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エバオン、サンコーインダストリー、トラスコ中山の取り組みに迫る【特集:商社の物流戦略】
物流強化に動く卸商社
卸商社の機能として昔から言われる「人・モノ・金・情報」。中でも、近年は「モノ」である物流機能の強化に動く卸商社が増えている。
背景の一つには顕在化してきた「物流2024年問題」がある。いまや配送業者による配送費用の値上げは当たり前。また、配送コストの値上がりに伴い、少量の発注ロットでは無料だった配送料を請求するメーカーも出始めている。
コストアップだけが問題ではない。集荷時間が早くなったり、予定通りの納期で届けづらくなったり、販売店でも配達担当者を確保しづらくなったり、サプライチェーン全体での物流サービスの低下が懸念され始めている。
ある販売店の経営者は「供給が遅れる可能性がある商社には発注を控えざる得ない」と話す。別の販売店では「これまで在庫を減らしてきたが、(物流サービスが低下すれば)、強みの即納ができない可能性もある。顧客と相談して、在庫の種類を積み増している」という。
エバオン「早く正確に多様なニーズに応え」
伝導機器商社のエバオンが物流の改革に取り組んでいる。物流拠点それぞれの役割を見直し、効率良く機能的に活動できる体制に再構築する。それにより、早く、正確に、多様なニーズに柔軟に対応し商品を届けられるようにする。
物流拠点は本社、東大阪、昨年新設したフラッグシップ拠点・関西PDCの3つ。これまでは本社と東大阪に流通向けと直需、自社ブランド「EVN」の在庫が混在していたが本社と東大阪を直需、関西PDCを流通向けとEVNに整理した。

関西PDCは倉庫管理システムを導入し作業者の経験値に関わらず効率良く正確に商品を出荷できる仕組みを構築。EVN製品の塗装や検査、流通加工も一貫してできるようにした。一方、本社と東大阪は直需向けの出荷に専念できるようにした。

目的は、卸先の販売店には早く正確に、ユーザーには調達ニーズに対応し、商品を届けられるようにすること。従来の販売ルートの異なる商品が2拠点に混在する体制では、入出荷の作業効率や精度が上がりにくく、スペースも余裕がなくなっていた。
それを再構築することで、「納品までの時間や正確性を改善し、卸先からの信頼を高めたい。商品の小分けや、QRコード付き伝票の添付に対応し、多様化するユーザーの調達ニーズに応えていく」(商品管理部・市川幸博部長)。
改革が将来目指すのは時代のニーズに対応する物流だ。「例えば、ユーザーそれぞれに製品の組立パーツをパッケージにして供給する。調達工程を簡素化することでコストダウンを支援する。物流が一つの強みになるようにしたい」(市川部長)。
サンコーインダストリー「新倉庫で出荷場の効率化」
ねじ卸のサンコーインダストリーが注力するのは、パレットの滞留などが常態化していた出荷場の効率化だ。在庫アイテムを増やすほか、ドライバーの手間を減らすなど配送の無駄削減に繋げる。
出荷場には、集荷前のパレットが積み上がり「物流センターの3分の1ほどを占め、無駄なスペースを取っていた」(奥山淑英社長)。また、出荷場でドライバーの待機時間が長くなるといった問題も発生していた。

今年、東大阪市内に移転新設する倉庫では、パレットのスペースを削減するため、高速入出庫が可能な自動倉庫システム「ロータリーラック」を2基導入。「平積みパレットをロータリーラック内に縦に積み上げるイメージ」だ。
そのほかにも、自動出荷レーンを15台設けるなど約20億円費やした。これらの投資により出荷場のスペースを削減することで、「約1000パレット分の在庫を増やせる」という。

ドライバーの集荷に合わせタイムリーに出荷できる仕組みにも取り組む。大量の商品を発送する企業では、朝の段階で出荷個数が不明なまま集荷手配されるのが一般的。「個数が分からないため、送り状の管理や配車作業が運送会社の手間になっている」(奥山社長)。
それらを解消すべく、受注予測を行う数理モデルというデジタル技術を活用し、当日朝にその日の出荷数を知らせるシステム構築を進める。また出荷作業でも「受注後すぐにではなく、次工程の準備ができてから商品を動かすという物流のジャストインタイムを進めている」と話す。こうした取り組みを強化し、現在27万アイテムの在庫を、中長期では30万アイテムに引き上げる考えだ。
トラスコ中山「ニアワセ+ユーチョク支えるインフラ」
ユーザーに商品を直送する「ユーチョク」や、一つの梱包に多くの商品を詰め合わせる「ニアワセ」を強化するトラスコ中山。2024年は個数で625万個、売上高では372億円と前年比で3割近く拡大している。これを支えているのが積極的な物流投資だ。
その一つが1時間に720個の出荷能力を持つ高速自動梱包出荷ライン「I-Pack」。昨年は千葉県の物流拠点にも導入し、全国で7ラインを持つ。一時間に最大600個の自動梱包ができる「BOS-Line」も増強。大阪の拠点に導入したほか、今年は九州に2ライン新設する。

これだけの出荷も在庫があって初めて可能になる。新規商材の開拓や在庫の拡充も並行して進めている。昨年は埼玉にテント倉庫を稼働させるなど、全社で在庫アイテムを1・8万点追加。24年の在庫は61万点超で、金額は553億円にも上る。
これらの投資は全て即納という顧客の利便性のためだ。物流企画部の半田尚也部長は「便利だからまとめて注文しておこう」という注文の集約化につながっているという。また、ユーザー直送は「販売店様で梱包や作業の手間が不要になり、中間配送が減るので環境負荷低減につながる」。
26年には最大の物流拠点「プラネット愛知」が稼働する。100万アイテムの在庫を可能にするほか、「I-Pack」を4ライン導入するなど、在庫、出荷能力も各段に向上する。「当社はどんなチカラを持った企業になるべきかという『能力目標』を掲げているが、その一つが30年の在庫100万アイテム。今後もお客様の利便性向上に向けて必要な投資を継続していく」(半田部長)。

日本産機新聞 2025年5月5日号
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