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航空機向け工具に力
ベッセル 第一営業部 青木智広副部長に聞く
握り易く、正確に穴あけ
潜在ニーズ探り需要開拓
ベッセルが航空機の機体や翼を加工する工具に力を入れている。一昨年に専用のエアー工具(写真)を開発し、今年は米国メーカーと提携しラインアップを増やした。成長市場として注目される航空機市場をどのように開拓するのか。航空機向け工具の販売を統括する青木智広副部長に聞いた。
航空機向け工具に力を入れ始めたのは2016年。ある大手部品メーカーから穴あけ用工具の製作依頼を受けたのがきっかけです。それまでは海外の工具を使っていたが、補修やメンテナンスに時間がかかり困っていたようです。
開発にあたり要望を聞くと、潜在する課題が浮かんできました。機体や翼の加工では無数の穴を空け、曲面や作業空間が限られ加工しにくいことが多い。しかも限られた時間の中で効率良く、正確に作業していかなければなりません。
そこで、そうしたニーズに応えるエアー工具2機種を開発しました。エアードリルはグリップに丸みを持たせ、握り易く操作し易くしました。エアーコーナードリルはヘッドを小型・軽量にして狭い場所でも作業し易くしました。
どちらも現場の技術者から高い評価を頂き、採用されました。さらにはほかの航空機部品メーカーからも受注し、着実に販売を伸ばしています。
ただ、機体や翼の加工は、面取りやファスニングなど多岐にわたる。そこで今年5月、米国の航空機向け工具メーカーのゼファー社、ロッキーマウンテンツイスト社と日本国内での販売代理店契約を結びました。
2社はスネークドリルやアングルドリル、カウンターシンク、ファスナーとその締付工具などを手掛けています。業務提携により、機体や翼の組み立て工程における加工技術を、総合的に提案できるようになりました。
航空機産業の市場開拓のカギは、技術者にいかに工具の性能を理解してもらうか。そして現場のニーズを探っていかに新商品を開発していくか、だと思っています。
航空機関連の企業はコストにシビアですが、優れた性能の工具にはとても興味を示してくれる。自社と米国2社の商品の提案活動を展開しつつ、ニーズに応じて既存の商品を改良し、また新たな工具も開発していきたい。
航空機向け工具への参入はほぼ初めてで、自動車や半導体向けの販売額に比べると劣ります。しかし提案活動と商品開発の両輪で伸びるとみています。自社製品と米国2社の商品で3年後にも1億5千万円に伸ばす計画です。
日本産機新聞 平成30年(2018年)12月20日号
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