2025年11月1日(土)

Cominix 柳川  修一社長「生産設備をインテグレート」【特集:商社トップインタビュー】

人手不足や自動車の電動化など、製造業を取り巻く環境は大きく変化している。時代の変遷に対応し、販売店やユーザーをサポートするため、卸商社は独自の戦略を強化する。新商材の開拓やコト売り、デジタルツール活用や社内体制の改革など各社で事業戦略の違いが鮮明になってきている。卸商社各社の戦略や具体的な取り組み、それに注力する背景などをトップにインタビューし、その考えを読み解く。

成長分野に資源を集中

柳川  修一社長

今年取り組むことは。

加工ラインをトータルで提案する力を高める。ユーザーが造りたいワークの形や品質、数、コスト、時間を実現する加工ラインを提案する。切削工具や工作機械のコーディネートや加工検証、運用まで一括で請負う。いわば加工ラインをインテグレーションする。

取り組む理由は。

提案型の営業はこれまでも推進してきた。その殆どは『主に切削工具の選定や、加工方法の提案を通じた生産性の効果』を提案するものだった。ただその場合、ユーザーの関心は購入コストに行きがちで、提案の本質やメリットをしっかりと理解されないまま採用されることがあった。

インテグレーションに取り組むのは、提案内容を適正に認め、正確に理解し、活用してもらい、それによってものづくりの成長に貢献するためだ。これまでのノウハウや知恵、経験を社内で共有し、フルオーダーの生産ラインを受注するインテグレーションを推進していく。

その展開は。

国内に加え、海外、そして昨年子会社化したKamogawaグループを含めインテグレーションを推進していく。むしろ海外は商社がインテグレーターの役割を担うことが多い。生産技術をサポートしていくことがユーザーニーズにマッチすると思う。

当社がいま事業理念として掲げているのが『ものづくりの専門商社』。多様な技術や製品を提案し課題解決することでものづくりの成長を後押しする。そのためにいずれは耐摩工具や光製品などの事業でもインテグレーションを水平展開していきたい。

今年は新中長期経営計画の2年目です。

インテグレーションの強化は新中長期計画の重要施策。昨期は名古屋ロジスティクスセンターを東大阪と北関東に統合。今期は加工技術を研究するテクニカルセンターをKamogawaのものづくり研究所に統合する予定。それによって生まれたリソース(人材や資金)をインテグレーションに集中させる。

日本産機新聞 2025年7月20日号

[ トップインタビュー ][ 切削工具 ][ 商社 ][ 日本産機新聞 ][ 特集 ] カテゴリの関連記事

小林機械「中古市場の需要を掴む」【特集:激動の時代に挑む販売店】

「中古機械や古い機械を大事に使うのがカッコよくないですか」—。あるユーザーの若い技術者の言葉だ。中古機械はコストの優位性に注目されることが多いが、最近ではSDGs(持続可能な開発目標)の観点から「機械を大事に使いたい」と […]

小松鋼機「RPAで業務を自動化」【特集:激動の時代に挑む販売店】

人は高付加価値の仕事に/販売も力、製造業のDX後押し 1カ月分の納品データをウェブサーバーから、仕入データを基幹システムから抽出する。数百枚ものそれらを照合し仕入データと請求の金額に差異が無いか確かめる。毎月決めた日時に […]

精工産業「測定の立ち上げ迅速化支援」【特集:激動の時代に挑む販売店】

測定受託で需要開拓/新規の契機にも 機械工具や非鉄金属を扱う精工産業は今年7月、ユーザーの測定業務などを請け負う「計測技術室」を立ち上げた。協力先工場の測定業務の負担軽減を目的に開始したが、新規開拓の契機や、ユーザーの測 […]

トピックス

関連サイト