2025年10月29日(水)

全機工連 第45回全国大会・東京大会 開催に向けて

「激動の時代を乗り越える‼~掴め世界のトレンド~」—。全日本機械工具商連合会(全機工連)は今回の大会テーマをそう設定した。自動車業界に代表されるものづくりの変化や、ネット通販による購買行動の変化など、機械工具業界を取り巻く環境は大きく変化している。業界として、こうした潮流をどう掴み、どう取り組んでいくべきか。全機工連の坂井俊司会長と、幹事組合であり東京都機械工具商組合の山田雅英理事長に、環境の変化や激動の時代をどう乗り越えるなどを聞いた。

全日本機械工具商連合会 坂井  俊司会長(NaITO社長)

デジタル活用、スキルアップ必要/ユーザーに欠かせない存在に

今回の大会テーマには「激動の時代」と掲げていますが、機械工具業界において大きな変化が2点あると考えています。

一つはものづくりの変化です。代表的な例として自動車業界が挙げられます。電動化の流れは今後さらに加速することが予想され、エンジン関連をはじめとする部品点数の減少により、機械加工を主軸とする我々の業界にとっては、決して小さくない影響が生じると考えられます。

もう一つは商売の在り方の変化です。これまで機械工具業界では、注文をいただき、必要な商品を配達することが当たり前でした。しかしながら、人手不足により配達が困難になる可能性があり、加えて、商品配送の機能をネット通販が担う場面も増えてきています。中には、副資材を一括で受注する動きも見られ、我々の商売の領域が徐々に狭まっている現状を認めざるを得ません。

こうした変化にどう対応し、乗り越えていくべきか。まずはデジタル技術による業務の効率化が不可欠です。生成AIなどを活用することで、経理業務や管理工数の削減が可能となります。会議の議事録作成や営業戦略の立案支援など、幅広い活用が期待されます。

こうして得た知見は社内での活用にとどまらず、製品やサービスとして、お客様に提案していくことも重要です。これはデジタルに限った話ではなく、単なる「もの売り」ではなく、お客様の課題を解決する手段を提供する存在へと進化することを意味します。

そのためにはスキルアップが欠かせません。「ユーザーの現場に入りづらくなってきた」という声も聞かれますが、であれば「入れるようにすればよい」のです。目指す方向は各社で異なるかもしれませんが、メーカー代行が可能なスキルや、ユーザーの生産技術・自動化を支援できる機能を備えることで、現場へのアクセスも可能となります。

ユーザーもメーカーも人手不足に直面しています。メーカーに近いスキルを持ち、ユーザーの人手不足という課題に対応できる能力があれば、人手不足は危機ではなく、むしろ好機となり得ます。そして、ユーザーにとって「必要な存在」となることも可能です。

一方、全機工連としての大きな課題は会員数の減少です。しかし、前向きに捉えれば、組織としてのまとまりが生まれやすくなっているとも言えます。激動の時代だからこそ、これまで以上に業界が一丸となる必要があると考えます。

今回の全国大会が、会員の皆様はもとより、賛助会員の皆様ともつながりを深める良い機会となることを願っています。

東京都機械工具商業協同組合 山田  雅英理事長(山田マシンツール社長)

変化の波高く、大きく/激動の時代に挑む一助に

東京都機械工具商業協同組合がホストを務め、第45回全日本機械工具商連合会全国大会が開催できますこと、誠に有難く厚くお礼申し上げます。東機工も組合員が減じていますが、千葉・さいたま・川口・東京西部・神奈川の各組合の方々の協力には大いに助けられ、ここ至りました。改めてお礼申し上げます。

個人的に思いが深いのは、前回9年前の東京大会で、実行委員長を務めさせていただいたことです。あの頃と比較すると、我々を取り巻く環境は表現し難いほどのダイナミックな変化を遂げています。9年前当時、明確ではありませんでしたが、漠然と大きな変化の予兆を感じており、大会のテーマには座して衰亡を待つよりもという思いで「挑戦する勇気」を掲げたことが思い起こされます。どれだけの挑戦を為すことができたのかは、自問自答するところですが、本日参加の皆様は、歯を食いしばって勇気を奮い、時代に適合する進化を実現されたからこそ、今日がお有りだと確信する次第です。

我々を取り巻く変化はさらに加速化し、その波もますます高く大きくなっていると感じています。本大会のテーマはそれを象徴し「激動の時代を乗り越える‼~掴め!世界のトレンド~」と掲げています。

前回の東京大会は世界がワンマーケット化するグローバリズムの最中の開催でした。そして今はその反動の揺り返しの中にあると思います。その激動の時代を我々は確固たる意志で乗り越えなければなりません。激動の背景には、反グローバリズムと呼べるような世界情勢があります。グローバリズムは人・モノ・カネのボーダレス化に加え、脱炭素・ダイバシティー・ジェンダー平
等などの動きがあります。

これらが反動によって、変化していくのか、さらに生成AIがもたらすドラスティックな社会変革、ライスワークバランスというワードで示される人々の労働に対する価値観の変化と合わせ、激動が具体的にどのようなものかを予測するのは至難の業です。

本大会は第一部の式典に続き、第二部にブロードリーフの大岡明氏による「生成AIがもたらす革新」についての講演、第三部では、元日産自動車社長で国内外の製造業の事情に詳しい西川廣人氏による「日本のモノづくりへの期待」の講演があります。二つの講演が激動の時代に臨む皆様にとっての一助となることを願って止みません。

懇親会では、全国の機械工具商の仲間に賛助会員様に交わっていただき、闊達で貴重な交流の場となることを期待しています。

日本産機新聞2025年10月20日号

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