2020年10月27日(火)

エクセディ 小島 義弘氏に聞く

ユーザーを〝とりこ〟にする技術

「トルコン」854万台(13年度)

小島取締役生産技術本部長様(正面)

 自動車の重要部品、 オートマチックトランスミッション (以下AT) のトルクコンバータ (以下、 トルコン) や、 マニュアルトランスミッション (同MT) のマニュアルクラッチなどを生産するエクセディ本社、 寝屋川工場は、 2直体制の超多忙の中にあった。

 高精度・耐久性に優れ、 コストに抜群の競争力を持つ同社製を採用する自動車メーカー、 ユニットメーカーは現在、 日本の四輪車12社のすべてと主要ユニットメーカー、 さらに海外の四輪車メーカーもとりこにしている。 そのシェアは、 世界のトルコン生産の24% (同社調べ)、 クラッチ生産の11% (同) を占めている。

 本社・寝屋川をマザー工場に、 国内11工場と海外18工場でグローバル化を推し進める同社の近況を取締役執行役員生産技術本部長小島義弘氏に聞いた (9月10日、 本社新本館で。 関連記事は工場訪問をご参考下さい)。

―HPを拝見すると、 猛烈に仕事をする一方でスポーツなどを奨励しています。 楽しそうですね。
  「社員の皆さんが、 働いて良かったと思える会社づくりを目指しているところです。 具体的には、 2010年の会社設立60周年を記念し、 翌年度スタートの中期経営計画に 『I LOVE EXEDY』 をスローガンに掲げ、 仕事、 スポーツ、 研修にも励んでもらう文武両道の会社づくりを進めています。

例えば、 なでしこリーグで活躍する女子サッカーチーム 『伊賀FCくノ一』 (28人中25人が社員) のスポンサーになる女性レーシングドライバー、 女子卓球部の応援をするにも挑戦するなどいろいろやっています。 他にも夏祭り、 新本館の完成時には見学ツアーを開催するなど、 社員と家族が参加する取り組みを多く行っています。 一方で、 次世代人材を育てる教育にも力を入れ、 頑張る社員の応援をしています。」

―一体感を感じます。
  「現在、 エクセディとそのグループ会社は、 世界23カ国41社 (国内12社、 海外29社) にのぼります。 社員数は1万7千人強、 多国籍化が進み、 外国人の比率は今、 66%を占めています。 このため、 コーポレートカラーを統一し、 工場の外壁やユニフォームを変えることもしています。 上が白、 下が青のツートンカラーは、 世界も日本も同じカラーで、 初対面の人でも毎日見ている色ですから、 すぐに親しみが湧き仲間意識が持てる、 と好評です。」

―2013年度にスタートした中期経営計画は、 最終年度の15年度に連結売上高で2500億円を見込んでいます。 大変ですね、 ものづくり現場は。
  「IT化と3D化を同時進行させ、 ものづくりのスピードを高めています。 また、 『世界に勝つ原価』 の実現に向け、 基幹システムを刷新し、 情報の共有化を図っています。 例えば、 資材や部品の調達はどこが世界一安く、 高品質なものが得られるか、 世界のどの工場で作れば最も速く、 安く作れるかなど、 瞬時に判断できる 『観える化』 を進めています。

これはわが社に限らず世界の製造業の皆さんが考えていることですが、 我々は日本のお客様が現地に出て、 ゆくゆくは欧米の巨大な部品メーカーから見積りを取る時代も来るでしょうから、 それを上回る仕組み、 『観える化』 を始めました。 一方で、 これはMTの先進国、 欧州メーカー市場で勝ちを取る改革でもあります。」

マザー工場、寝屋川を改革中

―グローバル化を進める中で、 寝屋川本社工場の役割は。
  「製品設計から開発、 成形、 納品までをスピーディに進めるベース拠点であり、 中国・タイ・メキシコ・インド・ロシアなどで生産するトルコン、 クラッチのマザー工場役を担っています。

これは、 日本から海外に進出したお客様、 または海外のお客様から、 日本のエクセディでプロデュースする製品と同じ品質のものを、 現地コストで求められますので、 本社で基礎をつくり、 世界に技術移転するルネサンス (製造技術革新) を標榜しています。 それには社員教育も欠かせません。 また、 生産設備 (工作機械、 鍛圧機械など) の選定、 調達も当初は本社で行い、 海外に展開する役割も担っています。」

―自動車メーカー、 ユニットメーカーさんの要求に応えるのは大変ですね。
  「実はそこが重要です。 我々は各自動車メーカー様、 各ユニットメーカー様の要求する大きさ (コンパクト化)、 重さ (軽量化)、 機能 (低燃費化) など 『種類の問題』 や多品種で大量・少量・変量の 『量の問題』、 さらにそれらを全て 『デリバリー』 する、 非常に厳しい条件でものづくりをしていますから、 常に手が抜けません。

特に近年のトルコンは、 外見は変わりませんが、 部品点数は増える、 複雑な形状になる、 そこへ情報がくっつくため、 生産現場はいつも変化の連続です。 IT化と3D化でものづくりを改革する作業を進めています。」

―具体的には。
 「情報には長期、 中期、 短期があります。 ものづくりは途中で変更があるわけですから、 絶えず見直しをしながら進めることが肝心です。 始めはいろんな情報がくっついていて、 効果的に全体をマネージングして行くことが必要です。 システム基幹系を変えたのは、 リアルタイムで出来高・在庫を表示させ、 すぐに対策する。 それをITの力を借りて進めることを目的としています。

最終的には開発から製造までを一気通貫で生産する構想の具現化をしています。 例えば、 これまでの設計は、 構想→詳細→金型の順でお客様と一つひとつすり合わせし、 金型を製作してきました。 これを3D設計に置き換えることで、 従来金型の1面を作るのに約30時間掛かっていた設計作業が1、 2時間に短縮することができました。」
 
―3Dプリンターの導入は。
 「2年半前です。 また、 昨年末より、 3Dで金型設計を行っています。 3Dで設計し、 3Dプリンターでものを起こす、 それを見て生産検討に入る作業を日常茶飯事に行っています。 昔は、 図面を書き、 4つぐらい試作し、 上手く行かなかったところはフィードバックする。 それが今は、 試作レスまでは至っていませんが、 近いところまできました。 試作前に作りにくいところを潰しておく必要があります。

特に、 3Dプリンターは、 これまで設計図面で打ち合わせをしていた作業が形になるわけですから判り易くなり、 お客様に好評です。 これにより、 試作→試作修正→ファインブランキング工程が削減され、 一気に開発期間を短縮することが叶いました。」

  (猛スピードで進むグローバル化に 『I LOVE EXEDY』 を掲げ、 人材育成と同時にものづくりを 「観える化」 し、 果敢に挑戦されているエクセディさんの強さの一端をお聞かせいただき有難うございました。 特に欧米のAT、 MTの巨大企業や自動車のユニットメーカーと厳しい戦いをされ、 それでも他社が入り込めない高精度で高品質、 コスト競争力を持つ緻密なものづくりを進めているところは参考になることが多くあります。 本社・寝屋川工場の訪問記と合わせお読みください)。

プロフィール
 1985年4月日産自動車入社、2001年10月ジャトコ入社、09年4月同社試作部長、11年4月エクセディ入社、12年4月同社執行役員(現在に至る)、生産技術本部長(現在に至る)、13年6月 取締役(現在に至る)。

日本産機新聞 平成26年(2014年)9月25日号

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