2026年10月5日(月)

部下が見る自分を知る【現場考】

ある工具メーカーの工場長は手腕を認められ招き入れられた。大手メーカーで海外拠点の責任者を務め、商品開発にも関わった。経営者が期待するのは生産性改善やニーズに応える新商品開発だ。

まず部下の心の垣根を無くそうと考えた。工場で働く50人にとって未知の者がトップに立つ。現場の課題や改善のヒントの多くは部下が知っている。警戒心を解き自由に意見交換できる環境をつくろうと考えた。

心掛けたのは部下が自分をどう見ているか知ることだった。自らイメージする自身と部下が受け止めるそれは違う。仕事への責任感、公平性、知性、優しさ、柔軟性。50人はそれぞれ異なるキャラクターを描いている。

指示したり業務報告を受けたりするときの反応や姿勢から推察した。挨拶したときや休憩中の会話の表情や仕草からも知ろうとした。自分がこう見られたいというフィルターは通さない。ありのままを受け入れる。

一方で50人のキャラクターを知ろうとした。部下の仕事への意欲や向上心、協調性を感じ取った。出身や家族、年齢、趣味などもファクターに加え、人物像を立体的にとらえた。

接するときは部下が見る自分と相手の性格をイメージした。できるだけ受け入れられ易そうな話し方、姿勢、タイミングで指示し、報告を受け、指導する。そうするうちに心の壁は少なくなっていった。

それでもトラブルは起こる。ミスによる品質不良を隠していた。独自の判断で新商品の試作を進めていた。報告するときつく叱られる。知識や技能を認めていない。そうした不信感が情報共有できなかった理由と感じる。

管理職の仕事は不信感を減らすことだと感じる。少ないほど部下は現場で起こした事実や感じたことを素直に教えてくれる。そのために部下が見る自分を知り、部下に受け入れてもらえる方法をこれからも探り続ける。

日本産機新聞2026年8月5日号

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