2025年5月16日(金)

タンガロイ 開発者に聞く

工具を褒められることに喜び

阿曽 孝洋氏(切削工具開発部 転削工具開発グループ)

 タンガロイは昨春から倍速切削のコンセプトを掲げ「TUNGFORCE」の拡販キャンペーンを実施してきた。その中でも、よく売れた一つが日本機械工具工業会の技術功績賞を受賞した直角肩削りカッタ「タング・トライ」だ。昨秋のJIMTOF2016でも注目を集めた。開発担当の阿曽孝洋氏に強みや製品に込めた思いなどを聞いた。

タング・トライを開発

逃げ面工夫し倍速切削

阿曽孝洋氏
 2011年タンガロイ入社。学生時代はメカトロニクスの研究に従事。27歳。
―「タング・トライ」の特長は。
 「経済性を重視した3コーナインサートと、耐ビビりを実現し、高精度な直角肩削りができること。ビビりを抑え、加工条件を上げられるので、お客様から『削れる』と評価を頂けたのだと思う。また、TUNGFORCEのコンセプトの倍速切削を実際に体感できる製品の一つだと思う」。

―評価を得たのはどの部分でしょう。
 「切れ刃や不等ピッチ形状など様々あるが、特にビビりを抑えるためにインサートの逃げ面に工夫を凝らした。逃げ面を4段で構成するなど新しい形状を採用し、既存の製品の倍以上の加工条件を設定できるところが評価されたと思う」。

―開発で苦労したことは。
 「三角形のインサートでは精度の高いクランプが難しいなど問題点も多かった。そこで何度も形状変更したり、解析をかけたり時間がかかった」。

―うれしかったことは。
 「タング・トライに限らず、『いい工具だね』とほめられることが何よりうれしい。自信作が売れるとは限らないが、売れている製品は必ず良い製品だと思う。つまり『売れた』という結果は、工具をほめられたことと同じなので、何よりうれしかった」。

―今後どんな工具を作りたいか。
 「例えば『航空機部品加工ならタンガロイだ』とブランドイメージを構築できるような常識を覆す突き抜けた製品を作りたいですね」。

日本産機新聞 平成29年(2017年)1月15日号

[ インタビュー ][ メーカー ][ 日本産機新聞 ] カテゴリの関連記事

エバオン、サンコーインダストリー、トラスコ中山の取り組みに迫る【特集:商社の物流戦略】

物流強化に動く卸商社 卸商社の機能として昔から言われる「人・モノ・金・情報」。中でも、近年は「モノ」である物流機能の強化に動く卸商社が増えている。 背景の一つには顕在化してきた「物流2024年問題」がある。いまや配送業者 […]

タツタ  碓井克久社長に聞く

タツタ  碓井克久社長に聞く

機器と電気の知見を融合 伝導機商社のタツタ(大阪市西区、06・6538・3131)が制御や電気関連に強い企業のグループになって1年半。社長に就いて約1年を経て、碓井克久社長は「それぞれの強みである機器と電気の知見を融合さ […]

注目8社の出展製品【特集:MEX金沢2025】

次世代技術がここに集結! MEX金沢2025(5月25〜17日、石川県産業展示館)には、工作機械や切削工具、工作機器、測定機器など過去最多の275社・4団体が出展する。自動化や工程集約、微細精密、省エネ、環境改善などの最 […]

トピックス

関連サイト