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成長への種を蒔く
イグス
1964年10月15日、グンター・ブラーゼ氏がドイツ・ケルン市内の車庫を借り、射出成形機1台で事業を始めてから55年。グンター氏による「モーション・プラスチック・カンパニー」イグスは、創業からの「樹脂にこだわり樹脂だからこそできることを追求」次代に向けて歩みを進める。注力製品や工場での取り組み、日本での市場戦略など右肩上がりの成長を続ける同社の今に迫る。(全4回)
〜イグスの挑戦〜 No.1 成長に2つの布石

同社はケーブル保護管やケーブル、軸受といった「動くところに使われる樹脂部品(モーション・プラスチック)」を手掛ける。特にケーブル保護管や樹脂製軸受では、世界トップのマーケットシェアを誇るドイツを代表する企業の一つだ。ブースにはドイツのアンゲラ・メルケル首相も訪れ、同社の技術を体感した。
「今年は将来に向けたビジネスの種を蒔いていきたい」。こう話すのはフランク・ブラーゼCEO。リーマン・ショック後の2009年を除いて右肩上がりの成長を続けてきた同社。18年も過去最高の売上高を更新した一方、19年は今後も成長を続けるための「変化の年」と位置付ける。
ノーファーメッセではそれを象徴する展示が披露された。その一つが新発表のロボットプラットフォーム「RBTX」だ。「(このシステムによって)中小企業などロボット導入のノウハウや知識が少ないお客さんをサポートしていきたい」(リニア&ドライブテクノロジー部門のステファン・ニューマン氏)。
ロボ、IoTに注力 −顧客の喜びにつなげる−
ウェブサイト上でロボット本体やグリッパ、制御装置などを組み合わせることで自由にロボットシステムの構築が可能。周辺機器メーカー8社(4月時点)が参加し、イグス製ロボットに合わせた部品を提供する。構築したシステムはそのまま購入することができる。
同社では以前から自社で手掛ける軸受や直動部品などを組み合わせたユニット品を提供していた。ここ数年は多関節ロボットやデルタロボットなども開発し、提案の幅を広げる一方、「様々な周辺機器を当社だけで提供するのは不可能。だからこそ、様々な企業と連携できる仕組みが必要だった」(ステファン氏)。
現在、物流業界や食品、サービス業界などで同社製ロボットの採用が進みつつある。フランクCEOは「様々な分野から当社の樹脂を活用した部品やロボットを高く評価してもらっており、具体的な引き合いも増えてきている」と今後の需要増加に期待する。

ロボットに加え、もう一つの「種」とするのが、「スマート・プラスチック」というIoTサービスだ。フランクCEOもハノーファーメッセで大きな手ごたえを感じたという。「多くの機械メーカーから装置の状態の見える化に活用したいと興味を持ってもらった」。
「スマート・プラスチック」はケーブル保護管やベアリングなどの同社製品にセンサを内蔵し、温度や振動、摩耗具合などを測って製品寿命を予測することができ、予防保全に活用することで生産設備の安定稼働を実現する。18年から本格的に展開し、今年からはオフラインサービスも開始。外部ネットワークに接続しなくてもサービスを利用できるようになった。
現在、10のセンシング技術を持ち、ユーザーの要望に応じた様々なモニタリングシステムを提案している。今後は対応製品を増やしていくほか、搬送装置や材料供給装置などの周辺機器の需要の掘り起こしにも取り組む。
今後、ものづくりは自動化やIoTなどの次世代技術によって大きな変化が予測される。そうした中、フランクCEOは「『モーション・プラスチック』という製品をいかに使いやすく、早く届けるか。お客さんに喜んでもらうことが我々の喜びにもつながる」と話す。
次代に向けて蒔いた「種」をどう芽生えさせるか—。イグスの挑戦が始まった。
日本産機新聞2019年5月9日
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