2018年10月20日(土)

得意淡然・不易流行
AI、IoTの活用時代来る

揮毫 小池達夫氏和顔愛語
(わげんあいご・わがんあいご)
 温和な顔つきと、穏やかで思いやりのある話し振りを指す語。

 揮毫は小池達夫氏
 (東京都機械工具商業協同組合理事長、平和テクニカ社長)

 欧米をはじめとする先進各国の経済は、堅調に発展し、巨大市場の中国も政府の経済政策の効果で再び成長を始めた。また、東南アジアも一時期の低迷を脱し、インドや南米が急激な成長を続けている。北朝鮮の核開発問題や中東などの地政学的リスクはあるものの、概ね拡大基調で推移した。

 日本はというと、やはり海外経済の回復などを背景に、生産や輸出が好調に推移し、個人消費もゆるやかに回復した。工作機械受注額(日本工作機械工業会)は、年初の予想を上回る好調さで、10年ぶりに過去最高の「1兆6000億円台に乗せた」とみられる。切削工具、工作機器、測定機器その他機械工具関連製品も順調に推移し、品不足が発生している。

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活況続く工作機械、年間受注額は過去最高に迫る勢い

 今年も地政学的リスクや政治的リスクなど、何かひとつのできごとで急変する可能性はあるものの、昨年と同等レベルの受注環境が見込まれる。だが「得意淡然」。現状に慢心せずに危機感を失わずに冷静に舵取りをしたい。

 トレンドをみると、昨年最大の工作機械見本市であるメカトロテックジャパンではAIやIoT、自動化などが各社から提案された。東京モーターショー2017では、自動運転が注目された。

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工場内で部品を運ぶ無人搬送車(AGV)。自動車部品などの工場で活躍

 一方で“労働人口の減少”や“働き方改革”が課題となっている。機械や周辺機器の各メーカーは、AIやIoTによりビッグデータの活用をさらに進化させている。「つなぐ」ことによる生産性や安全性の向上、ロボット活用などによる自動化、さらに自動車の自動運転といったダイナミックな変革は、機械工具業界にとって大きなビジネスチャンスとなっている。

 この分野は、機械工具商や中小製造業としてはどちらかというと不得手かもしれない。しかし、製造業者の困り事や課題を解決することが機械工具商の使命であるならば、好奇心を持ち、積極的に事業活動に取り入れ中小製造業をサポートすることが、両者が生き残っていく道ではないだろうか。これによって日本の労働生産性向上につながれば申し分ない。

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ものづくりの現場で導入が進むロボット、人と一緒に働ける協働型も登場

 AIやIoTは、機械や機器メーカーもいかに活用して付加価値を高めるかということを模索しながら進化させようとしており、製造現場に近い機械工具商の知恵を活かせる場面と考える。ロボットの活用ならば、まず自分たちがロボットを使えるようになることも大事なことのように思う。既に昨年、機械工具商も参加しながら一部で動き出している。

 我々を取り巻く環境はものすごいスピードで変化しており、ITの進化はそれをさらに加速させている。変わるときこそビジネスチャンス。ダイナミックに変革してスピード感を持ってチャレンジしたい。遅れると何もしなかったことと同じになってしまう。新たなステージでの競争が始まったといえる。

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航空機や発電機向けの難削材加工工具の需要が増えている

 しかし、変えてはいけない部分もある。「不易流行」だ。昨年相次いで発覚したデータ改ざんは、コツコツと積み重ねてきた現場の改善活動を無に帰すような残念な不祥事だった。日本の製造業は「信頼性」が売りだったはずなのに…。時代の要求を敏感に捉えてスピード感を持って変化しなければいけないが、ある社長は「たとえば経営理念まで変えてしまうと社員もオタオタしてしまうだろう」と。機械工具商として自分たちの役割を再確認し、愚直に根を深く伸ばし、枝を拡げ、伸ばしていきたい。2018年はそれができる絶好のチャンスではないだろうか。

日本産機新聞 平成30年(2018年)1月5日号

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