2020年10月29日(木)

商社15社のトップに聞く 成長への戦略

専門性や提案に磨き

 卸商社の戦略の違いが明確になってきている。物流を強みとしたり、専門性に磨きを掛けたり、機械や工具の総合力を強化したりなど、規模やそれぞれの強みを武器に差別化を図っている。卸商社であってもユーザーニーズを収集するのも一つの流れだ。ただ、いずれの戦略にも共通しているのは「いかに顧客の利便性を高め、必要な存在になるか」だ。今年の戦略や中長期的な方向性などを卸商社15社のトップに聞いた。

営業・物流拠点を拡充

独自の商品、技術施設も

 「日本市場は大きくならない。ネット通販も台頭している。そんな中で存在価値がなければ生き残れない」(ある卸商社幹部)。卸商社の戦略の違いが明確になっている背景にあるのはこうした危機感だ。そんな中、各社機能性を武器に独自色を鮮明にし始めている。

 そのひとつが物流機能の強化だ。「業界のインフラを目指す」というトラスコ中山は、在庫拡充や運送の自社便化も進める。在庫センターを新築したシミヅ産業は「顧客の近くに在庫を置く」とする。ヒシヒラも「地域特性や顧客の要望に応じ在庫を持つ」という。このように量だけでなく在庫の持ち方や質を高める動きも目立つ。

 専門力も差別化のひとつだ。「設備機械一体受注を目指し、エンジニアリング会社と提携する」(前田伝導機)や「切削工具の取扱を増やし、いずれ技術センターを設けたい」(大阪工機)など、専門力も製品だけでなく技術も含め、多様化している。

 幅広い商品を強みに総合的を武器とする企業も多い。喜一工具、エスコ、小川善を傘下に持つJoyful喜一ホールディングスは「3社が密接に協力し、グループ全体でシナジーを出す」とする。ユアサ商事は「機械、工具など部門を超えた総合的な提案が必要」と意識の変革を進めている。

 商品戦略も競争力強化の重要要素のひとつだ。商品開発室を設けたNaITOは「あらゆる可能性を否定せず、ロボットや自動化も模索する」とし、「大手では扱いづらい特定の顧客にハマる商品を扱う」(俣野)など独自の商品戦略を描く。

 また、最近では卸商社がユーザー情報を収集し、価値を提案する動きも増えている。日伝は「展示会を通じ、ユーザーニーズの理解を深め、商品やサービスを迅速に提供する」や「エンドユーザー目線に立ち、ユーザーの課題を最適化することで、販売店と当社の両方に価値を見出す」(ジーネット)としている。

 物流、専門性、総合力など各社の戦略は異なるが、共通しているのは「いかにして顧客の利便性を高め、必要な存在になるか」ということだ。100年超の歴史を持つ商社のトップは言う。「どんな戦略を取ろうが、顧客にとって必要と思われる会社はなくならない」。

日本産機新聞 平成27年(2015年)7月25日号

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