2021年3月5日(金)

タンガロイの挑戦-TUNGFORCEの本質-
若手技術者に聞く③

挑戦に終わりなく

技術本部材料開発部 CVD開発グループ 佐藤 博之氏

 形状の進化もさることながら、切削工具のイノベーションは素材やコーティングなど材料技術による部分も少なくない。1000点超のTUNGFORCEでも、多くの新材種や新たなコーティングが採用されている。3回目のインタビューはCVDコーティングの開発技術者の佐藤博之氏に取り組みや、こだわりを聞いた。

「使える被膜」にこだわる

佐藤博之氏
 2003年タンガロイに入社し、CVD開発に取り組む。09年~12年にイスラエル本社に出向。37歳。
 佐藤氏が開発を担当したのは、鋳鉄の高速加工に特化したCVDコーティング材種「T515」。こだわった一つが「使える加工」だ。鋳鉄は調達先によって材料特性にバラつきが多いため、切削条件を厳しくする必要がある。「ありえないような加工テストや、実加工に近い条件でテストし『使える』加工にこだわった」。

 もちろんTUNGFORCEのコンセプト「倍速加工」も突き詰めた。「鋳鉄は削りやすいから、逆に加工速度を上げるのは難しい。アルミナ層を従来の1・7倍にするなど徹底した倍速を追求した」。もうひとつ気を付けたのはバランスだ。「『倍速加工』=摩耗しないイメージがあるかもしれないが、使い勝手も重要」という。だから「耐摩耗性に加え、耐欠損性を両立させる工具としてのバランスを重視した」。

 これだけこだわった「T515」もすでに次のステージに移る。今回の技術を応用し、ミーリング工具へも採用される予定だという。自身も「新たな開発に挑戦したい」と未来に目を向ける。

 佐藤氏はタンガロイがIMCグループに参画してイスラエル本社に出向した初めての技術者。当初は「外国人技術者の発想の違いに驚いた」。それでも、3年後の帰国前には様々な部署から引き留められていたそう。今後については「製品もCVDも進化し続けている。それに負けないように、エンドレスに新しいことにトライする技術者でいたい」。

日本産機新聞 平成28年(2016年)9月5日号

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