2025年12月22日(月)

タンガロイ 開発者に聞く

工具を褒められることに喜び

阿曽 孝洋氏(切削工具開発部 転削工具開発グループ)

 タンガロイは昨春から倍速切削のコンセプトを掲げ「TUNGFORCE」の拡販キャンペーンを実施してきた。その中でも、よく売れた一つが日本機械工具工業会の技術功績賞を受賞した直角肩削りカッタ「タング・トライ」だ。昨秋のJIMTOF2016でも注目を集めた。開発担当の阿曽孝洋氏に強みや製品に込めた思いなどを聞いた。

タング・トライを開発

逃げ面工夫し倍速切削

阿曽孝洋氏
 2011年タンガロイ入社。学生時代はメカトロニクスの研究に従事。27歳。
―「タング・トライ」の特長は。
 「経済性を重視した3コーナインサートと、耐ビビりを実現し、高精度な直角肩削りができること。ビビりを抑え、加工条件を上げられるので、お客様から『削れる』と評価を頂けたのだと思う。また、TUNGFORCEのコンセプトの倍速切削を実際に体感できる製品の一つだと思う」。

―評価を得たのはどの部分でしょう。
 「切れ刃や不等ピッチ形状など様々あるが、特にビビりを抑えるためにインサートの逃げ面に工夫を凝らした。逃げ面を4段で構成するなど新しい形状を採用し、既存の製品の倍以上の加工条件を設定できるところが評価されたと思う」。

―開発で苦労したことは。
 「三角形のインサートでは精度の高いクランプが難しいなど問題点も多かった。そこで何度も形状変更したり、解析をかけたり時間がかかった」。

―うれしかったことは。
 「タング・トライに限らず、『いい工具だね』とほめられることが何よりうれしい。自信作が売れるとは限らないが、売れている製品は必ず良い製品だと思う。つまり『売れた』という結果は、工具をほめられたことと同じなので、何よりうれしかった」。

―今後どんな工具を作りたいか。
 「例えば『航空機部品加工ならタンガロイだ』とブランドイメージを構築できるような常識を覆す突き抜けた製品を作りたいですね」。

日本産機新聞 平成29年(2017年)1月15日号

[ インタビュー ][ メーカー ][ 日本産機新聞 ] カテゴリの関連記事

経済産業省  航空機武器産業課 航空機部品・素材産業室  西山  正室長に聞く【特集:航空機産業-アジアの需要を掴む-】

供給網の強靭化、重要性高まる 経済産業省は2024年4月に「航空機産業戦略」を策定し、今後の方向性を打ち出した。成長のカギの一つとして挙げるのが、サプライチェーン(供給網)の強靭化。安定供給を実現するため、国内に加え、海 […]

航空機部品メーカー・オオナガの取り組み【特集:航空機産業-アジアの需要を掴む-】

ベトナムの格安航空会社(LCC)がボーイングに200機を発注するなど航空機の需要が急拡大しているベトナム。旺盛な航空機の需要増に合わせ、欧米の航空機や部品メーカーが現地でのサプライヤー開拓を進めている。ベトナムで航空機部 […]

航空機産業を支える注目7社の生産財【特集:航空機産業-アジアの需要を掴む-】

アジアでは新興国の人口増加や経済成長、インフラ需要などに伴い、航空機産業は今後さらなる伸びが期待されている。政府もこうした需要拡大を見込み、アジアでの航空機産業へのサプライチェ—ン参画を強化するため、補助金や官民連携など […]

トピックス

関連サイト