2025年7月19日(土)

トラスコ中山 物流などへの投資加速
ユーザー直送を強化

 トラスコ中山の2017年の売上高は前年比10.2%増で過去最高の1950億円を記録した。ファクトリールートも堅調で、ネット通販向けが3割以上の伸びたことも奏功した。18年の売上高は7.6%増の2100億円を掲げるが、利益面では一転減益を予想する。在庫拡充に加え、人手不足で販売店からの直送依頼が増えると予想し、ユーザー直送体制を強化する。そのため、物流機器などに18年だけで140億円以上投資する。利益を抑えてまで、巨額の投資をすることで「業界のインフラ企業を目指す」(中山哲也社長)考えだ。

 「在庫拡充のスピードを落としても、早急にユーザー直送体制を整えたい」。決算発表の席上で中山社長はそう話した。同社では、数年前から在庫を50万アイテムまで引き上げることを優先課題のひとつにしてきた。その投資速度を落としてまでも、直送体制を強化するのは、社会問題になっている人手不足が進み、流通環境の変化が予想されるためだ。実際にネット通販企業からは「ユーザーに直送して欲しい」という声が出始めているという。また「将来的に人手不足でタイムリーに配送業務ができなくなる販売店様もでてくるかもしれない」(中山社長)。

 これまでも要望があれば有料でユーザーに直送してきた。しかし、梱包作業など効率的な運用が難しく、一部の物流拠点での対応にとどまっていた。今後、全社的に広げるべく、梱包の自動化などに投資を積み増す。18年は、物流機器やシステムなどを中心に約144億円を投資する予定だ。

 中山社長は「当社の投資は土地を購入し、建物を建てることが多い。土地は出会いの側面もあり、明確な投資額が読みづらい」と話すものの、20年までの3年間で、500億円以上の設備投資を計画している。

 直送体制に加え、顧客の利便性を向上させる新たなサービスも構想している。そのひとつが検討を始めている「MROストッカー」。置き薬のようなイメージで、ユーザーの工場内に在庫を置かせてもらい、買った分だけ販売店経由で請求する。ユーザーの在庫管理の手間や、販売店の配送頻度削減につなげる狙いだ。中山社長は「究極のクイックデリバリーシステム」と話す。

 このほかにも、見積もりした商品の出荷準備が整ったことを販売店に伝える「出荷準備完了メール」や、昨年導入を決定した人工知能(AI)の活用準備も進めている。中山社長は「これからもお客様の利便性向上を追求し、業界になくてはならないインフラ企業を目指したい」としている。

日本産機新聞 平成30年(2018年)3月5日号

[ ニュース ][ 日本産機新聞 ][ 機械工具業界の出来事 ] カテゴリの関連記事

ソディック 圷 裕次社長【この人に聞く2025】

真のグローバル企業に/売上高1000億円目指す 今年3月、ソディックは、圷祐次副社長が代表取締役CEO社長執行役員に就く人事を発表した。欧米経験が長い圷社長は自身のミッションを「ソディックを真のグルーバル企業にすること」 […]

ベッセル 充電インパクトの新型発売

ベッセル 充電インパクトの新型発売

回転スピード3段階/車のタイヤ、効率良く取付け ベッセル(大阪市東成区、06・6976・7771)は、回転モードを切り替えることで自動車のタイヤを効率良く取付けられる充電インパクトレンチを発売した。自動車組立・整備工具の […]

日本レヂボン 研削研磨のグローバルメーカーに

日本レヂボン 研削研磨のグローバルメーカーに

レヂボン水魚会 支部総会を開催 日本レヂボン(大阪市西区、06・6538・0136)は6月10日、宝塚ホテル(兵庫県宝塚市)で関西支部と中・四国支部合同のレヂボン水魚会支部総会を開いた。グループ企業との連携による海外市場 […]

トピックス

関連サイト