2026年10月17日(土)

生かす3ブランドの特長
フジ矢 野﨑 恭伸 社長

この人に聞く2018

 ペンチ・ニッパメーカーのフジ矢は2015年に同業の花園工具(現在吸収合併)を、17年にボールポイントレンチのワイズ(旧若穂囲製作所)を子会社化した。現在グループには競合し合う「フジ矢」「ビクター」(旧花園工具)の2ブランドとそれとは異なる分野の「ワイズ」の1ブランドが併存する。今後この3ブランドをどのように位置づけ、事業展開していくのか。野﨑恭伸社長に聞いた。

フジ矢 野﨑恭伸社長ー今後の3ブランドの位置づけは。
 フジ矢は工具収納バック、ビクターはVA線ストリッパとそれぞれ強みを持つ商品があるが、やはり主力のペンチ・ニッパでは競合する。そこでフジ矢は幅広い商品群で幅広いユーザー向けのマスマーケット向けの商品を、ビクターは特定ユーザー向けにニッチマーケット向けのハイエンド品に特化する。

 ワイズはこれら2ブランドとは商品の分類や狙う市場が異なるため別の柱のブランドとして進める。

ーそれぞれに特長を持たせる理由は。
 立ち位置やイメージを明確にし、それぞれが活躍できる市場をつくりたい。電気工事向けで認知度の高いフジ矢はボリュームゾーン市場でシェアを伸ばし、品質重視のビクターは高級志向の需要を掘り起こす。ワイズはフジ矢とビクターとは別の機械整備や金型などものづくりの分野を開拓する。

営業、提案力高める

ー約2年半と短期間で2社をM&Aしました。組織整備は必要ありませんか。
 3ブランドの併存で営業部内に提案力の偏りがあった。営業は出身ブランドの商品知識が高く、それを優先して薦めようとしてしまう。そのため商社や販売店への提案力に偏りが出ていた。今後は営業一人ひとりが強みの持っているブランドを中心に販売できる組織体制に変更していきたい。特化することで商品知識や提案力が高まり新たな販売企画や新商品開発につながるし、そのブランドに対する販売の責任感も増す。

ー3ブランドの販売見通しは。
 フジ矢とビクターはペンチ・ニッパの国内市場でのシェアが約40%だが、特長をつけることで、さらにシェアアップできると思う。一方、耐久性が優れるワイズはものづくりの技術者から根強い人気があり、その特長をしっかりと提案していけば販売は伸びる。国内だけでなく海外販売の強化などにより100周年を迎える2023年にグループ全体の売上高を30億円にしたい。

絶やさぬ業界の財産

ーM&Aの目的は。
 日本の作業工具の技術力を絶やさぬため。作業工具は人口減少に伴い市場が縮小し、また後継者不足でメーカー、そして加工や表面処理などの関連企業が廃業を余儀なくされている。それらの会社は歴史が古く、極めて高度な技術を持ち、日本の作業工具業界を支えてきた。

 廃業を見過ごしていては、それらの優れた財産は失われ、結果的に業界全体の競争力が低下する。技術を次の時代につなぎ、日本の作業工具の競争力をさらに高め、またフジ矢の経営戦略の総合工具メーカーを目指す事にも合致するM&Aは今後も選択肢のひとつだと考えている。

日本産機新聞 平成30年(2018年)5月20日号

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