品の購入防止につなげる。間接 […]

エバオン、サンコーインダストリー、トラスコ中山の取り組みに迫る【特集:商社の物流戦略】

物流強化に動く卸商社 卸商社の機能として昔から言われる「人・モノ・金・情報」。中でも、近年は「モノ」である物流機能の強化に動く卸商社が増えている。 背景の一つには顕在化してきた「物流2024年問題」がある。いまや配送業者 […]

タツタ  碓井克久社長に聞く

タツタ  碓井克久社長に聞く

機器と電気の知見を融合 伝導機商社のタツタ(大阪市西区、06・6538・3131)が制御や電気関連に強い企業のグループになって1年半。社長に就いて約1年を経て、碓井克久社長は「それぞれの強みである機器と電気の知見を融合さ […]

トピックス

関連サイト