2019年1月18日(金)

IoT、クラウド、AI、車、5G
日本半導体製造装置協会
辻村学会長に聞く〜成長いつまで〜

半導体製造装置特集

欲求ある限り不滅

2017年に販売額が2兆円を超えてなお、成長を続ける半導体製造装置業界。一般社団法人日本半導体製造装置協会(SEAJ)の辻村学会長(荏原製作所執行役専務)は「スーパーサイクルというより長期的に成長する新たなパラダイムに入ったとみるべきだ」と話す。さらに「人間の欲求がある限り半導体は不滅だ」とし、長期的に成長トレンドを予想する同氏に業界の動向を聞いた。

 1974年東京都立大学(現首都大学東京)工学部卒、同年荏原製作所入社。2007年常務執行役員、15年執行役専務。02年に東京都立大学大学院工学研究科機械工学専攻を修了し、博士号を取得。日本真空工業会会長なども歴任。1951年神奈川県生まれ。

ー足元の状況は。
6月に2020年度までの需要予測を出したが、17年度(実績)は前年度比30.6%増の2兆436億円となった。その後も安定して成長し、20年度は17年度比で24%増となる2兆5385億円の予想を立てた。当協会の統計は日本の半導体装置メーカーが日本を含む世界市場に販売した金額でまとめている。この数字は概ね世界の3割のシェアを持っていると考えてもらえればいい。

ー好不況を繰り返すサイクルではなく、継続的に成長するスーパーサイクルに入ったとの見方もあるが、伸び続ける理由は。
スーパーサイクルというより新たなパラダイムに入ったと捉えたほうがいい。サイクルだといずれ落ち込む可能性もあるがそうではなく長期的に成長する。これまで半導体の成長のドライバーは基本的に、コンピュータ、パソコン、スマートフォンとシングルだったが、複数の需要先が同時に立ち上がるマルチドライバーになったからだ。

ー複数の需要先とは。
個人的に唱えているのはICAC5(アイカック5)だ。IoT、Cloud、AI、Car、5Gの5つ。これらが同時に需要拡大しており、これまでのサイクルと全く異なる。また、マルチゆえに半導体も多様化する。電子デバイスのパフォーマンス向上のために微細化や低消費電力化が進む一方、情報容量が小さいIoTなどでは最新の半導体が必要ない分野もある。車載用半導体も耐熱性など、これまでとは要求が異なる。

ー海外の市場も伸びる可能性もある。
半導体装置市場は日米台韓などが寡占してきたが、中国が急伸し、インドなどでも生産が広がる可能性がある。そうなると最先端の日本製の装置が必要になる。懸念は政治的なリスクぐらいだ。

ー半導体の多様化で製造装置に求められるものも変わるか。
全く変わる可能性はかなり少ないが、材料が変わったりすることもあるので、常に技術のチェックは必要だ。技術的な見通しについては、ベルギーの国際研究機関が半導体の回路が25から30年にナノからオングストローム(0.1nm)の世界になるとしている。そこに至るまでに、技術的に見えない部分も多いが、何もせず30年を迎えられるとは思えない。だからこそ技術開発は重要だ。とはいえ、市場が伸び続け、技術も30年までやらなければならないことが分かっている。我々がそのけん引役となれればいいと思う。

ー日本の半導体装置メーカーは日本で作りつづけるのか。
デバイスメーカーは世界中で戦っているが、装置メーカーに関しては、現地化はあまり進んでいない。部品を現地で作って欲しいという声はあるが、メーンとなる装置は基本的には国内で作る企業が多い。生産のサプライチェーンも技術開発も国内が大半だ。だから、サプライヤーとの関係性の強化は不可欠だし、実際にサプライヤー間での協業も進んでいる。

ーいつまで成長は続くか。
個人的に半導体は人間の欲求がある限り不滅だと考えている。それを支える製造装置も不滅だと思うし、それを担うのが我々であり続けるようにしたい。ただ、半導体はブルシップ(牛のしっぽ)市場だ。顧客が2%顔を横に向けるとしっぽの我々は10倍の20%程度大幅に触れる。しかし、それはこれまで何度も経験してきたこと。今後もそうした振れはあるが、中心線は伸び続ける。

日本産機新聞 平成30年(2018年)8月20日号

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