2021年9月28日(火)

〝日本丸〟船出加速!

受注、リーマン前の水準

コスト競争力を改善

進水式1_R
▲進水式(常石造船)
グラフ1_R グラフ2_R
▲左:グラフ1 世界主要造船国受注量(千総トン) 右:グラフ2 世界主要造船国別手持工事量(千総トン) ―日本造船工業会

 日本の造船産業に明るさが戻ってきた。造船各社の生産現場はどこも確実に忙しくなっている。日本造船工業会によると、2014年6月末現在の受注は、今年1月から6月までの半年間で1188万総トンと、昨年同期比97%増となり、リーマンショック前の水準まで回復した。また、手持工事量は、前年の1年間分の24.2%増。968隻、3240.2万総トンを懐にし、来年の仕事量を確保している。今回、造船産業特集の取材を申し込んだ3社でも、新聞社、出版社、テレビ局などの取材攻勢を受け「お断りしている」と、うれしい悲鳴の声が聞こえ、生産現場の稼働が上向いている裏付けともなった。ちなみに、2~3面にご紹介するツネイシホールディングス傘下の常石造船、常石鉄工(広島県福山市)も、超多忙の中を割いて工場をご案内いただき、加工待ちの大型部品や出荷前の部品の生産現場は、足の踏み場もない状況にあった。日本の造船産業の現況を取り上げた。

14年は1435隻、世界3位

 回復の背景は、石炭や原油、鉄鉱石、天然ガス、羊毛、綿花、大豆などエネルギー資源のほぼ全量を海外に依存しているわが国の輸送量の増大やアメリカ経済の回復など世界的に貿易量が増大しており、コスト競争力と高機能を備えた安全・安心のできる日本の造船に人気が集まっていることがあげられる。もちろん、たゆまぬユーザーニーズを取り込んだ技術開発と営業努力が大きいことは言うまでもない。
 先ず、世界の主要造船国別受注量(日本造船工業会、グラフ1)を見ると、2014年(1‐6月)は、1435隻、4973万総トンで、7‐12月の統計が出ていないが、「おそらく前年を上回る受注状況」にある。実現すれば、08年以降最大の受注量となり、世界の貿易量の増大を予測できる。
 国別のシェアは、中国・韓国・日本の3か国が、全体の約93%を占めている。うち日本の受注量は、23.9%の3位にあるが、半年間の受注は前年1年間の86%を占める勢いにある。一方で、中国(40.2%)、韓国(28.8%)は伸びが止まっている。「日本丸」の高度な技術ときめ細かなニーズの取り込み、安全・安心技術が再認識され始めている。
 また、世界主要造船国別手持工事量(同、グラフ2)は、2014年(1‐6月)の半年間で、前年1年分の手持工事量を既に9.9%増の2億109万総トンと上回った。
 うち日本は、同24.2%増の3340.2万総トン(隻数968隻)で、中国8149.2万総トン(2457隻)、韓国6385.8万総トン(940隻)に続き第3位を占めた。
 ただし、耳を傾けなければいけない、発言もある。日本造船工業会佃和夫会長(三菱重工業相談役、会員17社)は、今年6月、会長在任1年間を振り返って「市況回復、成長の局面に入ったと警官感を解くには、時期尚早」と、所感を示した。浮かれてはならない、と手綱を引き締めた。

 日本船主協会(朝倉次郎会長、川崎汽船社長、会員110社)の2014年10月発行「世界の商船建造量と竣工予定」は、2014年から2016年の建造見通しについて次のようにまとめている。

世界の造船需要上向き

資源、食糧の海運増加が背景

 2014年(竣工予定)は、前年比111.0%増の7825万総トンで、2015年は前年比0.6%増の7871万総トンと、リーマンショック後では13年を底(7048万総トン)に上向き傾向にある。
うち、2014年の日本の竣工(予定)は17.0%の約1330万総トン、15年は16.2%の約1275万総トン、16年は10.6%の約598万総トンとなっている。造船各社の忙しさはここにある。
 ちなみに、約20年前の1995年の3カ国の建造量は、2260万総トンで、うち日本が41.2%、韓国が27.5%、中国が16.1%の順。日本丸が断トツの強さだった。
 現在は、抜群の技術力で環境負荷が少なく経済的でエネルギー効率の高い船舶の開発で他国を引き離す。
 その一方、海洋資源・海洋再生エネルギーなどへの進出、IMOなどの国際的な規制に対する戦略的な対応においても加速を高めている。日本の造船復活に期待が増している。


日本造船工業会の会員企業
 IHI、今治造船、大島造船所、尾道造船、川崎重工業、佐世保重工業、サノヤス造船、ジャパン マリンユナイテッド、新来島どつく、新来島豊橋造船、住友重機械工業、常石造船、内海造船、名村造船所、函館どつく、三井造船、三菱重工業の17社。

日本産機新聞 平成26年(2014年)12月15日号

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