2020年10月29日(木)

自動車産業 エクセディ 生産現場を訪ねて

トルコン生産世界No.1

14年度単体 機械設備投資額約53億円

ATの全数検査_R

 自動車のトランスミッションに組込まれるトルクコンバータ (通称、 トルコン)、 マニュアルクラッチ、 車はこの機能無くして快適に運転ができなくなっている。 エクセディは、 このトルコンの生産量で世界№1を誇る。 つくるのは、 国内外23カ国、 41社 (国内12社、 海外29社) で働く1万7千人強の人たち。

 13年度は過去最高の2342億円を売り上げ、 14年度は前年度比4・6%増の2450億円を計画する。 本社・寝屋川工場の 『トルコン工場』 は、 女性が6割を占める。 NC機を操作する、 測定、 溶接、 ロー付け…男性と変わらない仕事を、 同じ8時間労働で行っている。

 一般的工場と違うのは、 女性が働きやすく機械、 装置に工夫や配慮がされている。 安倍政権が推進する女性の社会進出を、 エクセディは早くから始め、 大きな効果を上げている。 (9月10日、 本社・寝屋川工場で)。

女性にやさしい機械・装置

月産4万台のトルコン工場
 トルコン工場の広さは、 2200㎡。 ここには5本のセルが設備され、 月産4万台のトルコンを生産している。
セルは、

  1. ロー付セル (ブレードセット機、 銅線セット機、 ロー付炉)
  2. 溶接セル (NCボール盤、 NC旋盤、 溶接機、 摩擦圧接機)
  3. 旋削セル (NC旋盤、マシニングセンタ、 自動測定機)
  4. 組立セル (溶接機、 カシメ機、 洗浄機、 バランス測定機、 平面度検査機)
  5. ファイナルセル (洗浄機、 溶接機、 マシニングセンタ、 Heリークテスター、 バランス測定機、 バランス修正機、 性能テスター)

 これほどいろいろな機械、 装置を工場いっぱいに設置しているところはあまりない。

 工場には、 エアーシャワーが設置されていた。 衣服に付いた埃を飛ばしてから工場に入る装置は、 機械工場には珍しい。 過去に半導体やナノ精度を求めるレンズ加工工場で経験をしたことがあるが、 航空機エンジンやベアリングの機械加工工場でもそこまで必要としていないのが大半。 高精度・高品質を第1にするエクセディのトルコン生産に対する姿勢を伺うことができた。

 案内をしてくれたのは、 本社トルコン工場の冨岡百合野さん。 各工程を専門用語も交えながらくわしく説明してくれた。

 「ここは女性が主に推進する工場。 このため、 女性目線の配慮をいろいろなところに採用している」 (冨岡さん) と言うように、 機械のスイッチ高さ、 ワンタッチでパレットを搬送する昇降装置レバー、 設備機械のボタン…など女性の背の高さに合わせた配慮が至るところで採用されている。

 女性専用の休憩室も設けてあり、 優しさが工場内に広がる。 安倍首相にはぜひ一度見てもらいたい女性重視の機械加工工場が既に実稼働していた。

 ちなみに同社寝屋川、 上野事業所には、 約4500台の機械プレス、 加工機、 溶接機、 熱処理設備が設置されている。 年間の切削加工に使うスローアウェイチップは、 50万個 (13年7月~14年8月)、 金額にして約2億6000万円購入している。 凄い消費量になる。

 また、 14年度の機械設備投資額は、 約53億円 (単体) で、 同社は生産規模の拡大を続けている。

NC旋盤ラインで作業する女性_R
 
月60型の金型工場
 もう一つの工場、 金型の組立と成形加工の工場は、 広さが約5400㎡。 ここには800t、 400tクラスの機械プレスや工作機械が設置されている。 近日中には複合加工機が導入されるという。

 金型は、 月60型から多い時には70型組んでいる。 組立てた金型は、 3次元デジタイザーで全数検査 (写真) し、 データ分析をする。 3D設計されたモデルに対し、 金型が設計どおりに組み立てられているのか画像で判定する仕組み。

 モデルに対し寸法が基準に入っているのかなど色分けが出来ていることが、 これまでの数値で表された測定と大きく違うところ。
「グリーンが出れば合格。 黄色が高い、 青が低い判定が一目瞭然で見ることができる」 とは、 生産技術本部生産設計部標準化チーム長浦川佳寿彦氏。
 浦川チーム長によると、 同社の金型製作は 「早くから3D技術を活用し、 開発から製造まで一気通貫で作り上げている。 この技術で金型の構想設計→詳細設計→金型設計が3Dに変わる。 試作、 修正が無くなり従来工法に比べ2分の1以下に短縮された」 と言う。 (詳しくは金型しんぶんで紹介予定)。

RE―IS改革
 同社の特長は、 取材した範囲に限定されるが、 もう一つある。
 それは、 「RE―IS」。世界で勝つ原価の実現に向けて基幹システムを刷新したこと。 これまで業務ごとに個別管理されていた情報を、 システムを大型化し、 「情報の統合化を果たした」 (管理本部副本部長兼情報システム部長鹿崎良裕氏)。

 同社は、 この2工場をはじめグローバルに展開する国内外の生産拠点をひとつのシステムでつなぎ、 ものづくりの共有化から生産、 販売、 在庫、 仕入れ、 原価、 さらには品質情報に至るまで全体スケジュールが瞬時に見て・判断し・手を打つ 「情報のシステム化」 が進められていた。

  「30年ぐらい小さなコンピュータで情報を積み上げてきた。 それが限界に達し、 全面的に再構築したのがRE―IS」。
  「紙ベースから自動入力へ移行することで、 現場最優先のものづくりと現場が作業に専念できるシステムの構築ができるようになった」 とは鹿崎氏。
 
トルコン累計1億台達成
 同社は今年5月、 三重県上野事業所の生産ラインで、「トルクコンバータ累計生産1億台達成」の記念式典を開催した。
 1958年に 「将来にAT車普及を見据え、 トルクコンバータの開発に着手」 し、 1975年から自動車向け量産を開始。 現在は、 5カ国6拠点で年間850万台を生産する結果、 累計1億台に達した。 今ではトルクコンバータを含むAT車用部品は連結売上の6割を超す勢いにある。

F3レース、 なでしこリーグ…
 小島取締役執行役員生産技術本部長のインタビューにもあるように、 同社は 「I LOVE EXEDY」 を目指し、 仕事を目いっぱいする一方で社員のスポーツ支援にも力を入れており、 同社の知名度を倍加している。

 女性レーシングドライバー、 女子サッカーなでしこリーグ 「伊賀FCくノ一」、 女子卓球部、 女性社員アスリートを同社は応援している。

 以上が、 エクセディの近況報告だが、 この2つの生産現場からでは、 とてもグローバルの戦いを展開するエクセディの全貌を知ることは出来ない。 ただし、 ここには同社の現況と未来の姿が映し出されている。 トルコンで世界№1の座を維持し、 広く世界を舞台に展開するエネルギーが感じ取れた。

エクセディの会社概要
本 社 大阪府寝屋川市木田元宮1-1-1
設 立 1950年7月
社 長 清水春生氏
資本金 82億8,400万円
従業員数 1万7,404人(14年3月、連結)
国内製造拠点と主な製品(4工場)
 本社工場(マニュアルクラッチ、トルクコンバータ、建産機用トランスミッション)
 上野事業所(トルクコンバータ)
 川越工場(マニュアルクラッチ)
 広島工場(マニュアルクラッチ)
関連製造拠点と主な製品(国内)
 ダイナックス(北海道千歳市・苫小牧市、ペーパーディスク、クラッチパック)
 エクセディ鋳造(京都府福知山市、建産機用トランスミッション用鋳物製品)
 エクセディ京都(京都府木津川市、プレッシャープレート、ホイルステータ)
 エクセディ精密(岡山県美作市、リベット、フライホイール、ベアリング)
 エクセディ福島(福島県喜多方市、ニードルベアリング)
主要事業セグメント
 MT(クラッチディスク、クラッチカバー、2マスフライホイール)
AT (トルクコンバータ、オートマチックトランスミッション部品)
その他(パワーシフトトランスミッション・同部品、リターダ、2輪車用クラッチ)

日本産機新聞 平成26年(2014年)9月25日号

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