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異業種交流座談会
メーカー8社が語る、どうなる2015年
2014年は日本の製造業にとって大きな変化の年だった。出足は消費増税で企業の業績回復が鈍ったが、アベノミクスによる円安・株高の効果、そして東京五輪開催に道筋がついたことで好転への力強さが増してきた。もっとも機械工具業界では工作機械が後押しした。景気回復の兆しと政府のものづくり補助金などが製造業の設備投資を活性化させ、日本工作機械工業会は14年の受注総額を1兆4500億円に上方修正した。加工技術では金属3Dプリンタや超硬を加工できる切削工具、5軸・複合加工機の新型など、革新的な技術が続々と登場した。そして、製造業と生産財の橋渡しを担う機械工具商社は、そうした変化やニーズを柔軟に捉える力が求められる。2015年は、どんな年になるだろうか。機械工具業界を代表するメーカー8社(紙上参加1社)に業界の今後の動向や、それぞれの事業戦略を聞いた。
出席者
オークマ
営業本部大阪支店 次長 田中基樹氏
西日本地区の営業と管理を担当。
キトー
東アジア事業本部大阪営業部 部長 富田行雄氏
近畿から九州までの西日本地区の営業を統括。
昭和電機
営業本部 営業部統括副部長 大西稔氏
国内の営業を統括。
スイデン
大阪支店 支店長 松永正氏
関西2府4県・三重県伊賀地区の営業を統括。
大昭和精機
西部支店 営業課 課長 内海聡氏
近畿地区、主に京滋地区の営業を担当。
東京精密
執行役員 西日本営業統括 兼 営業4部 部長 河合克夫氏
富士川以西の西日本地区の営業を統括。
TONE
営業企画部 部長代行 太田勝久氏
製品企画・販促企画・製販調整を担当。
三菱マテリアル
加工事業カンパニー 大阪支店 流通営業課 課長 松田武氏
北陸から九州までの西日本地区の営業を統括。
― まず、2014年を振り返って、どんな年だったでしょうか。
田中(オークマ) 日本工作機械工業会(以下、日工会)の受注額を見ますと、11月が1391億円となり3か月連続で1300億円を越え、日工会会長を務める弊社の花木社長は、JIMTOF開会式で、年間の受注見通しを1兆3000億円から1兆4500億円に上方修正しました。
一方、オークマでは11月受注が12.5億円で、15か月連続100億円を越えました。JIMTOFでの当社の引き合い件数も2年前に比べ2倍を超えました。具体的な有力引き合いが多く、ユーザーの設備意欲が高まっていると言えます。また、補助金の効果は大きく、また生産性向上設備投資促進税制も大きな効果を上げています。
― どんな機械の受注が増えましたか。
田中(オークマ) 複合加工機が多く、金額ベースで全体の1/4を占めます。日本では、シンプルな加工機より複合加工機が浸透してきていると思います。工程集約、高精度などのニーズが多く、日本の製造業は高付加価値、高精度なものをコストダウンして製造することになると思います。また、5軸加工機、複合加工機の高精度化を目指しており、機械の知能化も進めています。
河合(東京精密) 測定機も昨年は悪くありませんでした。接触式測定技術と光学式測定技術を一台に集約したマルチセンサ測定機(O―INSPECT)が良く、また航空機が忙しいので、大型3次元座標測定機の受注が伸びています。地域によっては2倍以上伸びているところもあります。当社は、計測で年間250億円の売上を目標にしていますが、上期で半分ぐらいまで来ています。また、ものづくり補助金に絡んで、1000万円クラスの3次元測定機が良く売れています。
― 工程短縮という観点から、自動計測も注目されています。
河合(東京精密) 極端に増えているというわけではないですが、現場で自動計測したいというニーズは昔からあり、ユーザー様から引き合いが増えています。
内海(大昭和精機) 我々も昨年は国内外ともに堅調に推移しています。ものづくり補助金の影響も大きかったと思います。我々も一部、計測関連の製品を扱っていますが、複合加工機や5軸機、ソフトウェアと違って景気が良くないと投資されない分野です。それが好調だったので、昨年は良かったと感じています。
― ツーリングへの要望に変化はありますか。
内海(大昭和精機) 今までより小型のニーズが増えていると思います。30番テーパの製品の台数が増えています。台数で見ると、日系を含めスマートフォン関係の海外のお客様向けが多いです。国内では、ここ数年、複合加工機向けのツーリングが増えてきています。
松田(三菱マテリアル) 超硬工具協会の出荷額は2013年第4四半期を100として14年第1四半期は103%、第2四半期は105%と工作機械ほどの伸びはありませんが、増税前の駆け込み時期より出荷額は増加していますが、国内流通の現場ではあまり実感がありません。
― ユーザーの仕事量は。
松田(三菱マテリアル) 増税前の駆け込み後、ユーザーの仕事量は一部を除いて全体的には増えていないと思います。弊社は、三菱マテリアルツールズが三菱マテリアルに吸収合併され、新組織で「三菱の総合力でお客様の声にスピーディーにお応えします」という事業方針の元、拡販に取り組んでいます。12月以降はアフターJIMTOFキャンペーンで新製品の拡販を目指しています。
大西(昭和電機) 弊社の中部はミストコレクタが好調です。関西も前年比10%増まではいかないものの好調です。広島の自動車メーカーさんが良いので、岡山営業所は好調です。当社は12月が本決算でしたが、全体では売上高が5%ほど伸びました。当社は電動送風機もファンも含め、“環境改善機器”というテーマで取り組んでいます。
その中で、電動送風機は、いち早くIE3対応モータを自社で製造し搭載しています。単価が上がっているので台数的には落ちているものの、売上額は前年と変わりません。
― 電動送風機の顧客は。
大西(昭和電機) 液晶などの装置の乾燥用に使われていましたが、その分野が海外に出て行ってしまい、それを埋めるため、食品関係や化学機械の設備や自動車関係の高温炉向けなどの市場を攻めました。
海外に出ていくお客様は海外営業部が海外でのサポートをしっかり行い、国内で取引が無いお客様と海外で取引が始まれば海外のツテを使って国内ユーザーを新規開拓したりと、国内外営業部の連携・情報交換を密にして営業展開しています。
富田(キトー) 1~3月は消費税増税前の駆け込み需要で相当の恩恵を得ましたが、4~5月は増税の影響を受け、6月後半から徐々に立ち上がってきました。中国が減速、東南アジアはタイの政情不安のためここに来て鈍化しています。9月の中間決算では、全体で前年比4%程の伸びです。
国内では我々の製品は、公共投資と民間設備投資に影響されるものとに分かれます。どちらかというと、公共投資が良かったと思います。
― 新流通制度とは。
富田(キトー) 国内の市場を5年、10年のスパンで見ると伸びることはないと思っています。そこで、バリュー型ビジネスを提唱し、そこに賛同して頂きたいと思っております。たとえば、値段だけでなく色々なサービス、安全面をもっとユーザーに提案して頂きたいということです。自社でメンテナンス機能を持っていない販売店様には、弊社のサービスショップと連携して活動をお願いしています。9月までの半年を見てみると成果は良いかなと思っています。
松永(スイデン) 昨年の4月以降、消費税増税の影響が出ると見ていましたが、5月から夏物の時期になり、暑さが早まり、特にレンタル業者様で多くご採用頂きました。工場扇は関東のレンタル業者さんから何千台単位で受注を頂きました。スポットクーラーも出足は好調でしたが、8月に入り西日本で冷夏になり、雨も多く、前年比若干割れとなりました。送風機は低騒音のものが好調で全体的には10%程度アップは確保しています。
― 内覧会を開催されました
松永(スイデン)大阪支店では5月に初めて内覧会を東大阪で行い、代理店様、販売店様の営業担当者様250人が来場して下さいました。今期発売の新製品のDCモータ搭載工場扇、インバータ内蔵型熱風発生機、小型集塵機などを筆頭に、他の製品の使用例などもモニターなどを用いて紹介することができ、非常にわかりやすいと好評を頂きました。グループ会社のオカモトブロアの製品なども見て頂くことが出来ました。評判が良かった為、今年も行うかを検討しています。
― 低騒音形の送風機の反響は如何ですか。
松永(スイデン) 大きいですね。現状と比較しても評価が高いです。あとはユーザーの仕様に合った物にする事ですね。例えばレンタル業者では、丸物は台数が多いと管理が大変なので、角型の送風機で積めるようにしたらと、試作機を作ったりしています。また、現状の送風機は床置きが主流ですが、送風だけでなく、対人、対物に風を送るというコンセプトで、天井に吊るせるものなど試作機が出来ており、来年導入が決定しています。
太田(TONE) 弊社では建築向けの電動工具「シャーレンチ」が好調でした。東京オリンピック開催が決まって、関東を中心に商談が活発になるだろうと、昨年の初めから生産台数を増やしました。4年前にシャーレンチをモデルチェンジし、販売台数を増やせました。建築は鉄工所さんが職人さんを集めて工事しており、その職人さんは次の現場が分からないので自分で工具を買わない傾向でした。最近は、商社さんや販売店さんに聞くと、今まで買わなかった鉄工所さんが買うようになったということです。良い道具を買わないと職人さんが来ない状況になっているといいます。先週リニア新幹線着工も決まり、今から2020年までオリンピック関連、その他遅れている物件が2020年以降にずれ込むといった見方があるようです。また、作業工具は裾野が広く、個人消費の伸び悩みで少々苦戦しています。
― 市場育成型製品と言われていますが。
太田(TONE) 昔から会社の中で「答えは現場に」と言っています。現場の声が一番正しいという考え方です。ボルト締結の課題を解決するというスローガンがあります。TONEに声をかけて頂ければと思い、2年前のJIMTOFで、NCトルコンという電動工具の先端にトルク計測器を備え、その数値をまた電動工具の制御に送って、それで出力をコントロールするという製品を出展しました。市場を創る取り組みです。その時提案頂いていた富士重工さんの飛行機の現場の条件に合うようカスタマイズして売っていましたが、昨年末に一般に販売を開始しました。
― 今年の見通しについて伺います。
松永(スイデン) 今、非常に懸念しているのが円安です。夏季商材などは海外生産をしており、120円台となるとコスト的に厳しくなります。実は中国で生産している商品に関しては2期連続で価格改定させて頂きました。再度の値上げとなりますと市場で受け入れて頂けるかどうか心配があります。今後の為替の動向に注目しています。
河合(東京精密) 当社もやはり先が見えない感じがしますが、悪い要因はない。しかし良い要因もない感じです。JIMTOFで十数種類の新製品を発表しました。今年はそれを中心に売っていこうと思っています
3次元座標測定機、表面粗さ測定機、真円度測定機に加えて、新しく光計測という柱を作りました。白色干渉法を原理とした測長システム「オプトメジャー」、白色干渉原理を用いた非接触三次元表面粗さ形状測定機「オプトスコープ」という新製品です。早くPRして認知してもらうために、大阪で2月に展示会を開催するので、そこにも出展しますし、特約店会などで勉強会・製品紹介をする予定です。
また、販売店様・特約店様の主導で、企画・集客までやってもらって、当社のショールームを使って展示会を開催します。昨年も何回かやりましたが、結構な来場者で賑わいました。
― 多くの販売店様がそれぞれ企画して下さる。
河合(東京精密)あの会社が展示会をやっているというのを聞きつけて、「自分のところもやろう」って感じで拡がります。その中でそれぞれの会社の特長を出すために、少しは変えたりして。展示会をすると、やはり引き合いも出てきて、実際受注に繋がりますから、「またやろう」となるんです。
田中(オークマ) 工作機械産業の概況を内需と外需に分けてみてみます。消費税再増税を見送りましたので、今までのような大規模な公共投資とか経済対策は期待できないと見ています。ただ企業の投資や一般投資の拡大は期待できると見ています。それと設備投資減税も投資マインドを向上させており、今年の工作機械の内需はゆるやかに拡大していくのではないかと見ています。
― 過去最高になるかも。
田中(オークマ) 外需は、アメリカの経済は堅調、ヨーロッパがまだ足踏み状態。これはウクライナ問題だとか信用問題の再燃とか、そういうものが大きなマイナスにならず、アメリカ経済がこのままいけば、アジアの新興国の方にもその恩恵が拡がっていくだろうと思います。中国市場は、多少経済成長が鈍化しても、販売を拡大させる余地は大きい。何故なら、労働力が不足しているのと賃金が非常にあがっているという状況がありますので、ますます日本のハイテク機械の需要が高まっていくと見ています。
富田(キトー) 当社は昨年8月にアメリカのチェーン製造メーカーを買収しました。タイヤチェーンから我々のホイスト用のチェーンまで雑多なチェーンを製造しており、ホイスト用は40%位です。今後はコラボを図っていく考えです。それから、昨年エアーホイストを発売しました。アメリカでは数年前から販売していましたが、日本国内にも持ってこようということで始めました。引き合いは今のところ堅調です。11月にはジブクレーンのパッケージ型を発売しました。従来オーダーメイドで作っていた製品を、24種類にパッケージ化して売り出したものです。
太田(TONE) 昨年の11月に作業工具の主力製品であるラチェットハンドル、スピーナハンドル、スパナ、或はコンビネーションスパナのシリーズを“次世代工具シリーズ”と名付けまして、グッドデザイン賞を頂きました。その工具のセットのセールを四月まで実施しています。それに伴って、春くらいからは、ケースやレンチセットのデザインも変えてリニューアルの予定です。工具の主力商品のリニューアルも進めていこうとしています。昨年末から年始にかけてトルクレンチの主力49アイテムをモデルチェンジします。差込角の大きさによってレンチのグリップの色を変えていましたが、赤、黒、シルバーとかコーポレートカラ―に揃えたデザインにしながらモデルチェンジをしています。
松田(三菱マテリアル)今年は、大手顧客の活発な新興国への展開、国内は設備投資を期待ということで、国内海外共にゆるやかに回復して欲しいと思っています。国内は「お客様に一番に選んで頂けるメーカーに」ということを方針にしており、ソリューション営業の強化、技術サービスの強化、付加価値の高い製品の拡販をしていきます。
大西(昭和電機) 今年の4月からIE3モータの規制が施行され、当社は自社でモータを製造しており、これに向けて一昨年から電動送風機を用意してきました。今の時点で図面や性能曲線等が全部揃っているのは当社だけなのですが、各モーターメーカーさんが価格を確定されてないので、それでどれ位伸びていくかははっきり見えません。ただ、どこよりも早くIE3モータ搭載のものは対応できます。
内海(大昭和精機)現状何が良い悪いというのは、皆様と同じで特に無いのですが、数字的には消費は決して悪くはないと思います。増税しようがしまいが、新しい商品で我々なりの付加価値ある商品で商売をしないといけないという点では、今良い展開になってきていると考えています。
紙上参加
コンプレッサ 省エネ機種が伸長
― 昨年はどんな年でしたか。
大きな出来事は3月に東証2部から1部へ指定変更となりました。社内としては一番のニュースです。
昨年4月の消費税増税前は、建機は堅調に推移していました。産業機械の分野は3月から若干出てきたかなという感じで、建設機械程の大きな駆け込みはありませんでした。増税後の第1四半期の産業機械は少し落ち着いたかなと思います。
― その後は。
東京オリンピックが決まり、東日本の復興需要で国内の建設機械の需要が堅調です。第2四半期は前年同期比で23%増、産業機械は13%増となっております。これから工事が始まるので、レンタル業者を中心に購買が進む時期に入っています。
また、補助金を受けた工作機械のエア源としての引き合いが増えました。機械工具商社様のほか、機械専門商社様からも引き合いが多かったですね。生産性向上の優遇税制もあり、過去十年間で年率して1%以上効率が上がった機械ということで、昨年モデルチェンジした15、22、37㌗機種がその対象になり恩恵を受けました。他社も同じだと思いますが、そのクラスの受注が伸びています。
― 産業機械分野で良く売れている商品は。
一番の伸びているのはスクリューコンプレッサの15、22、37kWのPROAIR(プロエアー) ASシリーズです。昨年モデルチェンジし、最大15%空気量をアップさせました。他社にはない大容量で、これが省エネの観点から非常に伸びています。
日本産機新聞 平成27年(2015年)1月5日号
TONEは、本社を同社最大拠点である河内長野工場に統合、移転した。9月26日から業務を開始した。 今回の統合により、開発、製造、営業企画、品質保証、管理の各部門と経営を一体化。部門間のコミュニケーション向上を図り、一層綿 […]
ツーリングメーカーのエヌティーツール(愛知県高浜市、0566-54-0101)は福岡県筑紫野市に九州事務所を開設し、九州地域での迅速かつ細やかなサービスを提供することで顧客の課題解決に応えていく。住所は福岡県筑紫野市原田 […]