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OMJCリレーインタビュー「トップセールスでどう結果を出す?」
コノエ 社長 河野 裕氏
前走者・昭和電機 柏木 健作氏からの質問
「トップセールスでどう結果を出す?」
トップしかできないことを
会社の威信をかけた事業を成功させるため、社長自ら取引先に熱く語る。テレビドラマで時おりそういうシーンを見かけます。現実の企業活動でもそれに似た場面があると思うのですが、実は今までトップセールスをしたことがないんです。
というより、やらないようにしてきました。当社は65年の歴史を持つネジの卸商社。能力が高く経験も豊富な販売のスペシャリストが揃っています。ですから「ネジを売る」ことは任せています。仕入れや店頭などでも手を出しません。
そもそも社長の仕事は、社長という立場でしかできないことをすることではないでしょうか。会社の方針を決めて実行し、未来を切り拓いていく。事業の発展や夢の実現への道を探すことだと思うんです。
その一つとして、社長に就任(2011年)し、レンチなど工具の販売に力を入れ始めました。今までも取り扱ってはいましたが事業の主力ではないため積極的に営業展開していなかった。改めて力を入れたのは、ネジ商社だからこそ独自の付加価値を生み出せるのでは、と思ったからです。
ネジを締めるには必ず工具が要る。けれどお客様(工具販売店)は別々の商社から仕入れている。この窓口を一つに集約できたらとても便利です。当社はネジの知識を持っているから最適な工具の提案もできる。おかげ様で注文が少しずつ増えています。
それと、社員の創造力や思考力を育むきっかけにしたいという思いもありました。当社はネジの卸販売で確固たるビジネスモデルを築いています。しかし安定し過ぎると人はときに新しいものを生もうとしなくなる。工具販売に挑戦することで考えたり工夫したりして欲しかったんです。
成果は社長交代の時
その一方で、ネジの新たな市場を創りたいとも思っています。いま取り組んでいるのは「にじいろのねじ」というプロジェクト。これは子どもたちにネジの大切さや魅力を伝え、日本のものづくりに興味を持ってもらうのが目的です。ネジでストラップを工作するワークショップを開いたり、ネジをテーマにした絵本も発刊しました。この活動を通じて日本の将来を担う子どもたちがネジに興味を持ち、ネジ業界の活性化につながれば、と願っています。
ただ、社長の仕事はこうした挑戦の果てに、良い経営状態で次代にバトンタッチすることです。もちろん力の限り精一杯取り組みますが、未来のことはわかりません。ですから、私の社長の仕事の結果が出るのは何十年も先です。
※OMJCリレーインタビューは前走者が次走者にインタビューのテーマを投げ掛け、バトンをつないでいきます。次回は、菊本機工の菊本直利氏。前走者・河野氏の質問は「人とのコミュニケーションで心掛けていることは?」。
日本産機新聞 平成29年(2017年)6月25日号
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