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ロボ、IoT時代到来 エンジニアリングの強化
マネタイズや人材に課題も
エンジニアリングが必要なロボットやIoT(モノのインターネット)向けの市場が拡大している。機械工具販売店でも、システムインテグレータ(SIer)と協業したり、ターゲットを絞ったり、社員教育を強化したりするなど、需要獲得に向けた動きも活発になっている。ただ市場拡大の一方で、ロボットやIoT関連はマネタイズに時間がかかることや、システム提案に長けた人材の確保など乗り越えるべき課題も少なくない。
需要獲得へ動き活発
産業用ロボット市場は2025年には3兆円を超すとも言われ、IoT市場も22年までに約12兆円になるという試算もある。大手商社幹部は「この成長市場に参入しないことはあり得ない。エンジニアリング力の強化は不可欠だ」と話す。
販売店でも同様に需要獲得を目指す動きが活発化している。まず課題となるのがエンジニアリング力をどう確保するかだ。工場のIoT化や自動化を実現するには「機械、電機、ソフト、通信など幅広い知見が必要」(あるSIer)なため、外部と協力する企業が大半だ。
5年前からIoTやロボットなどのシステム提案を強化する東海岡谷機材は、システム構築は関連会社と協業し、自らはロボットシステムゾーンでの提案を中心に実績を積み上げている。一昨年にロボット推進室を立ち上げた京二は、システム構築に長けた人材とアドバイザリー契約を締結。別の販売店では、大手ユーザーの元生産技術者を雇用し、システム構築のノウハウを蓄積している。
外部資源の活用だけでなく、長期的には社内人材の育成も必要だ。東海岡谷機材では、7月に若手を中心に育成プログラムを開始。「ロールプレイングを重ねながらまずは顧客のニーズをヒアリングできる人材を育てる」(原野孝司社長)考えだ。
ターゲットを明確にするのも重要だ。京二の井口宗久社長は「30人くらいの食品工場が自動化やロボットの要望は非常に強い」とし、食品や住宅に的を絞る。原野社長も「大手でも手が付けられていない会社もあり、探れば市場が拓けるチャンスがあるため、重要取引先を中心に積極的に予防保全を提案する」と話す。
市場拡大の一方、ロボやIoT関連は手離れが悪かったり、リピート品が少なかったり、売上の貢献に時間がかかることも課題だ。東海岡谷機材では「売上に占めるロボットの割合は5%で、IoTも1%程度」という。京二もロボットや物流関連の売上を「20年に8億円を目指す」と中期の目標を掲げる。ある商社幹部は「SIerに小規模事業者が多いのは、それだけビジネスの拡大が難しいということ。機器や周辺の販売を含め、どう価値を生み出すかが重要」と指摘する。
SI人材の不足も課題だ。政府は現在1万人のSI人材を将来は3万人にまで増やす計画で、8月にはSIer協会も設立した。それでも絶対数が不足していることから、ロボットやIoT関連の需要獲得には、社内の育成だけでなく、こうした外部機関の活用したエンジニアリング力の確保が課題となる。
日本産機新聞 平成30年(2018年)9月20日号
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