2019年3月20日(水)

【治工具特集】ロボによる自動化進歩 IoTも視野に

高精度加工・工程短縮には不可欠

 工作機械で高精度に加工するには機械や刃物のみならず、治工具を活用する必要がある。旋削加工、マシンング加工、研削加工など、高精度な機械や刃物を使用しても、肝心のワークがブレたり、ズレたりすれば加工精度を出すことはできない。だからこそ、加工現場では―治工具を制すれば加工を制す―と言われる。高精度加工はもちろん、治工具による工程短縮も可能だ。近年は自動化ニーズを捉え、ロボットと組み合わせた技術開発も進んでいる。本特集では治工具に円テーブルも加えて活用の最新事例を紹介する。先日開かれたメカトロテックジャパン2017では各メーカーが開発中の製品も含め、多種多様な事例を披露した。

写真1
写真1 帝国チャック「PDLS-8」
 
写真2
写真2 エヌティーツール「ハイドロ・マンドレルチャック」

高精度・工程短縮に貢献
 旋盤加工などに使用されるチャックは、デザインチャックと呼ばれる顧客ニーズに合わせた特殊なチャックが増加している。自動車部品加工向けのデザインチャックを多数手掛ける帝国チャックは、内径・外径サイズの異なるワークの加工を1台の機械に集約できる引込式「PDLS-8」(写真1)を披露した。ロングストロークながら引込み式を採用することで密着性が良く、正確に把握し高精度加工ができる。エヌティーツールの「ハイドロ・マンドレルチャック」(写真2)は、精密加工から測定まで幅広い用途に対応し、独自の平行拡張構造で高精度に保持。レンチ1本で簡単にチャッキングできるほか、様々なサイズのチャックに対応できるマンドレル専用コレット方式で高い汎用性を発揮。

写真3
写真3 イマオコーポレーション「ワンタッチ着脱」
 
写真4
写真4 東亜精機工業 自動車用コンロッド部品の専用治具

 イマオコーポレーションは治具による段取り時間を大幅に短縮する製品群を紹介。ボルト代わりの締結部品「ワンタッチ着脱」(写真3)や、簡単・高精度に位置決めできる「フレックスロケーター」、効率的にワーク中心の位置出しができる「センタリングクランプ」などを訴求した。MSTコーポレーションのワーク交換治具「スマートグリップ」は5軸加工機やマシニングセンタ用のHSKを採用し、強力なクランプかつ素早い交換が可能で、自動交換システムを簡単に構築できる。バイスに比べクランプ部を最小限にし、工具の接近性が大幅に向上。東亜精機工業は自動車用コンロッド部品の専用治具(写真4)を紹介。3軸マシニングセンタにロータリーテーブルを付け、5軸仕様で高精度な穴加工から測定まで幅広く対応。

写真5
写真5 北川鉄工所「AJC(オートマチックジョーチェンジャー)」
 
写真6
写真6 豊和工業「AJCシステム(オートジョーチェンジ)」

次世代の自動化技術も
 ロボットを組み合わせた自動化技術も開発が進んでいる。その1例がロボットとチャックを組み合わせた「AJC」というシステムで、多品種少量生産の自動化が可能だ。北川鉄工所はチャックの爪だけを交換する「AJC(オートマチックジョーチェンジャー)」(写真5)を展示した。従来のチャックをそのまま置き換えることができ、ロボットにより爪の自動交換することができる。そのほか、ロボット用グリッパのクイック爪交換システムも2タイプ出展していた。豊和工業は「AJCシステム(オートジョーチェンジ)」(写真6)と呼ばれるチャックの爪をロボットで交換することで、爪交換の時間短縮、省人化・自動化を図る。爪交換時はガイドブロックを使用することで正確な交換ができるほか、8インチチャックにも対応し、小型旋盤に搭載でき、省スペースでの自動化も図れる。松本機械工業はロボットで爪を交換する「マルチオートジョーチャック」(写真7)を展示。10μmの復元精度で交換できる。チャック本体はそのままに、ワークの径に合わせた爪を用意するだけなのでコストを抑える。

写真7
写真7 松本機械工業「マルチオートジョーチャック」
 
写真8
写真8 ナベヤ「ネオ グリップ」

 また、ナベヤはバイスとロボットを組み合わせた多品種生産の自動化を提案。新製品の「ネオ グリップ」(写真8)はロボット搬送に対応した設計で、常にバイスの中心位置でクランプするため、プログラムの手間を省くなど自動化に対応する技術を見せた。

 ロボットだけが自動化ではない。回転センターの二村機器は、現在開発を進めている回転センターの防水機構を高める「ラビリンス機構」(写真9)を参考出品。クーラントを使用する加工が増えたことで防水対策が鍵を握る。防水機能を向上させることで、メンテナンス期間を大幅に延ばし、自動化の促進に貢献する。

写真9 二村機器「ラビリンス機構」
 
写真10
写真10 津田駒工業「RTT-126AA」

加工集約・IoTも
 円テーブルでは、津田駒工業が回転軸を毎分3000回転する「RTT-126AA」(写真10)を参考出展。既存のマシニングセンタで旋削加工から穴あけ、フライス加工が可能だ。日研工作所はCNCモニタリングシステムでロータリーテーブルの温度や振動、故障などの信号を取得する技術を参考出展。IoTにつながる次世代技術を披露した。

 治工具関係の技術は進歩している。顧客の要望に合わせたデザインチャックや専用治具、ロボットとの組み合わせに加え、今後はIoTなど次世代技術の対応も注目だ。

日本産機新聞 平成29年(2017年)12月5日号

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