イノフィス(東京都新宿区)は今年8月、腰補助用装着型アシストスーツ「マッスルスーツ」の新しいモデル「GS-BACK」を発売した。既存モデルの「Every」に比べ、軽量で動きやすく、これまで以上に幅広い現場での活用が期待さ […]
【新春販売店座談会】第1部 機械工具業界の役割 ②
ネットでできないサービスを
顧客同士のマッチング
司会 自社展を企画していますが、それも一つですか。
淵本 ええ。あとは工場見学会やセミナーなどですね。今までやってきたことを、心を込めて、負けないように強化していく、そういうシンプルなことでもいいのではないかと思っています。
司会 井口社長はいかがでしょうか。
井口 淵本さんと同じく、お客様のことをよく考えて、何を求めているかを考えなければいけないと思っています。それは裏を返せば、メーカーが我々に何をして欲しいのかを考えることだとも思います。また、商社の役割にはマッチングもあると思うのですが、何ができるのかということは考えているところです。
司会 具体的に何かありますか。
井口 その一つが近年注力しているロボット販売です。まずロボットは市場として伸びていくだろうと考えており、チャンスだと捉えています。一方で、ロボットメーカーも人員に余裕があるわけではありません。そこでメーカーの営業代理としての機能が必要なのではないかと思っています。加えて、お客様はロボットと一緒にSIer(システムインテグレータ)も探さなければいけない。しかし、SIerは小規模事業者も多く、何が得意なのかなども分かりづらい。なので、お客様とSIerとメーカーをマッチングできれば商売になるのではないかと取り組んでいます。
司会 藤生社長は何に取り組まれていますか。
藤生 私たちだからできることは何か。例えば自社展を開いていますが、メーカーさんを呼んで、お客様に来てもらったら、一度にいろいろなメーカーさんに会えたり、見たこともないものに触れる機会を提供したりできます。
司会 場づくりですね。
藤生 あとは、お客様に寄り添い、必要な情報交換や外注協力先の情報など、お客様同士が結びつくような機会を提供することも大切だと思います。当社では、若手の経営者の方や次代の経営者者の方をメーカーさんの工場見学にお連れしたり、懇親会を開いたりといったお客様同士が交流できる活動を6年ほど続けています。
司会 効果は。
藤生 その場で知り合ったお客様同士がお仕事をやり取りする関係になったり、プライベートでゴルフに行く関係になったりと変化が見られます。こうした部分も付加価値を高めることなのかなと思っています。また、井口社長と同じく、自動化はこの先もお客様に求め続けられると思っているので、SIer探しをしています。既にご協力いただいている会社もありますが、弊社も拠点が4県にありますので、協力企業様を増やさなくては、ロボット販売を盛り上げていくことはできないと思っています。あとは情報提供でしょうか。メーカーさんの展示会情報しかり、銀行主催のセミナーしかりで、お客様への情報提供の質を変化させていくことも、少しずつですがやっています。
司会 根岸社長はどうお考えですか。
根岸 人手不足が深刻化し、規模を問わず自動化の引き合いは高まっているので、それに対応するのは必要だと思います。どこまでその自動化を取りまとめることができるかが課題ですよね。相談できるSIerは複数いますが、すぐ対応してもらえるとは限らない。自社でエンジニアリングまでやりたいのですが、何から始めるか簡単ではないというのが現状ですね。
司会 SIerが足りない場合どうしてますか。
根岸 お客様で図面専門、組付専門のセットメーカー様がいるので、当社が中心となって仕事を受けて取りまとめるなど、お客さん同士をつなげてエンジニアリングを進めることもあります。
司会 根岸社長のところが窓口となって受注し、コーディネーター役としてお客さん同士をつないでいるんですね。ちなみに貴社は工場をお持ちです。エンジニアリングの提供ということにはならないのでしょうか。
根岸 フライス、旋盤、切断機を設備し、油圧ホースの加締め、伝導機器の穴加工など機械加工が大半です。最近では、海外製の機械要素部品の価格・納期でお困りのケースもあり、「作って欲しい」という相談も増えています。当社でできない場合はお客様の加工メーカー様に外注依頼する事もあります。組み付けや、エンジニアリングの要素は持っていないです。
司会 売上の比率は。
根岸 工場は5%にも満たないぐらいですかね。やはり販売がメインですね。あくまで営業のサポート的な位置付けですね。将来的には幅を広げていきたいと思います。一品物の加工に対応できるところが少なくなってきています。5年前ほど前までは価格が厳しかったですが、今は「対応可能なら進めて欲しい」という話が多く、需要は増えているように思います。今後は、人も設備も増強したいと考えています。
司会 量産までは考えていないのですか。
根岸 急ぎの場合など、便利に使って頂けるポジションというのを重視して、どこまで広げられるかですね。状況次第では、短いスパンでは量産物を受けさせて頂くことはありますが。
司会 皆さんが言われたようにエンジニアリング機能や自動化提案がトレンドになっているとは思います。淵本社長はどうでしょうか。
淵本 皆さんと少し違うのですが、地域的に量産部品のお客様が少なく、ロボットやSIerがマッチしているのかという懸念もあります。正直どれだけ投資する意味があるのかと、二の足を踏んでいるところがあるのが現実です。
司会 それとは別に取り組んでいることはありますか。
淵本 少し別の観点からアプローチしたほうがいいかなと思っています。多品種少量の市場では、今日はこの工具、明日は違うものを持ってこいという世界です。なので、在庫のバラエティを増やすとか、それをお客様に見える化してもいいと思っています。
エンジニアリングをどう提供するか
司会 確かにロボットやシステム提案は手離れが良くないので、収益が読めないのも課題です。
井口 そうですね。利益を確保できる案件もある一方、お客様とSIerとの間に齟齬があり、費用を負担することもあります。そこは非常に課題で、SIerが儲かって、私たちも儲かるようにしなくてはと思っています。業界でもそういう動きも、FA・ロボットシステムインテグレータ協会※では「図面書いたらお金をください」とか、「要件定義をしっかり定めましょう」などの動きは出てきています。SIerも我々もお客様への啓蒙活動もしていかなければいけないかなと思います。
根岸 エンジニアリング業務はどうしても手離れが良いものばかりじゃないですし、難しさもあります。希望通りの動きやタクトタイムを実現するためには時間も労力もかかりますし、構想段階での費用発生を許容頂きにくいという問題もあります。どこまで注力すべきか、どこまで業務の範囲をひろげていくのか、判断しづらい部分ですね。お客様によっては「ロボットを導入すれば何かが改善するだろう」と意外と簡単に考えられていることも多いので、いくつかのパターンを提案できる様、相談できる窓口を多く持つのは大切ですね。
藤生 ロボットと少し異なるのですが、淵本社長が最初に言われた、お客様を次のステップへ導くという言葉がすごく印象的だったのですが、どう自社の利益につながると考えられていますか。
淵本 そうですね。色んな提案をした結果、お客様が次のステージに行ければ、設備投資も必要ですし、お客様が発展すれば他にも必要なものも出てきますしね。ただ難しいのは、お客様にとって何が必要なのかをつかみ切れていない部分があるんですね。
司会 どういうことでしょうか。
淵本 例えば展示会でAI(人工知能)やロボットなどを見て、凄いとは思うのですが「使えるのかな」という素朴な疑問があるんです。お客様がそれを使ってメリットはあるのか。その答えが見つかると我々はすごく強くなると思います。ここ数年、AIやIoTなどキーワードが出てきましたが、どうビジネスベースに載せていくのか。そこがまだつかめないですね。ロボットも提案はしていますが、皆さんのようにそこまで本格的ではないです。
司会 CAD/CAMを学ばれているのはそうしたこともあるのですか。
淵本 そうですね。当社は切削がメインで、今後も変わらないと思いますが、一方で切削は成熟しつつあるとも思います。お客様への貢献という観点で言うと、前工程のCAD/CAMを含めたパッケージで提案していかないと、一業者として扱われてしまう危機感があります。何にせよ製品単独だけでは難しい。色んな商材を組み合わせトータルで提案するのが基本になってくると思います。
司会 切削工具を強みとする企業も切削加工全体を提案しないと厳しくなるということですね。
淵本 プロセスの中でしっかりとトータルで提案ができているのかということは大事かなと思います。「安く売れます」、「すぐ持ってこれます」だけでは正直厳しい。
藤生 お客さまもいろいろなものを別々で話をするのは手間ですし、効率も悪い。そうした手間が省ければ、お客様は本業に力を注げる。そういう観点でも、トータルにご提案できる方がいいですよね。
司会 確かに、ユーザーの生産技術力が低下し、「丸投げ」のようなニーズも増えてきています。
根岸 技術力の低下というか、技能継承で悩むユーザー様は多く、機械加工に置き換えたり、自動化したいという相談は明らかに増えています。人不足の影響も大きいと思いますね。コンプレッサの保守管理を丸投げで任せたいという声も多く頂きます。食品関連などで多いですが、生産現場には人は置くことができても、保守まで人が回らない現状もあるようです。
井口 生産技術の担い手が減ってきているということは現場も言っていましたね。そのために当社の営業担当者が深いところまで手伝うと喜ばれたりしますね。逆に単品だと、完全に価格勝負になる。機械の搬送や設置、治具まで含めた提案をするとお客様に認めてもらえることも多いですね。
第2部は1月20日号に掲載(ホームページ掲載は1月31日予定)
日本産機新聞 2020年1月5日
TONEは、本社を同社最大拠点である河内長野工場に統合、移転した。9月26日から業務を開始した。 今回の統合により、開発、製造、営業企画、品質保証、管理の各部門と経営を一体化。部門間のコミュニケーション向上を図り、一層綿 […]
ツーリングメーカーのエヌティーツール(愛知県高浜市、0566-54-0101)は福岡県筑紫野市に九州事務所を開設し、九州地域での迅速かつ細やかなサービスを提供することで顧客の課題解決に応えていく。住所は福岡県筑紫野市原田 […]