2024年4月20日(土)

【Innovation!】デジタル測定ツール

正確に測り、簡単に管理

品質管理の安定化や効率化を図るため、測定データをパソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末に転送し、簡単に管理ができるデジタル測定ツールの需要が高まっている。また、データの転送にBluetoothなどを活用することで、機器同士の接続が容易な製品も増えている。要求される品質が高まっていく中で、今後はさらに測定に関するニーズが増していくだろう。そこで本特集では、無線機能が搭載されたデジタル測定ツールを紹介する。

PART1:京都機械工具「トレーサビリティ向上」
PART2:テクロック「専用機器不要でデータ送信」
PART3:東日製作所「高度な合否判定が可能」
PART4:TONE「締め付け回数を簡単管理」
PART5:中村製作所「測定干渉なく使用可能」
PART6:ヘキサゴン・メトロジー「軽量、コンパクト」
PART7:ベクトリックス「様々なメーカーに対応」
PART8:ミツトヨ「スマホ、タブレットに対応」

PART1

京都機械工具「トレーサビリティ向上」

TORQULE(トルクル)

安全に対する社会的な要求や労働効果の追求といった作業現場の変化を捉え、作業現場を見つめ続けてきたノウハウと最先端テクノロジーを融合し開発したのがスマートデバイス「TORQULE(トルクル)」だ。

トルクルは作業履歴を自動的に記録し、管理・分析する作業トレーサビリティを実現するスマートセンシングデバイス。手持ちの工具に装着するとデジタルトルクレンチとして使用でき、スマートフォンやタブレットなどに専用アプリ(TRASAS Admin)をインストールするだけで測定値の結果表示やデータ転送、測定履歴の管理が可能。設定したトルク値に対する報知機能はもちろん、測定日時や可否結果、力の波形や測定箇所などスマートセンシングツールから入力されたデータを作業記録簿へ自動転記できるため、ヒューマンエラーをなくし、安全の見える化、業務の効率化を図り、トレーサビリティ向上に貢献する。

同製品は作業環境や用途に応じて選べる3タイプほか、タイヤデプスゲージ、ブレーキパッドゲージをラインアップ。

PART2

テクロック「専用機器不要でデータ送信」

Bluetoothデジタル測定器

Bluetooth経由で測定値をパソコンやタブレット端末などに送信できる測定器。インジケータやノギス、マイクロメータ、各種ゲージなど多彩な製品ラインアップを揃える。

測定器の送信ボタンを押すだけで測定値を送信できる他、従来のデジタル機器と同様にプリセットや±の切り替え機能も備える。また、無償で提供しているソフトウェアと組み合わせることで、測定器に触れることなくパソコン側から任意のタイミングで測定値を要求することもできる。

専用の送信機や受信機などの付属品が一切不要。製品購入後にBluetooth対応のパソコンやタブレットとペアリングするだけで使用することができる。

これまでの測定現場では測定値を手書きで紙に記録し、パソコンに入力するといった「二度手間」の作業が課題となっていた。同製品を導入することで手書きの必要が無くなるため、ペーパーレス化によるコスト削減や、測定値のデータ送信による作業時間の短縮、入力ミスの削減などの効果が見込める。

PART3

東日製作所「高度な合否判定が可能」

角度測定機能付きデジタル式トルクレンチ

「CEM3-BTシリーズ」はトルクと角度を測定し、高度な合否判定が行える角度測定機能付きデジタル式トルクレンチ。「作業者による個人の差が無く、誰でも締付不良の検出や合否判定、データ管理を行いたい」というニーズに対応した。

例えば、トルク判定は高い数値NG、角度判定2度締めNGなどのように、トルクと角度のしきい値を入力しておけば、締付けトルクと最終角度の合否判定ができる。データのメモリ数(締付けトルク・最終角度・合否判定結果・測定日時など)は999データが保存可能なほか、Bluetoothでデータ転送できる。別売の締付データ管理システムTDMS/TDMSHTを使えば、容易にデータ管理ができ、締付エビデンス管理にも活用できる。

これらの機能により、同じボルトで2回締めて、1本仮締めだけで済ませてしまう、2度締め検出によるポカミス防止(ポカヨケ)ができる。締付け中の「焼き付き」による回転角不足でのトルクアップの検出や、Oリングやガスケットの噛みこみ検出(回転角不足でのトルクアップ)も可能。

PART4

TONE「締め付け回数を簡単管理」

ポカヨケトルクレンチ

トルクレンチの締め付け回数を検知して受信機に電波を飛ばし、締め付け本数や作業工程の管理を行うことができる。

トルクレンチで検知した締め付けを受信機に飛ばし、受信機は締め付けの検知を出力する。

その先に、生産ラインのコンベアの駆動や、作業管理のシステムを構築することで幅広く活用できる。リレー出力とRS232Cシリアルポート出力も対応し、パソコンやPLCで送信機ごとのデータ管理も可能。二度締めなどを検知しないようダブルカウント防止機能付き。

トルクの出力値まで管理する必要のない現場で、工程管理を安価で簡単に導入できる。リレー出力をカウンターにつなげば、それだけで本数管理が可能で、受信機出力が単純なため、出力された情報を容易に取り扱うことができる。

締め忘れや本数管理に特化した仕様であり、導入が容易で安価に活用できる。

トルクレンチ本体はトルクのレンジと差込角で11機種をラインアップ。

そのほか、モンキレンチヘッドなど現場毎に合わせたオーダーメイド対応も可能としている。

PART5

中村製作所「測定干渉なく使用可能」

無線送信ノギス「E-FWシリーズ」

「E-FWシリーズ」は測定表示値をパソコンやタブレット端末などに無線で直接送信できるデジタルノギス。送信器をノギス表示機に内蔵したため、測定干渉がなく、通常のデジタルノギスと変わらずに作業を行うことができる。

アンサーバック通信方式を採用。データ送信後、受信機からデータ受信信号をノギス表示部に点滅させることによって、手元で確実に送信確認を行うことができる。また、初期設定も容易。ソフトインストーラー不要で受信機を差し込み、通信設定するだけで使用できる。

計測後の手書きによる記入作業が不要となり、ワンストップでのデジタルデータ管理が可能。大型装置内の部品間のクリアランス計測データ管理や、大型部品で作業者が動かなければ計測できない箇所のデータ管理などを実現する。

製品ラインアップは独自の端面測定(ピタ測定)搭載150㎜~300㎜の標準ノギス形状から大型管材計測用のロングジョウノギス、穴深さの測定に優れているデプスゲージなどを揃えている。

PART6

ヘキサゴン・メトロジー「軽量、コンパクト」

Bluetooth発信器「TESA TLC-BLE」

TESA製デジタル測定器に取り付けることで、容易に測定結果をパソコンなどに出力できる軽量・コンパクトなキャップ型発信器。ノギス・マイクロメーターからハイトゲージまで多彩なTESA製デジタル測定器に対応する。発信器自体が軽量・コンパクトなため、各デジタル測定器が持つ使用感を損ねることなく、装着できる。

無償で提供するデータ管理ソフトウェア「DATA-VIEWER」と組み合わせることで、転記ミスを防ぎ、必要な測定履歴を残すことが可能になる。また、「DATA-VIEWER」には、色分け公差判定も可能な表示機能や、Excelなどのソフトウェアに容易に情報を展開する機能なども搭載しており、収集した測定データをさらに分析、保管、活用することもできる。測定データの収集から始まり、より深い品質管理体制の構築まで可能になる。

パソコンのBluetooth受信機能、無償管理ソフトウェア、Excelなどを活用することで、初期導入費用を抑えることができる。容易に製造現場のデジタル化が図れる。

PART7

ベクトリックス「様々なメーカーに対応」

測定データ無線送受信機器「テレメジャーⅡ」

「テレメジャーⅡ」は測定データを無線でパソコンなどに自動入力できるシステム機器。手書きでのデータ入力が不要となるため、入力や転記ミスを無くすことができる。測定データの信頼性向上や、測定業務の作業効率向上につながる。

送信器(トランスミッタ)と受信機(データレシーバ)で構成される。デジタル測定機器に送信器を取り付け、受信機をパソコンに接続することで、測 定データを自動入力することができる。

送信器は多様なコネクタ形状を揃え、様々なメーカーの測定機器に対応する。また、メーカーごとに異なる形式のデータも「テレメジャーフォーマット」に自動変換し、1枚の検査表に入力できる。最大50mの通信を可能にしている。

入力した測定データは「テレメジャーⅡ」対応の品質管理ソフトウェア「QCプロ」シリーズで記録、計算、解析することができる。Excelシートに直接取り込むことができるタイプやSQLサーバを採用したタイプなどユーザーの用途や現場に合わせたラインアップを揃えている。

PART8

ミツトヨ「スマホ、タブレットに対応」

測定データワイヤレス通信システム「Bluetooth版U‐WAVEfit」

ノギスやマイクロメータなどの測定器で測定したデータをBluetooth通信により、スマートフォンやタブレット、パソコンなどに転送することができる。

既存の「U-WAVE」は独自の通信方式を導入しているため、ノイズには強い一方でパソコンなどの端末側に専用の受信機が必要だった。「Bluetooth版U-WAVEfit」はBluetooth対応機器であれば専用の受信機を必要とせずにデータを取り込むことが可能。

ノギス用「U-WAVE-TCB」とマイクロメータ用「U-WAVE-TMB」を揃える。それぞれの測定器の形状にフィットするデザインを採用。操作に干渉することなく使用できる。

本体の「DATAボタン」を押すことで測定器の表示値を転送できる。今までパソコンが無いとデータの取り込みが出来なかった現場でもスマートフォンなどに測定データを取り込むことができるようになる。ミスにつながる手書きでの記録を廃止できる他、測定結果から統計演算などの工程管理も行える。

日本産機新聞 2022年1月20日

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