2017年5月28日(日)

エア関連機器
商社・販売店の拡販戦略

 卸商各社がエア関連機器を中心とした省エネ提案を強化している。ジーネットは、専用のカタログを作ったり、エア関連機器の専任者を各営業所に配置したりしている。山善はエア関連だけでなく、二酸化炭素削減に貢献できるプロジェクトを推進。ユアサ商事はコンプレッサだけでなく、機器、配管まで省エネ提案の幅を広げている。卸商各社がコンプレッサやエア関連機器を中心とした省エネ提案を強化しているのは、「どこから手を付けていいかわからないユーザーも少なくなく、絶好の提案型の商材でもある」(ある商社幹部)からだ。卸商社各社や販売店にエア関連機器を中心とした省エネ提案の取り組みを聞いた。

  

 
工場エアは高機能コンプレッサの導入や配管の適切な管理でロスを減らしさらなる省エネを図れる

 山善  グリーンボールPJを展開

CO2削減後押し

 山善は2008年から、エアの省エネだけでなく、CO2削減をターゲットとした「グリーンボールプロジェクト(GBP)」を展開しており、同社の全ての省エネ活動の旗印となっている。

 GBPの具体的なスキームはこうだ。GBPに参加する販売店が、コンプレッサや送風機などの対象商品を販売すると、その販売量に応じたCO2削減量を数値化(クレジット化)し、排出枠がもらえる。販売店は直接ユーザーに排出枠を与えることも可能だ。

 排出枠をもらった販売店やユーザーは自社でのCO2排出量をオフセット(相殺)し、カーボンフリー企業に認定される。山善にクレジットとして、保管してもらうことも可能で、省エネ法の報告として活用することなどもできる。

 GBPに賛同する企業も増加し、16年度のGBP参加企業は784社、CO2削減効果量は4万1840t、カーボンフリー企業は延べ705社にまで伸びている。
 さらに今期は「環境改ZENキャンペーン」を刷新する予定で、エア関連の新商品や導入事例などの情報発信や展示会を行う。

 ユアサ商事  現場の消費量も管理

関連機器トータル提案

 「エアの省エネ提案は川上から川下まで」―。ユアサ商事はコンプレッサを中心に、配管、エアブローなどのエア機器、流量計によるエア漏れチェックなど省エネ提案の幅を広げている。

 コンプレッサの省エネ提案を強化し始めたのは約10年前。「メーカーと協業し、省エネ診断やセミナーでランニングコスト削減の重要性を訴えてきた」(機電本部の堂跡陽一本部長)が、5年ほど前からは「エアを作る(コンプレッサ)だけでなく、エアを使う機器(エアブローなど)まで含めて一連の流れで提案する必要がある」と幅を広げてきた。

 その効果を体感してもらう場と位置付けているのがグランドフェア。昨年は、エアブロー機器を最適な製品に置き換えることで工場電力量の5%削減する実例を紹介した。

 こうした提案を重ねる中で、堂跡本部長は「コンプレッサは管理していても、末端で使用しているエア機器のエア消費量の管理まで行っている工場はまだ少ない」と考え、潜在需要は大きいとみる。

 今後もコンプレッサメーカーとの協業や、販売店が主催するユーザーセミナーも支援していくなど「コンプレッサ、エアブローや流量計、配管までを含めた総合的な提案を強化する」。

 ジーネット  技能士の資格を取得

エアの省エネ診断

 ジーネットは2つの切り口でエアの省エネを提案している。一つはコンンプレッサや周辺機器の省エネ。もう一つが空圧機器や配管などの見直しによる空気使用量削減による省エネだ。

 この2つの提案を軸に、販売店がユーザーに体系的にエアの省エネを伝えやすいように、かんたん解決カタログ「工場エアの省エネ・環境対策」を発刊。エアの省エネの勘所をわかりやすく紹介しており、昨秋に新規仕入れ先や新製品を加えて刷新し、3万部を配布した。

 営業力の強化も図る。空気圧装置組立て技能士の資格取得が義務付けられており、約120人の営業担当者はもとより全社員が2級以上の資格を持つ。さらに営業担当者は、半年に1度は工場エアの省エネ診断を実施することを目標としている。

 各営業所にはエア分野の責任者を設置。売り上げや活動の目標を管理・実行することで、販売店支援を強化している。同社が狙うのは『工場エアならジーネット』というイメージの浸透だ。実際に、販売店から「売り上げ増につながった」や、ユーザーから「予想をはるかに上回る省エネができた」という声も集まっているといい、そのイメージは定着しつつある。


エア機器最前線 ユース(埼玉県狭山市)

エア機器は成長分野

 
社員が企画立案し半年に1回のペースで省エネのカタログを発刊している

 「コスト削減をプロデュースします」を掲げ、梱包資材や物流、環境、OA機器など幅広く手掛けるユースは、エア関連機器を中心に省エネ提案を強化している。展示会やカタログなどを通じ、全社的に売るための仕組みづくりを進めている。

 核となる一つが展示会だ。年1回「OA&環境フェア」を主催し、二日間で約600人を集客する。毎年省エネや環境機器などにテーマを絞り展示する。
 もう一つがカタログ。半年に1回の頻度で「省エネ・業務効率アップ問題解決ヒント」(写真)を発刊。カタログへの掲載商品の選定は社員同士で議論し、社内での意識向上にもつなげている。

 こうした展示会やカタログなどで売るための仕組みを強化するのは、「省エネ機器は提案型の商材が多く、個人差が出やすいので、これを極力抑える」(石田友克社長)ためだ。さらに「会社全体として顧客に常にアプローチし、省エネに強いイメージを訴求する」狙いもある。

 社内体制も工夫している。まず意識の共有。「いきなり省エネ機器を売れと言われてもすぐに売れない」(石田社長)ため、成功体験を朝礼や会議で発表するなどして、意識を高めている。また、非常に省エネ提案に長けた人材がいるそうで、その人材と営業担当者と同行するなどして成功体験を社内で蓄積させている。

 最近、成功した事例は大手自動車部品メーカーへのエアブローガンの提案。電源不要のパルスブローでエア消費量を35%も削減できるエアブローガンを販売した。今後は「他の顧客へも横展開したい」としている。

 こうした経験を通じ、石田社長が感じたのは「配管やエアブローなどのエア機器の省エネは意外と大手ユーザーでも気が付いていない」ということ。だから「エア機器を中心に、省エネ関連はまだニーズがあるし、成長分野」とみる。

 今後も省エネ機器の販売を強化するとともに「顧客のコスト削減や付加価値アップにつなげる提案をしていきたい」。

会社メモ

石田 友克社長
石田 友克社長
本社:埼玉県狭山市新狭山1‐13、04・2953・2187
設立:1970年
社長:石田友克氏
社員数:40人
売上高:22億円
主要業務:OA機器、環境機器、物流機器販売、梱包資材製造、文具通販など。

日本産機新聞 平成29年(2017年)5月15日号

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