2026年9月30日(水)

管理職の仕事の領域【現場考】

部下の成長の機会つくる

販売店の営業はユーザーから商品を受注するだけが仕事ではない。商品を納入し、予定通りに稼働させ、代金を回収するまで責任がある。

ある時、販売店の営業に工作機械メーカーから連絡があった。あるユーザーから受注したマシニングセンタが納期に間に合わない。別の新規案件の対応に手いっぱいで、納期に間に合わない報告は後回しにした。

数日後ユーザーの社長から電話が入る。『マシニングセンタは予定通り納品されるかい?プロジェクトはもうすぐだ。一日でも早く欲しい』。この時初めて事態を伝える。すると社長は怒り心頭、代替案を出せという。

そこで慌てて上司の営業部長に相談に。上司は長年の人脈で工作機械メーカーの幹部に頼み込み、何とか都合をつけてくれた。納期には遅れたがユーザーの生産計画を狂わさずに済んだ。危機一髪だった。

部長は当時を振り返り心残りがあるという。手を貸さず全て任せれば良かった。工作機械メーカーに折衝し、代替案を考え、ユーザーに提案する。トラブルに至った原因を理解し、今後の対策を考える。それらを経験できる機会を奪った。

管理職の役割のひとつは担当する組織の能力を最大限に引き出し成果を大きくすることだ。自分がやった方が早くて的確。だからといって全てに手を出してはいけない。理解しているがその線引きが難しい。

仕事の領域をどう判断するか。部長が今心掛けているのが、値打ちを見極めることだという。部長という立場でその仕事をする必要があるか。部下の成長経験につながるか、成果にどう影響するか、ほかにできる者はいないか・・・などをジャッジしているという。

部下に仕事を与え、教え、勇気をつけることで組織は成長する。管理職は黒子で良い。組織の知恵袋として、社員の育成者として、会社を支える自分の姿を高いところから見る目が要る。

日本産機新聞2025年9月5日号

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