2025年3月24日(月)

北出金作商店 『ありがとう』を返せる企業へ【京都特集】

めんどくさいことも喜んで

「人が生き生きと働き、明るく楽しい職場で、会社を好きになってもらいたい」と話すのは北出金作商店の北出幸裕社長。2019年に社長就任し、『ありがとうを、いきる』を経営理念に、社内改革に取り組むと同時に、新たな価値創りを進める。

「先代の父が亡くなり、戻って来た時は昭和のままだった」と北出社長。社員の高齢化も進んでいた時で、職場環境の改善や自社の魅力、根幹となる理念など次世代に残す改革の必要性を感じる。「創業者が加賀出身の農家にルーツを持っており、めんどくさいことも我慢強く、喜んでやることが当社の魅力、価値と思った。父も『人がやらないことに価値がある』と言っていた」と、初心に戻る意味で始めたのが農業。農地を借りて社員と米作りに励む。「米作りもものづくり。大変な作業だが、体験することで会社として大切にしていることを根付かせ、社員同士の関係構築にも結び付いている」と社風の醸成を図る。

さらに一昨年の創業75周年を機に会社ロゴや社内レイアウトを刷新。「プロジェクトを立ち上げ、社員で家具やレイアウトを決めた」と北出社長。広々としたオフィス空間やフリーアドレス化を図り、固定席を設けず、闊達なコミュニケーションを図れる場を構築した。

採用活動では社員の友人などを積極的に採用。人と人とのつながりを大事にし、強い仲間意識や信頼関係のある職場環境へと変わり始める。

新たな価値創りも挑戦。従来の倉庫をリノベーションし、機械加工現場を立ち上げた。「ものづくりを学ぶ現場やニーズがあればユーザーの様々な加工課題にも応えたい」と考え、マシニングセンタや旋盤、フライス盤を導入し、機械オペレータも採用。今春には社内ベンチャーとしてカフェを常設予定で、新たな出会いやものづくりの魅力発信の場となる構想を掲げる。

北出幸裕社長

こうした新事業への取り組みを進めても、北出社長は「ありがとうと言われる商売を続けたい。お客様や周りの方々から昔に世話になったんやと今でも言われる。これが商売で、この思いを守りたい」と社員、仕入先、顧客、地域社会との共存共栄を図り、互いに支え合う中で『ありがとう』を返せる企業を目指す。

日本産機新聞 2025年2月5日

 

 

[ 企業紹介 ][ 日本産機新聞 ][ 特集 ] カテゴリの関連記事

三光機工 成果主義と現場裁量のバランス【京都特集】

顧客の役に立つ営業を 軸受・伝導機器から油空圧・制御・計測機器、省力機器までモノづくりに必要な機器を販売する三光機工(京都市南区)は2022年、手狭になりつつあった本社を移転。伸び伸びとした環境下で成果主義と現場裁量のバ […]

三共精機 柔軟な空間が生み出す創造性【京都特集】

グローバル視点で未来を拓く 三共精機(京都市南区)は多様性を尊重し、働きやすく人が集まる環境づくりを進めることで、創造性あふれる経営を目指している。 その一例が、社内レイアウトの刷新。オフィスにはバーカウンタ—を併設し、 […]

小林機械 中古機械の簡易審査リース開始

みずほリースと提携 小林機械(群馬県館林市、0276・74・4406)はこのほど、みずほリース(東京都港区)と提携し、簡易審査による中古機械のリースを開始した。動産総合保険を付与し、割賦販売にも対応する。現金での一括購入 […]

トピックス

関連サイト