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高まるクラスターの 重要性
今後、民間航空機市場が年率約5%で拡大していくと見込まれ、世界的に成長産業として期待されている航空機産業。日本でも異分野から参入する企業が増え、手掛ける部品も従来の機体やエンジンに加え、装備品などにも広がっている。全国各地ではクラスターを形成し、1社ではなく複数社で新規参入や取引拡大を目指す動きも広がっている。政府では補助金や税制に加え、「全国航空機クラスター・ネットワーク」を構築するなど、航空機産業のすそ野拡大に向けた支援を進めている。経済産業省の斎藤賢介室長に日本の航空機産業の現状やネットワークの具体的な取り組み、今後の展開などを聞いた。
一括で受注・一貫生産し競争力強化
日本の航空機産業の現状を教えてください。
日本の航空機産業は過去5年間で国内生産額が1・1兆円から1・8兆円に増加し、2030年には3兆円を超える成長産業として期待されています。ただ、市場規模は、米国の10分の1程度で欧州各国と比べても小規模に留まっていますし、国内市場でも自動車産業の30分の1程度と今後のさらなる成長が求められています。
日本企業はこれまで国際共同開発で成長してきました。
機体構造ではボーイング社(米)のプロジェクトへの参加がメインで、日本企業の参加比率は「B787」で35%、「B777X」で21%。エンジンではメーカーによって異なりますが、10~20%ほどの参加比率となっています。
また今後は、今まで限定的だった操縦や空調機器といった装備品も手掛ける日本企業を増やすために国内外のビジネスマッチングを進めています。装備品は航空機の価値構成でも4割を占める重要分野で、さらなる参入拡大に期待しています。
航空機産業の特徴はどんなところにありますか。
航空機産業は長期的に安定した事業である反面、設備や認証取得などの初期投資が大きく、収益につながるまでに時間がかかります。また、高い生産管理能力やトレーサビリティ、20年を超える供給責任も求められ、参入障壁が高い。こうした課題を解決するためには、外部の専門家の活用が重要です。重工OBなどの経験ある専門家が新規参入企業にアドバイスできるような環境整備が必要だと考えています。
また、航空機メーカー間の競争が激しくなってきており、コスト競争力がより重要になっています。それには、従来のような単工程ではなく複数工程を一括受注一貫生産し、コスト削減や納期短縮など様々な要求に対応できる効率的なサプライチェーンの構築が求められています。そのため、今後は複数社で連携するクラスターの重要性が高まっていくと考えます。
全国でクラスター形成の動きが広がっています。
共同受注体制が整っているクラスターはそれほど多くありませんが、勉強会などを開催し新規参入や取引拡大を目指しているものも含めると、全国に40以上のクラスターが存在しています。昨年には、こうしたクラスターをまとめた「全国航空機クラスター・ネットワーク」を構築しました。
その目的は。
クラスター内外における連携強化です。グループの枠を超えた連携など様々な形で一貫生産体制の構築を目指しています。今年2月には各クラスターの情報を発信するポータルサイトを開設しました。どういう設備や技術を持つグループなのかを明らかにし、内外へ情報を発信してほしいです。
具体的な取り組みは。
テーマ別のセミナーの開催や、海外展開支援を目的とした視察団の派遣、重工OBなどの専門家による支援が主です。また、海外の大手航空宇宙メーカーとのワークショップや展示会の出展支援なども行っています。
今後、どう展開していきますか。
国内外でのビジネスマッチングを増やし、受注側、発注側の双方向から交流できる場にしていきたいですね。また、実際にクラスターとして一貫生産につなげているグループはまだ限定的です。今後、競争力のあるクラスターが1つでも多く出てくることが目標です。
日本の航空機産業が目指すところは。
今後さらに発展していくためには、完成機をつくることが欠かせません。進行中のMRJでは、国産部品の占める比率が3割ほどと言われ、日本企業にはこの比率を上げることを期待しています。また、海外の大手航空宇宙メーカーは今後の成長市場とされるアジアでの部品調達を進めており、アジアに強みを持つ日本企業には大きな役割を期待しています。このため、先月には東京でアジアの産官を集めた会合を開催しました。今のうちにできるだけ多くの部品を手掛けて実績を積み上げることが必要です。我々政府としては、今後も様々な施策を揃え、日本企業の競争力強化のための支援を続けていく考えです。
斎藤賢介氏略歴
1992年に通商産業省(現:経済産業省)入省後、米国留学を経て、主にアジア・中東地域とのインフラやエネルギー分野の協力、貿易・投資促進を担当。在フィリピン日本大使館とJETROジャカルタ事務所でも勤務。2017年6月から現職。山形県出身。
日本産機新聞 平成30年(2018年)12月20日号
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