2026年9月30日(水)

部下を思いやる心【現場考】

苦労と自己変革が素地作る

管理職は多くの場合、経営者が社員の中から選ぶ。予想通りの人事采配もあれば思いもよらない登用もある。はたして経営者はどんな人を管理職に選んでいるのだろうか。あるメーカーの社長は「部下を思いやる心をもつ人」を選択基準のひとつにしているという。

思いやる心とは=部下それぞれの気持ちを推し量り、成長へと導こうとする心。感情や行動のパターン、特性や趣向など個人のパーソナリティを尊重する。その上でその人の尺度、その人の仕事の立場や経験に目線を合わせてコーチングする。

指導するときは自分のやり方や考え方を押し付けない。部下の個性や能力、経験に合わせて、つまずきの解決のヒントを教えたり、次の課題を与えたりする。相手の気持ちをイメージして、前進するようにリードする。ほど良い距離で寄り添って成長を促していくことだという。ただ、肉体が違うので『部下の気持ちがよく分かる』という勘違いは禁物だ。

そのために管理職に最も必要なのは、苦労と自己変革した経験だという。新人の頃から要領が悪く成績が伸びなかった。優秀な同僚は昇進していく。うまくいかない理由は何か。考え抜いて自分の考えを変えた。それでも営業で芽が出始めたのは30歳代後半だった。

そんな苦しんだ経験があるから、部下の気持ちに寄り添い、何に取り組むべきかがよくわかる。ある商社の社長は、「20~40歳の頃に、いかに多くの苦い思いをしたか、それを乗り越えるためにどのように自分の殻を破ってきたか。その経験が管理職には必要」という。

人を思いやる気持ちは、自ら経験した苦労から生まれることが多い。能力的なハードルや悔しさ、はがゆさに正面から向き合い、時間がかかっても一つずつ乗り越えられるようにチャレンジする。そんな地道で真摯な仕事に対する姿勢が管理職の素地をつくるのだと思う。

日本産機新聞 2025年7月5日号

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