2025年11月15日(土)

疋田産業 販売店2社と共同配送の体制を構築【特集:機械工具販売店の新戦略】

機械工具販売店が積極的に新たな戦略を展開している。工作機械や工具、機器の需要の先行きが見通せず、その一方で人手不足に直面する。それらの課題を乗り越え、事業をさらに成長させていくためだ。独自の発想による新戦略でどんな力を高め、どんな成長戦略を描いているのか。

ドライバー不足の解消へ

疋田産業は今年5月、機械工具販売の金沢機工、FA機器販売の北菱電興とユーザーへの共同配送を始めた。3社のユーザーに効率的に商品を届ける仕組みをつくり、深刻化する物流の人手不足を解消する。将来、参画する販売店を増やし、石川県における地域の工具・FA機器の物流のインフラを目指す。

第1弾として始めたのは石川県の中能登地区と金沢近郊(七尾市、羽咋市、かほく市など)のエリア。委託する物流会社の配達車両が朝8時、集荷拠点を出発し3社のユーザーに商品を配達する。ユーザーに切断や面取りなど追加工を依頼した商品や、翌日出荷する3社の商品を引き取り、拠点に戻る。この物流のサイクルを回す。

これまで3社はそれぞれ自社便や物流会社に委託しユーザーに商品を届けてきた。しかし人手不足が進み、遠方への自社便を続けることや、委託する物流会社の事業の今後に不安が膨らんでいた。3社が各々、配達便を出すためユーザーはその都度、引き取る手間もかかっていた。

共同配送のサイクル

3社は県の販売店大手でありこの地域の競合。共同配送が実現したのは2つの理由があったと発案者の疋田弘一社長はいう。「1つは配達が競争領域で無くなりつつあること。2つ目は効率的な配送ルートを導き出すデジタル技術が登場したこと。時代の課題や事業環境、技術の進歩がマッチした」。

共同配送は緒に就いたばかりで、3社は定例会を開き最適な物流体制の基盤づくりを進めている。今後はAI(人工知能)で最適な配達ルートを見つけ出したり、荷箱の規格を統一し配達車両1台あたりの積載量を増やしたりする。配送ルートも南部(金沢市や能美市)や最南部(小松市)にエリアを広げていく。

参画する販売店もさらに増やしていく。目標としているのが3~4社増やし計6~7社。疋田社長は、「そうなれば年間に計約100億円分の商品を共同配送できる。人手不足対策や効率化において効果が大きい。継続してユーザーに安定して商品を届ける工具・FA機器の物流のインフラとして役立つ」と話す。

ただ、この共同配送プロジェクトの目標は石川県の物流インフラにとどまらない。期待するのが、共同配送の成功事例としてほかの地域でも導入してもらうことだ。疋田社長は、「物流の人手不足は機械工具業界の共通課題。全国の様々な地域で共同配送が実現し、この業界の成長につながれば嬉しい」。

疋田  弘一社長

本  社: 石川県白山市旭丘4‐11

電  話: 076・275・7531

代表者: 疋田弘一社長

創  業:1907年

従業員: 86人

事業内容: FA機器や工具、工作機械、ロボットなどの販売

日本産機新聞 2025年8月5日号

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