2026年2月7日(土)

経済産業省  航空機武器産業課 航空機部品・素材産業室  西山  正室長に聞く【特集:航空機産業-アジアの需要を掴む-】

供給網の強靭化、重要性高まる

経済産業省は2024年4月に「航空機産業戦略」を策定し、今後の方向性を打ち出した。成長のカギの一つとして挙げるのが、サプライチェーン(供給網)の強靭化。安定供給を実現するため、国内に加え、海外の供給網も重要と捉える。今後需要が大きく伸びることが予想されるアジア太平洋地域で、日本企業の進出を促す「マスタープラン」を作成中だ。航空機産業戦略やアジア太平洋地域の供給網開拓などについて、航空機武器産業課の西山正室長に話を聞いた。

にしやま・ただし
東京都出身。1995年早稲田大学卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。2022年関東経済産業局企画調査課長、24年現職。

航空機産業戦略を策定した背景は。

三菱スペースジェットの開発が23年に中止となった。そのため、今後の日本航空機産業の成長に向けた方向性を明示し、将来の完成機事業を目指した動きを後押しする必要があると考え、航空機産業戦略が策定された。

完成機事業への参画のため何が必要か。

完成機事業への参画には、翼や胴体といったユニットに止まらず、機体全体をデザインする「インテグレーション」能力を獲得する必要があるが、一足飛びに身に付くものではない。まず、日本が持つ強みを磨いていく。

具体的には、将来機で必要なCO2削減のための電動化や水素関連技術への投資を推進する。また、デジタル技術を活用し、開発プロセスを最適化するDXプラットフォームの構築にも取り組む。安定供給を実現する供給網の構築も重要だ。

地政学リスクが高まり、供給網を再構築する重要性が大きくなっている。

チタンなどの重要素材については、国内の供給網を強化する必要性が高い。一方、相対的に付加価値の高くない部素材については、人手不足により供給能力が限られてくる国内だけでなく、アジアを中心とした海外の供給網の開拓も重要になってくるだろう。

経済産業省が構想するアジア展開の方向性

海外供給網の開拓において、アジアに注目している理由は。

民間航空機市場は今後20年間で約4万機の需要を見込み、その約4割はアジア太平洋地域。OEMが需要地での生産強化を目指す中で、特にマレーシアは積極的に航空機産業育成に取り組んでおり、注目している。

アジアで日本企業が求められていることは。

欧米と比べ、アジアの生産基盤は十分ではない。特に1次取引先(Tier1)に航空機の部品を供給する2次取引先(Tier2)が不足している。高い技術力を持つ日本企業にはTier2として、現地3次取引先(Tier3)を束ねる役割が期待されている。

アジアに進出する日本企業にどのような支援をしますか。

アジア進出を検討する企業からよく聞くのが、現地でどのような仕事を確保できるか分からないということ。このニーズに対し、経済産業省は現地の仕事の状況を可視化していく。例えば、海外OEMが東南アジア諸国連合(ASEAN)での生産拡大計画を展開する際、どのようなサプライヤーを求めているかといった必要な情報を提供するための「マスタープラン」を現在作成中だ。

アジア進出の道筋を作るだけでなく、海外顧客とのビジネスマッチングも行い、現地進出が決まったら、設備投資などを補助金でバックアップという一連の流れで日本企業を支援していく。

日本産機新聞2025年12月20日号

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