イノフィス(東京都新宿区)は今年8月、腰補助用装着型アシストスーツ「マッスルスーツ」の新しいモデル「GS-BACK」を発売した。既存モデルの「Every」に比べ、軽量で動きやすく、これまで以上に幅広い現場での活用が期待さ […]
【新春販売店座談会】第2部 社員のモチベーション向上を考える
トップの本気度伝える
第1部では、「ネット販売」や「提案営業」の取り組みについて伺った。すでにネット販売については大手ネット通販企業との競合ではなく差別化の時代に入っており、特殊品や海外市場など次のステージへ移っている。提案営業はいかに社内で情報を共有できるか、提案営業できる環境を整えるかなど仕組み作りが重要だという意見が多かった。また、今後は切削工具など分野ごとに専任制をもって、スペシャリストを育てていけるかなど、提案営業の可能性を探った。第2部では「社員のモチベーション向上」について話を聞く。新しいことや取り組みを行う時、モチベーションは重要だ。社内制度も含め、各社が注力している。
人事考課で課題を明確に
社員との壁つくらず誠実に
司会 前半ではネット通販や提案営業について各社の取り組みや考えなどをお聞きしました。後半では、「モチベーション」についてお聞きします。提案営業も含め、何かに取り組むには社員のモチベーションが重要だと思いますが、どのように向上させたり、維持したりしていますか。
志知 モチベーションについて、自社で取り組んでいることが3つほどあります。一つは、人事考課を一昨年から導入しました。最初に5段階評価で自己評価をして、それを部署長に出して、部署長がその人の事を評価する。部署長と本人の評価で差が出てくるので、必ずすり合わせをしないといけません。それをしないことにはこの人事考課は意味をなさないので、とりあえずお互いの点数をつけ終わった後に1対1で面談をしてもらって、「あなたはここ4点で結構できていると思っているようだが、私から見れば今3点だ。これを4点にするには、もう少しこういう風にしないと4点にはならない」などと教育指導して、社員の仕事に対する姿勢の底上げをすることに一昨年から取り組んでいます。これは100点満点で点数がつくので、満点に対して例えば80点以上だったら昇格・昇給など、基準を明確化することによって社員が「俺、もう少し頑張れば課長になれる」とか「係長になれる」といったモチベーションを上げる取り組みの一つとしてやっています。また社員と部長のコミュニケーションもやはり必要になるので、人事考課を通してお互いの思っていることや仕事に対する姿勢などについてコミュニケーションを深めていってくれればと考えています。
司会 人事考課を始めてその効果や課題は見えてきていますか。
志知 まだ1~2年しかやってないので、まだ見えていない部分が多いですね。もう少し回数を重ねて皆が部署長の思うところもフィードバックして、ブラッシュアップしていこうと思っています。評価基準を明確にすることで、期待成果や期待行動を社員に理解させ、適切に評価し、それに沿った処遇をすることで、成長や行動革新の方向性を社員と共有できれば、モチベーションにもつながると思います。
司会 人事考課表はどのようにして作ったのですか。
志知 ネットで「人事考課」と入れて、いろんなところから当社に当てはまりそうな項目を抜粋したんです。役職の無い人、主任、係長が同じ内容ではいけないので、それぞれの立場にあった内容を20項目作り、1項目5点で100点満点になるようにしました。
司会 すべてご自身で作られたのですか。
志知 自分自身の成長のために、まずは自分の力でやってみて、上手くいかなければコンサルタントなどを活用してみようと思いました。あと、人間関係が円滑でないとモチベーションは下がっていくと思うので、私は今、統括部長という立場から本社だけでなく、瑞浪支店と関営業所も含め全部署を見ているので、各部署に行ったときには必ず毎回、全員ではないですが個人と1対1でバカ話も交えながら、会社や社員間での不安要素を聞いています。聞いてあげるだけでも変わってきますが、聞いて改善ができればなおさら良い。かしこまってしまうと話しにくいこともあるかもしれないので、面談という堅苦しいものではなく、世間話の中からそういう話を聞くようにしています。また、ワークライフバランスと言われますが、残業の多い社員に対して面談をして、いかに就業時間内で終わらせるかを一緒に考えます。以前は個人商店感が強かったのが、チームとして機能して全員で残業を無くすように働きかけています。有給休暇の取得も推進しています。
小浦 残業について当社であったことですが、どれだけ言っても直らないので、今回給料で差をつけたんです。そうしたらモチベーションが下がりました。それは仕方ないことだと思うのですが、ずっとそのままの状態で営業していても困るので、従来、私が指導していたところを課長が言うようにしました。それを会社のシステムにする。例えば朝10時に出発しようという事であれば、出来たか出来なかったかを課長がシートにつけるとか、一社員と社長との間ではなく、会社全体を巻き込んで課長に「あなた出来てなかったでしょ」と言ってもらうとか、「こういう結果が出ているよ」とか、「あなた行かないとダメでしょ」とみんなが言ってくれるようにする。そういう風にもっていくと社員は「課長が言ってるから」と思って、今はちゃんとやってくれるようになりました。やはり、会社全体を巻き込むということが大切だと思います。当社は13人しかいないので、どうしても目について私が言ってしまうのですが、それはダメだと感じていました。だから会社のシステムとして出来ないかなと取り組んでいるところです。
司会 システムを作るのは難しくないですか。
小浦 いや、出来ていないことが出来たら〇印をつけるとか、一日の結果をつけるとか、そんなことですから。結果が出てくると本人もすぐ分かります。課長が「あなた早く行かんとダメでしょ」とか言ってサポートしてくれるので、そういうところだと思います。単なる一例ですが、会社とその本人だけだと、どうしてもお金の方になっていってしまうと思うので、会社全体で取り組んでいくべきですね。また、声をかけてあげるというのも大切だと思います。私が強く言った時でも、その後に「あの時悪かったな」と声をかけるとか。13人だと仲間みたいなものなので、できるだけ声をかけて、注文をもらったときは「良かったな」などと声をかけるようにしてあげれば本人も喜ぶと思います。今までは「社長は絶対だし、権限を持ってないといけない。なめられたらいけない」と思って少し壁を作っていた部分もありました。そうではなくて、こちらから寄り添って「よかったなあ」とか「どうしたんだ」とか「課長に言ってちょっと助けてもらえば」など、こちらから寄り添っていくように少しずつですが取り組んでいます。
司会 壁を作らず、上司が気にかけるということでモチベーションが上がるということですね。
小浦 私は修行から帰って来た時に、皆と全く同じところから始めたので、何年かは先輩から色々言われるし坊ちゃん扱いされる部分もあるし結構辛かったですが、その時の積み上げがあったからこそ今は同じ目線で話すことができると思っています。色々声をかけたりしているうちに何も言われなくなってきました。部下を動かすことが仕事なので、部下を気に掛けることも一つの仕事ですね。
伊藤 モチベーションは二つの段階があると考えていて、まずはベースとなるモチベーション。これは生活が安定しているか否かです。安定した給料の仕組みを作ることももちろんですが、例えば、社員が病気や怪我で入院した時などのために、当社では医療保険を手厚くしており、受け取った保険金をすべて社員に渡しています。普通だと全額は渡さないと聞きましたが、これが意外と効果があって、自分は体を壊して迷惑をかけたはずなのに、どうしてそこまでしてくれるのか…と感じているようです。当社としては社員の生活を支えないといけないので、まず収入が保証されて、心配なく働けるという環境を作ってあげるのが経営者である私の役割の一つだと思っています。その上で、社員にフィードバックをして心の成長やキャリアアップなどをすることで、モチベーションもさらに高まるのではないかと思うんです。
森 トップの人間性は大きいですよね。伊藤社長のお話を聞いていると、社員の生活ありきと、心底考えておられることが伝わってきます。小手先ではなく、どれだけ本気かということが、きちんと行動で示されており、社員がそれを理解している。とても誠実なやり方だと思います。
チャレンジし停滞しない
成功と失敗社内で共有
司会 林常務はいかがですか。
林 会社の目的は規模の拡大ではないですが、規模が拡大していかないとモチベーションは上がりにくいと思います。そうでないと会社が楽しくないし、前向きな話も出てこないでしょう。だから、積極的にいろんなことにチャレンジして停滞をしないことがモチベーションを上げる大きな要因だと思います。
また、当然といえば当然ですが、適材適所。当社も特定の顧客を同じ社員が何十年もずっと担当するということをやってきました。いわゆる個人商店型の営業会社のようなものです。機械工具業界に多いと思いますが、自らに合っていない顧客や仕事内容であれば、モチベーションを上げることは容易なことではありません。今後は戦略的な担当変更や業務職から営業職への職種転換など、人材の社内流動性を上げる取り組みをやっていこうと思っています。
司会 適材適所はどのようにして見極めているのですか。
林 その人の特性と活躍できる場所はどこなのかを見極めて配置するということは、トップの力の見せ所であり、重要な資質だと思います。自分自身も毎日心がけ、見極める力を磨いていきたいと思っています。
伊藤 社員が何千人の大企業なら各部署で仕組みを作らないといけないでしょうが、従業員数十名の会社なので、声をかけられないわけではないので、自分のできる範囲で声がけして気にかけてやった方が良いと思いますね。
野田 当社は、新卒者を多くとる傾向のせいか、若手が自らチームを組んで勉強会をしたり、同期で情報交換したりしています。それでモチベーションが結構上がっているかなと勝手に感じています。それから考えると、受動的にモチベーションが上がる場合と、能動的に上がる場合が見えてきます。例えば会社からはセミナーや研修など色々案内を出しますが、それに出席したいという人は勝手にモチベーションが上がっています。だからそういうのをちゃんと伝えてあげるということが一つの方法かなと思っています。もう一つは、当社は月に1回土曜日出勤があるのですが、得意先には行かないので会議や掃除をすることにしています。つまり自分たちで時間を自由に使えるので、部門が違っても20代・30代の若手が集まって情報交換したり勉強会をしたり、指導していないのに勝手に始まっているんです。そういうのを焚きつけることができたら最高ですが、勝手に始まったからありがたいですね。
司会 皆さん意欲的なんですね。
野田 モチベーションの上がり方は人それぞれですよね。飲み会で仲良くなったり、社員旅行で皆と遊んだり、仕事しやすい環境を求めることもあります。仕事の能力が向上して人よりも上に立つことでさらに向上心が高まる人もいます。数字の評価を欲しがる人もいれば、感謝されることで頑張る人もいます。怒られてナニクソ根性を出す人もいれば、褒められて伸びる人もいます。人の心なので多種多様は当然であり、そこを見極めるのが責任者、経営者の腕の見せ所だと思います。ただ、私の実感ですが、今までと違う新しい仕事はみんなやりたがりません。ハードルを下げてでも少しずつ始めると、モチベーションが後からついてくるということもあります。
司会 社員の個性を知って、それに合わせてオペレーションすることが大切だということですね。森専務がおっしゃっていたように、活路は多岐にわたってあると思います。
ここまで「ネット通販」「提案営業」「社員のモチベーション向上」をテーマに話を進めてきましたが、総括すると大きなキーワードに「共有(シェア)」があるかと思います。
提案営業などの成功例や失敗例などを社内で共有することが重要ですし、モチベーションも会社全体で取り組み姿勢が大切で、課題を共有することから始まっているのではないかと思いました。今後も皆さんのご活躍を信じています。今日は貴重なご意見をお聞かせいただきありがとうございました。
日本産機新聞2019年1月20日号
TONEは、本社を同社最大拠点である河内長野工場に統合、移転した。9月26日から業務を開始した。 今回の統合により、開発、製造、営業企画、品質保証、管理の各部門と経営を一体化。部門間のコミュニケーション向上を図り、一層綿 […]
ツーリングメーカーのエヌティーツール(愛知県高浜市、0566-54-0101)は福岡県筑紫野市に九州事務所を開設し、九州地域での迅速かつ細やかなサービスを提供することで顧客の課題解決に応えていく。住所は福岡県筑紫野市原田 […]