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卸商社トップに聞く
―今年の事業戦略―
価値生む戦略それぞれ
エンジニアリング力強化
卸商各社は付加価値を生み出すための事業展開や機能強化を進めている。エンジニアリング力を強化したり、物流やシステムへの投資を増やしたり、展示会を開いたり、専門力を磨いたりと、各社それぞれのやり方で未来図を描く。戦略に違いはあっても、共通しているのは「価値を生み出し、顧客や市場にとって不可欠な存在となる」ことだ。機械工具卸商社17社のトップに今後の方針や戦略を聞いた。そこから機械工具業界のトレンドを探る。
物流、展示会、専門力も
大幅な市場拡大が期待できず、ネット通販が台頭するなど環境変化が激しい機械工具業界。「昔に比べ右から左に流すだけのビジネスが減っている」(ある商社幹部)。そんな中で、卸商各社は価値を生み出すための事業展開や機能強化を進めている。
近年増加している一つがエンジニアリング力の強化だ。その象徴となるのがロボットを活用した合理化・省力化だ。成長産業としての期待が大きい一方、顧客の要望を実現するエンジニアリング力やシステム提案力が不可欠となる。ここに価値を見出している。
山善はコーディネート力の強化を掲げ、ユアサ商事はエンジリアリング子会社を設立。ジーネットもエンジニアリング会社に資本参加する。日伝や鳥羽洋行なども強みの制御機器などを中核にロボット販売やシステム提案力を磨く。NaITOやシミヅ産業も展示会などを通じ、ロボット販売の拡大を目指す。
物流や在庫機能の強化も価値創造の一つ。トラスコ中山はシステム投資や物流センターの新設など、在庫50万アイテムへの準備を着々と進める。ユアサ商事も関東に物流センターを設け、即日配送を行う。サンコーインダストリーもねじ在庫世界一を目指すなど、商品供給力を磨いている。
近年増えているのが卸商主催の展示会だ。日伝は昨年470カ所で自社展開いた。Joyful喜一ホールディングスも販売店と共同で展示会を開いているほか、各社ユーザーを対象としたセミナーなども積極的に開催している。ユーザーとの接点を増やしニーズを把握することで提案力を強化したり、販売店と共同で販促の場を設けたりするのが狙いだ。
技術力を磨くことで専門性を高めることに価値を見出す企業も多い。切削加工に強い大阪工機は技術センターを設立。検証やテスト加工を通じ、加工技術トータルでの提案力高めている。西野産業は測定の領域を広げることで専門力を強化している。
エンジニアリング力や物流、専門性の強化、展示会など、各社それぞれの絵を描く。その戦略は規模や強みによって当然異なる。しかし「顧客や市場にとって必要な存在になるために、いかにして価値を生み出し感動を与えるか」という視点は共通している。
日本産機新聞 平成28年(2016年)7月25日号
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