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乗り越える力を鍛える
成功への道を考える/失敗も重要
プロ野球で名将と言われた故野村克也監督の弁として有名になったが、昔から「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言われる。負け(失敗)には負けたなりの理由と原因があり、それを見なおし、反省することが勝ち(成功)への近道ということでもあるのだろう。
だが、ある販売店の営業部長は自身の経験から、失敗には学び以上に重要なことがあるという。若いころ、会社に大打撃を与える失敗を経験した。当時、ITバブル崩壊後で景気は最悪。営業として頭角を現していたが故に、売上を上げなければと焦りも感じていた。
そんな中で、舞い込んだ大型物件。同業他社もこぞって、そのユーザーに日参し、受注を競う毎日。深夜に納品に行ったこともある。その努力の甲斐もあって、大型の受注に成功した。
しかし数か月後、そのユーザーは経営破綻。負債額は億単位に上った。後日「計画的な倒産だったらしい」と分かったが、「当時の自分は気づけなかった」。「財務状況はもちろん、なぜこの時期に大量の発注をしたのか詳しく調べるべきだった」。
それより今も覚えているのが「その後」だ。マイナスを埋めるために、それまで以上に奔走した。上司や同僚、部下と協力し、休眠ユーザーのリストを作成し、徹底して訪問。倒産劇もネタにしながら、顧客を回った。その時の顧客が現在の主力にも成長したという。「何とか乗り越えたという自信がついた」。
「失敗は誰でもするし、学ぶことは多い。それ以上に大事なのは失敗をカバーし、より大きな成果を生み出すために考え、工夫や努力をすること。失敗がなければ壁を乗り越えたという自信もつかないし、成功体験もない」。
失敗でへこむことや、悩むことも多い。反省や失敗の原因を考え、成功への道を考えることは重要。失敗がないとそれを乗り越えるための経験もできない。失敗も前向きにとらえたい。
日本産機新聞2025年9月20日号
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